談話室B「男色のめぐり逢い」

Q.1 貴方の男色への切っ掛けをお教えてください。
一度男を知ってしまうとどうしてこんなに身体が疼くのだろう。
何でもない爺さん、風貌は田舎オヤジ、言葉もとつとつと風貌そのまま、笑顔だけは人の良さ丸出しで可愛いなんていったら怒られそうだけど憎めないタイプの人、妙に安心してしまう。
メール文通期間が長かったから最初から話が弾んだ、もっとも喋っているのは私ばかりだったけれど。
私には女性願望があってそれは正直に伝えてある、もっともきっかけは私の女装投稿へコメントされたことからだから改めて伝えることじゃなかったけれど。
季節のコメント、道端の花、鳥や昆虫の様子などほっこりさせられる内容に惹かれて文通になった。
女房と死別、8年にわたる独り暮らし、子は為せなかった。
遺された衣服、私より少し大柄だったから着れた、身に着けて妻を偲んだ、それがきっかけ。
鏡の向こうに異世界を知った私がいる、妻を真似て微笑んでみる、自撮りの姿に胸が高鳴った。
それを女装サイトに投稿してコメントをいくつも戴いた。
その一人が彼、文章は素敵だった、季節の描写に絵が浮かんだ。
折も春、道端の蕾が膨らみましたの画像が添えられていて里山の春が来ましたの言葉。
庭の桜が咲きそうです、見に来られませんかの誘い。
東京都だけど裏はもう山、古い農家で里山の風景、オヤジが逝ってお袋が半年で後を追ってしまいこんな黴臭いだだっ広い家を持て余しています、訥々と話しながら苦笑い。
お袋とお袋の友達の婆さん以外に女性なんて来たことが無い家だからあんたのお陰で明るくなったような気がします、継ぎ足しながらのお世辞だか本音だか、言葉は足りないけれど笑顔でつなぐ。
風呂を沸かしても良いかな、入ってくださるか。
案内された風呂場はユニットに改装されていて二回りは広い、風呂とトイレは介護のこともあって大きくしました、両方車椅子で介添え付きで入れます、広過ぎてもったいないくらいの贅沢ですね。
温かい湯に浸かる、暖房も利かせてある、真新さが別世界のよう。
そろっと戸が開いて顔がのぞく、湯加減はどう?
その顔を見たら何故か可笑しくなって、広すぎて一人で独占はもったいないからどうぞ、一緒に入りましょうと答えてしまう。
裸でご対面ですね、照れ臭さに口籠りながらチラ見、ちょっと息を飲んでしまう。
湯を譲り胸から下を隠して洗い場に座り多めのソープで身体を洗い始める、視線が気になる、甘酸っぱい気持ち。
背中を流そうと言いながら立ち上がった股間のものが殊更大きく見えるじゃなくてもう大きくしていた。
入念に洗われた、洗い終えたところも洗われた、洗う洗われるというより入念に手で確かめられたという方が近い、背に固いものが何度も当たった。
もう引き返せない、そう気づいたら動悸が激しくなった。
仰向けた顔に唇を重ねられ男の指は乳首を弄っている、私は男の勃起を握り締めました。
春先の広い座敷は天井が高くキーンと怖いような静けさと寒気があってその中央に並べて敷かれた布団。
三つ指をついて末永くよろしくお願いいたしますと挨拶、慌てて布団から出て挨拶を受ける彼、下半身が剥き出し、寒気でみるみる萎んでしまいそれが可笑しくて吹き出してしまう。
初夜の床は聞きかじった通り、法外の苦痛に怖れをなして何度も逃げ出しかける、何度も何度も繰り返されてそのこと自体に怯えて身体が強張ってしまう。
そして瞬間、声にならない悲鳴を上げて崩れ落ちてしまい星が散って藻掻きながらお願い抜いてと嘆願するも男はここが正念場と手を緩めてくれない、抱え込み押さえ込んで体重を乗せてくる。
今では笑い話、あの時は必死の思い、逃がしたらもうチャンスは無いと思い込んでたと何度も繰り返す。
あれ強姦だったよ、強姦されて処女喪失して妊娠させらていたら悲劇だった、でもあなたの必死の形相可愛かった、妊娠してもよかったなぁ。
春が過ぎて未曽有の暑い夏が来て、はずれだけど東京都、関東平野は熱波に包まれて、彼はほとんど裸でほんとに何もつけないで家中を闊歩、私は木綿のゆるゆるワンピース。
秋風が吹いたら秘蔵の遺品の留袖、着物姿を見せてあげようと思っています。
とは言っても朴念仁ですからどこまで理解してくれるやら、可愛い姿をすれば直ぐ脱がせたがるのだから。
今では笑い話の強姦初夜、それも面白がれるようになっています。
まだ週末妻を続けていますが自宅に戻れば独りが辛くなっている。
男を知ってしまった身体は男を思い出してすぐにでも帰ろうと言いますし鏡の向こうの私は女の姿に戻りたいと言っています。







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