(8)
オークタウンでは、それまでにない動きがあった。
ジローの指示に従って町の男たちが駆り出され、にわか銃撃部隊が編成された。と言っても、ほとんどが銃など扱ったことのない農民である。砂浜に的を立てて、射撃訓練が行われた。
一方でジローは、お偉方を引き連れて町の通りを歩きながら、狙撃する男たちを配置する場所を指示していた。屋根の上や建物の陰、あるいは建物の中から。
そうした町の動きに身の危険を感じたのか、いつもは酒場にたむろしている無法者たちも、根城とする廃鉱山に引っ込んでいた。
その日の夜、宿に戻ったジローが部屋で湯に浸かっていると、タイヘイがやって来て、黙ってジローの体を石鹸で擦りだした。左目のまわりに、青い隈が出来ている。
「その目はどうした?」
ジローが訊くと、タイヘイは何でもないと言うように肩をすくめた。
「生意気言うな、と殴られました」
「誰にだ」
「オムロに――射撃練習のとき、ちっとも的に当たらないので、保安官のくせに何やってんだ、と言ったら――」
そのときドアがノックされ、当のオムロがやって来た。彼はタイヘイの姿を見てにらみつけ、ベッドの端に大きな尻を落とした。甲高い軋み音がした。
「ちょっと相談に来た。明日は鉱山に食料を持っていく日だが、どうしたものかと思ってね」
これまで1日と15日には、鉱山跡に住む無法者たちに、食料を届ける決まりになっていた。もちろん脅しによる取り決めだ。
ジローが黙っているものだから、オムロは自分の考えを述べた。
「もう必要ないと思ってるんだ。奴ら、恐れをなして逃げたからね」
ジローが黙って立ち上がった。長身の体を水が滴り落ちた。その股間をオムロが目を丸くして見つめた。
バスタオルで体を拭きながら、ジローが言った。
「保安官、しばらく湯に浸かってないだろう。ちょうどいい、ここで体を洗ったらどうだ」
オムロは躊躇したが、ジローの有無を言わさぬ表情を見て、仕方なく服を脱ぎだした。人前で裸になること自体が屈辱だった。タイヘイが面白そうにこちらを見ている。(畜生、タイヘイの奴、あとでこっぴどく痛めつけてやる)
しかし、彼の屈辱はこれだけでは済まなかった。
オムロは石鹸を使って体中を洗った。垢が面白いように擦り落とされて、豊満な体が赤ん坊の肌のように赤らんでくる。
久しぶりの温浴に、いい気分になっているところに、ジローの声がした。
「きれいになったな。ところで、俺の要望は何でも聞くんだったな。じゃあ今夜は保安官の柔らかい尻を差し出してくれ」
(9)
次の日の早朝、ジローとタイヘイは2頭だての荷馬車を操って、山間に向かっていた。後ろの荷台には食料が満載されている。
「食料を絶てば、奴ら死に物狂いで町に押しかけてくる。ここは奴らを油断させるために、いつも通りに食料を持っていくんだ」と言うジローの言葉に従って、町で用意した食料だ。
タイヘイは複雑な気分だった。
昨夜目の前で、保安官が犯されている姿を見るのは、いい気分だった。でっぷりした尻の狭間に、硬く膨れ上がった肉杭が打ち込まれ、激しく行き来する。結合部のたてる濡れた卑猥な物音や、保安官の妙に哀れっぽい悲鳴が、今も耳に残っている――。
でもそれは、これから自分の身にも起こることだ。彼は無法者たちのもとに食料を運ぶたびに、嫌というほど尻を掘られてきた。奴らは溜まった精液を空にするまで、面白がってタイヘイの小さな体をもてあそぶのだ。
二人は小屋が見えたところで、荷馬車を止めた。小屋は、山間の低い位置に2棟あり、そこに至るカーブした下り坂が続いている。
地形と小屋の様子を観察していたジローが、いくつかタイヘイに指示を出した。そして自分はライフル銃と弾薬を持って、馬車から降りた。
ここからは、タイヘイひとりで行くことになる。タイヘイは気を引き締めて手綱を握り、荷馬車を前に進めた。
先にマンタが小屋に逃げ込んでいたことが、幸いした。男たちはマンタの体で性の欲望を満たしていたので、タイヘイの体には無関心だった。
タイヘイは食料を大きいほうの小屋に運び込み、外に出ると荷台の毛布をはがした。そこには数個のダイナマイトの束があった。それをジローに指示された位置に投げた。2棟の屋根上と壁の隅に1つずつ。
それから馬車を操って、来た道を戻って行った。
ジローは小屋の見通しの良い、斜面の岩陰にいた。タイヘイが小屋から充分離れたところで、空に向けてライフル銃を放った。
ターン!山間に乾いた音が鳴り響いた。
しばらくして、大きいほうの小屋の中から男がひとり、用心しながら出てきた。窓にも外を窺う男の顔が見えた。
ジローは慎重に狙いを定め、外の男を撃った。頭を打たれた男の体がコマのように回転して、地面に倒れた。
次いで窓めがけて打った。こちらは男が窓の陰に隠れ
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