談話室B「男色のめぐり逢い」

Q.1 貴方の男色への切っ掛けをお教えてください。
還暦を前に男を知りました。
6歳先輩が満期除隊されてその送りの会に私用でどうしても出席できず後日一升瓶を下げてお伺いしました。
昔話に花を咲かせご機嫌で帰るを言い出せず終電の時刻、もう無理だよ泊まっていけ、はなからそのおつもりだったみたい後から思えば全部そのおつもり。
ようやく寝床に潜り込めたものの並べて敷かれた布団もおつもりの内だった。
眠いのに寝付けない、寝返りを打つと目の前に先輩の顔があってバッチリ目が開かれている。
スッと暖かい手が入ってきて手を握られてなんだなんだと思ったけれど妙に心地よくて、先輩の手が大きいのはわかっていたけれど柔らかくて包み込まれてしまう不思議な感覚、そのまま時間が止まって
いたみたいでグイと引き寄よせられて時間の針が動き出し反射的に私はせんぱいっを押し退けてしまいました。
我に返ったように身を離し、すまんこれが俺の本性なんだ我慢できなかった、気まずい空気を取り繕えずに時間が経っていきます。
背を向けた背中にどうしたよいのか、長い夜になりました。
翌朝そそくさと別れを告げたものの振り向くのが怖いままの帰宅。
それから数日、温かい手と戸惑いに揺れましたが嫌悪感はありません、むしろときめきめいたものに変り何故あの時応えてあげれなかったのかと後悔の念が湧きました。
同時に性欲の炎がちらちら、あの時の先輩の股間のものを想像すると身体が熱くなる始末です。
うじうじと日々を過ごし翌々週の夕方、インターホンを押す私の指が震えていました。
何事もなかったような会話、声が上滑りしているのがわかります。
湯をあみ火照った身体の汗が止まらない、冷水を浴びてようやくでますと依然と同じ部屋に同じように布団が敷かれていて2組の布団がぴったりとくってられていて並んだ枕が余りに艶めかしい。
素裸で横になり枕に耳をつけると風呂の湯音が響いてきます。
目を閉じてその時を待つ、長い時間でした。
いきなり掛布団が捲り上げられて仁王立ちしてる大きな体、薄めにその股間が跳ね上がっていてことさら巨大に見え怖くなりました。
無言、助走無し、巨体が被さってきて抉じ開けるようなキス、固くしてしまったものを握られた確かめられてキスキスまたキスの嵐。
いつの間にか私もそのぶ厚い舌を吸い返して手のひらに余る固い塊を握りしめていました。
ようやく声を発したのは随分経ってから。
いいんだな、俺は本気なんだからな、それだけを言いました。
恥ずかしながらこの歳で私は菊になり開花させられました。
激情の嵐の後、ついに受け入れてしまった蕾は血を滲ませ腫れ上がったように疼いています。
身体の中には子種が残され緩ませると漏らしてしまいそうです。
萎えたとはいえ私の体液と彼の精液に塗れたものがヌメヌメと鈍く光り垂れています。
男は初めてか、よく耐えてくれたな、声が遠くのようでした。
股間に顔を埋められ太い指が破瓜された菊門にあてがわれ新な痛痒に身悶えした後私は昇華させられました。
それを受け口移しで飲まされて厚い胸に抱かれました。
良い締め付けだった、指にも至福の思いをさせれた。
死別ですが妻帯の経験があって男を知ってしまった。
男色の扉を開けてしまった私です。
言葉通り、ほんとうに本気だったようです。
その夜以来、私は彼の女扱いです。
女装とかそういうのではありません、男にかしずいた男、女のように男の世話をして男に従い、夜ごと寝屋をともにて男の性欲をなだめる、姿形はどうあれまるで女房、でも姿は男のままです。
彼が浴びせる精液は真っ白な雲、私は青い空です。
男色の不思議は男を身体に受けてしまうと、快感なんて無くて苦痛に耐えて喜ばせているだけなのに身体は男を求めるようになってしまうこと。
身体をゆるしている男の世話をして会話をして触れ合う、それがゆったりと落ち着いた安堵感のようなものを醸してくれる。
妻を持った経験がありますが今迄の夫婦感とはまったく違う。
もしかしたら亡き妻はそうだったのかとも思いますが男の身で思いもしませんでした。
犯されて男が男色に染まる、犯して男を男色に染める。
彼と見上げる空は青くて、そこに雲が湧く、二人で見る空は男色の色です。




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