談話室B「男色のめぐり逢い」

Q.1 貴方の男色への切っ掛けをお教えてください。
嫁菜は秋に咲く野菊、薄青紫の可愛い花を咲かせています。
雑草の陰にひっそりと咲いてひっそりと冬を迎え枯れていきます。
嫁のように可愛いとか春の若芽が美味しいので嫁に好んで摘まれたとか諸説がありますが決して表にでることはありませんし雑草に隠れてひっそりと佇み気づかれない花です。
私は野菊、菊と呼ばれるには小さすぎて華やかさもありません。
そんな私の前に立ち止まり見つけてくれた人がいてその優しい指に手折られて部屋に飾られました。
夜ごと鉢の水を変えるように新しい養分を与えられて自分が嫁菜であったことを知りました。
私の嫁菜は文字通り、嫁になれるかもと淡い希望をもった菜、男の与える白い養分は嫁になる夢を膨らませてくれました。
そして秋が足早に立ち去り、凍えた花びらが散って長い冬。
嫁菜は多年草ですから春がくると新しい芽をだして夏の終わりを待ちます。
そして花をつけるとまた立ち止まってくれる人を待つ、その繰り返しです。
男色は己が男を己の色に染めてしまうこと、男を抱き男に花粉の代わりに白濁の子種を注ぎ込むこと、男が肌を染めて受粉させられたことに随喜の涙をながす様を見ること。
私は淡い薄紫に染まった野菊、嫁菜になれることを願って受粉する。
そしてもう晩秋、長い冬を前に愛しい男に受粉させられている。


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