(5)
ジローとタイヘイは、二人仲良く酒場で食事をとっていた。いつも半人前扱いされてきたタイヘイにとって、まっとうに遇されるのは初めてだった。
食事のあと、ジローが2階の部屋に向かうとき、預けた革袋をタイヘイが担いで、後についてきた。彼はすっかりジローの従僕気取りだった。
部屋にはバスタブがあり、ぬるくなっていたが湯が入れられている。よほど風呂好きなのか、ジローは服を脱いで再び湯に浸かった。
タイヘイが気を利かせて、ジローに葉巻を渡して火をつけた。
「タイヘイ、お前はいつもどこで寝ている?」
ジローが訊くと、タイヘイは曖昧に肩をすくめた。
「決まったところは無いけど、保安官事務所で寝たり、床下で寝たり――」
「床下だと?」
「ああ、わしは体がちっこいから、床下でも気持ち良く眠れるんだ」
ジローは少し考えて、「今夜はそこで寝てもいいぞ」と部屋の隅にあるソファーに向けて顎をしゃくった。
そのときドアが開いて、男娼のマンタが現れた。
「昼間は物足らなかったから、もう一度やりに来たの。金は要らないわ」
そこでタイヘイに向けて「大人の時間よ、出てって」
ジローとて断る理由はない。湯から出ると濡れた体のまま、マンタを抱きすくめて、身ぐるみ剥いでいった。
裸に剥くと、存外きれいな肌をしている。ベッドの上に押し倒して、じっくりと愛撫した。昼間のような荒々しさはなかった。マンタの受け入れ準備が整うと、背後から一直線に突き入れた。
「ああっ!やさしく入れて」
マンタが喘ぎ声をあげた。
行為は延々1時間近く続いた。
ようやくマンタを開放すると、ジローはそのまま眠りについた。
タイヘイは酒場の隅に腰掛けて、ぼんやりと部屋の外を眺めていた。彼は暗い夜が嫌いだった。どうしてもあの夜のことを思い出すからだ。
肉を殴る物音、男たちの笑い声、くぐもった呻き声と許しを請う声――3年前の悪夢がよみがえってくる。保安官のソーマが、3人のならず者によってなぶり殺しにあったときだ。
そのときタイヘイは、床下から一部始終を見ていた。
あのとき、町の誰も助けに来なかった。ただ家のドアをしっかりと閉めて、耳を塞いでいたのだ――。
そして5年前の事件。あの時も夜だった。町長たちが護衛兵たちの死骸を幌馬車に載せていた。そして夜陰に紛れて、幌馬車を町の外に運び去った。
あの時の金はどこにやったのだろう?それを口にすれば、自分が抹殺されるのは目に見えている。
タイヘイは床下から見たことを胸の内に納め、ずっと沈黙し続けてきた――。
2階からマンタが下りてきた。すっかり疲れ切って、足取りが重い。彼は酒場に出ると、二人の男と何やら話をした。男たちが上を振り仰いで頷きあった。それからゆっくりと階段に向かった。
(奴ら、ジローの寝込みを襲うつもりだ)タイヘイは急いで酒場の外に出て、裏の外階段に向かった。
2階の窓に近づいたところで、心配が杞憂に過ぎないのに気づいた。ジローが、下着姿のまま窓の外にいた。手には拳銃が握られている。彼はタイヘイに気づいて、口に人差し指を立てた。
ほどなくドアがバタンと開く音、ついで室内に轟音が充満した。男たちがベッドの毛布の膨らみに向け、一斉射撃をしたのだ。
音が鳴り止むと、ジローが室内に向け2発、拳銃を撃った。床に倒れる物音、あとは静かになった。
男たちに流れ者を殺してくれ、と持ちかけたのはマンタだった。ジローに只乗りされた上、商売道具の尻をすっかり弛められてしまった。これでは巾着のマンタの名がすたる。その仕返しに、もう一度ジローの欲しがるモノを与えて、寝入った隙に殺させようとしたのだ。
ところが男たちは、簡単に返り討ちにあった。
このままでは我が身が危ない。彼は馬を駆って、山間にある無法者たちの根城に逃げた。そこに行けば、性に飢えた男たちが彼に何を求めるか、それは十分承知していた。それでも殺されるよりはマシだった。
案の定、宿舎に入ると男たちが下卑た笑いを浮かべて、マンタを出迎えた。
「おまえの尻周りに、色気がモワッと立ち込めてるぜ。今夜は俺たちの野生の雄叫びを、たっぷりと聞かせてやる」
(6)
アイダ町長の家に、銀行を経営するカネダと宿屋の主トマリが集まっていた。
それに保安官のオムロの姿もある。
まずアイダが口を開いた。
「わずか1日で5人の無法者が殺された。一体ジローと言う男は何者なんだ」
オムロが答えた。
「分かりません。昨日、ふらっと南のほうからやって来ました。どうやら長居をする気はないようで――」
カネダが後をついで言った。
「その男を町の用心棒として雇えないか?」
「昨日、保安官助手にならないかと持ちかけたのですが――興味ないと」
そう言うオムロを揶揄するように、トマリが言った。
「助手じゃなく、保安官でもいいんだがな」
オムロがム
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