(5)記念撮影
「カンちゃん、ちょっと頼みがあるんだ」
ある日、神谷がひとりの時を見計らって、正彦が話しかけた。
「なんだい、キーさん。私に出来ることなら、何でもやるよ」
神谷が頼まれたのは、記念ビデオの撮影だった。趣味多彩な神谷は、写真やビデオの撮影も玄人はだしだった。
しかも何の記念ビデオか聞いたとたん、神谷の頭はカアーッと舞い上がった。なんと、御前さまとキーさんの交合シーンを撮ってくれと言うのだ。
「――御前さまが、80歳の誕生日に、撮っておきたいって言うんだ。いつ出来なくなるか分からないからだって。こんなこと恥ずかしくて、カンちゃんにしか頼めないよ」
神谷は、こみ上げてくる嬉しさを押し殺して、ウンウンと気真面目にうなずいた。
こんなことは、滅多にあるチャンスではなかった。なにしろ、覗き見したくて堪らなかった御前さまとキーさんの交合を、直に見られるなんて。
――◇――
2階居間の中央にダブルベッドが移され、撮影準備が整えられた。
照明が増設されていたので、少々明るすぎてムードに欠けるが、撮影のためには仕方がなかった。
部屋には義明と正彦、それにカメラマンの神谷のほかに、撮影助手としてふたりの従業員、笠原と内村が集まっていた。内村が照明係、そして笠原が、神谷とは別の角度から、もう一台のカメラを操作するのだ。
神谷が、プロの厳しい目つきでカメラアングルをチェックして、ベッドの横に立つ義明たちに合図した。
浴衣姿の義明と正彦が、お互いの体に腕をまわして、しばし見つめ合い、それから唇を重ねた。唇と唇が戯れるように触れ合い、行為が熱を帯びてくると、口を開いて情感たっぷりに舌を絡め合う。
神谷は感心した。ふたりの行為はカメラをまったく意識せず、自分たちだけの世界に入り込んでいた。
神谷は時々、ふたりの助手に指示を送りながらも、出来るだけ御前さまとキーさんの気を散らさないように、心配りした。
正彦が義明の浴衣を脱がせ、自らも脱ぎ去った。――壮年の力をたくわえた肉付きのよい体と、すっかり生白くなった脆弱な肉体。
白い褌姿のふたつの肢体が、ベッドの上で絡み合った。
お互いの体をまさぐりながらも、最初は正彦が主導権を握った。乳首を吸い、舌で転がし、軽く噛んで、80歳の興奮をじょじょに高めていく。
太い指が背中から脇腹、太ももへと這い進み、その後を唇と舌が追いかけていく。
褌が解かれ、往年の名残をとどめた、ずる剥けカリ高の男根が、正彦の口に呑み込まれ、次いで玉の一つひとつが吸い込まれる。
その頃には、義明の老いた肉体も、うっすらと汗ばみ、精気が感じられるようになった。そして正彦の行為には、義明の体をいたわる気持ちが、ありありと滲み出ていた。
正彦が義明の足を引き上げて、蟻の戸渡から肛門まで、丁寧に舐めまわす。舌の先が菊の紋章を舐めほぐし、開口部にゆっくりと侵入していく。
「ああっ!」
初めて義明が、喜悦の声をあげた。
小休止して、次の展開を大雑把に打ち合せした後、ふたたび撮影が始められた。
今度は、ベッドに腰かけた義明の前に正彦が突っ立って、入れ歯を外した義明が口と舌を使った。
このとき神谷は、完全勃起したキーさんの男根を初めて見た。思わずギョッとするようなシロモノだった。長さは奥村と同じくらいだが、太さや亀頭の形状は、こちらのほうがはるかに力感的で陰影に富んでいる。
全体に濃いライラック色をして、エラの縁がコブのように盛り上がっていた。鉄兜のようにクワッと開いた鈴口、深いくびれがあって、太い血管の浮き出た根幹部につながり、根元は松の根っこのようにがっしりとしている。
それを御前さまの舌がチロチロと舐めまわし、ネットリと絡みつき、口をあんぐりと開けて、亀頭部を呑み込む。音を立てて吸いつき、歯茎でしごきながらスポンッと放す。
あまりにも太いので顎が疲れるのか、すぐ横咥えで舐めはじめる。鈴口からトロリとした先走りが、糸を引いて滴りおちる。
まさに感動もののシーンだった。神谷はアップで撮りながら、極度の興奮に、喉はカラカラに干上がっていた。
やがてふたりは、結合体勢に入った。
義明の足が引き上げられ、正彦が膝立ちになって腰を送り込む。さすが長年の交尾で馴染んでいるのか、巨根がすんなりと呑み込まれていく。
いったん奥深く挿入すると、早く太さになじませるように、小刻みに突いた。
チュッ、チュッ、チュッ、ヌプウ、チュボッ――。
エロチックな音が続いた。
神谷は、全体の情景撮影は笠原に任せて、自分はクローズアップを撮り続けた。
このころには照明係の内村も、すっかりコツを呑み込んで、指示されなくても、照明や反射板の位置調整をやっていた。
正彦はゆっくりと抜き差ししながら、中腰になっていった。
でっぷりとした尻と収縮した陰嚢の下から、結合部の全容
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