談話室B「男色のめぐり逢い」

Q.1 貴方の男色への切っ掛けをお教えてください。
花が好きですが賃貸ですので精々ベランダと室内花器、朝の散歩に雑草さんぽ手帳を持って歩いています。
ご近所に盆栽風の植栽を並べておられる広い庭のあるお宅があって羨ましいなぁと思っていました。
ただお家は古い木造で塗装も剥げかけていてちょっと侘しい。
ふと足元に目をやりますと生垣に隠れて可憐な花が咲いていてしゃがみ込んで雑草手帳を開きました。
やっと見つけた花の名前は夕化粧、夕方に咲く艶っぽい帰化植物とありましたが朝の散歩で見つけたのだから朝化粧じゃないかと笑みがこぼれてしまいました。
そこに上から声が掛かって見上げたら剪定鋏を持ったその家の爺様で植え込みの陰にしゃがみこんだ私をいぶかったのでしょう。
それが縁で話をするようになり、一目で独り暮らしとわかる家内に上がり込むようになり、見かねて掃除、気づけば食事の支度から洗濯までしてあげるようになっていて、その前に蜜を吸われて溜まっていた花粉汁を仕込まれてしまっていたのですがなんとも昭和にタイムスリップしたような爺様の万年床でのことですからロマンのカケラもなくて。
しかし爺様の盆栽の枝ぶりというか幹はなかなか見事で外装は埃だらけ錆も浮かんでクラシックですがメカは新品同様、いざエンジンを掛けたらフカチカチのビンビンで軽仕様の私はオーバーヒート寸前、ボロ雑巾にされて茫然自失の腰砕け、垢じみた煎餅布団で撃沈されておりました。
なにしろ散歩コースのご近所、通いというほどの距離も無くて、水を得たというかとうとう女ができた爺様のラッキョウの皮むき、毎晩のようにお誘いがあって毎晩のお泊り、全部が全部お受けできずにお口と手で済ませて頂く始末、齢60にして阿鼻叫喚でありました。
そうなったら覚悟を決めて、馬力をかけて掃除洗濯、寝具は流石に再生できず最後になりましたが、元々は建付けの良い家だったようで見違えるように綺麗にしてしまいました。
元は制服組の公務員だったそうで規律とかウンヌン言いますが男所帯の合宿みたいなものビシッとしている反面どんなところでも寝れるし自分のことは荒れ放題、どこに何があるかはわかっているから触るなと怒り出す始末、そうは言っても綺麗になれば居心地よいのは当然であれと言えば直ぐに出てくるから何にも言わなくなりました。
おいと言えば黙って脱いでくれるのだしね、熱々のオカズの湯気の向こうで微笑んでくれるのだし文句言われる筋はありませんね。
偏屈頑固で融通の利かない爺様ですが下半身は壮年、筋肉バカですから外見裏腹、私も文句いえる立場じゃないですね。
どこでどうなったのか、生垣の陰に咲いた可憐な花の縁が爺と爺を結びつけてくれて夕化粧を終えた爺が唇を紅く染めるとオス蜂爺がブンブン飛んできて蜜を吸いに潜り込んできます。
夕化粧の花は二人で移植しましたが根がつかず、でも生垣まわりには株が残っていて朝化粧と夕化粧で花を咲かせています。

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