談話室B「男色のめぐり逢い」

Q.1 貴方の男色への切っ掛けをお教えてください。
初めて彼のところに行った日、もの凄く香りの良い珈琲を淹れてくれて部屋中が珈琲色に染まって窓の外を見たら雨が降ってました。
傘持ってこなかったと言うと止むまで待てばいいよ駄目なら泊っていけばいいと言われ、そうだねぇ帰れなくなるまで降ればいいねと答えたら嬉しそうに笑ってくれました。
62歳と47歳、歳の差はありますが気の合う二人で私は最初から友達以上の気持ちを持っていましたから家にお誘いを受けた時には覚悟を固めていました。
珈琲の香りで気持ちもほぐれてほんわりした気分、二人きりの部屋で二人きりの空間、時間が穏やかに過ぎて言葉がいらない。
彼の隣に席を移して肩を並べて座る、それが自然にできてしまう。
無言のまま、空いたカップに新しい珈琲が注がれてまた香りの雲がわきたって私は彼の肩に頭を寄せました。
願い通り雨は降り止みません。
冷たい雨のようですが部屋は温かい、珈琲の香りと火照りで汗ばみそう、熱気が籠って並んで座れば体温も伝わって弾けたみたい。
私から唇を寄せてせがんでいました。
雨は夜中になっても止まず、私は雨の中で彼を受け入れました。
彼が私の中に印を残し男の重みを背に残したまま聞こえるのは男の鼓動とその向こうに雨音があって珈琲の香りがありました。
私は男に抱かれる身体になりましたが男が好きだったからではありません。
友達になれた頃の好きと友達になれてからの好きが変化しました。
ある日彼に男を感じたのですね、その意味で言葉にしてくれませんが彼の眼差しとか動きが変わったのだと思います。
性的な匂いですね、性的に意識されていることに微妙な波動があって光でもない音でもない感覚、それが匂い、肌感覚の匂い。
それがうっすらと積り、靄にかすんで気づいたら一面真っ白に雪化粧、白無垢の世界では男も女も無い、好きかそうでないかだけ。
口づけをせがんだのは私の方です。
でもそういう風に匂わせ意識させ焦らせ弄んだのは彼です。
まんまと嵌りましたが後悔はまったくありません。





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