――まだセクハラ・パワハラといった概念が無かった時代のお話。
(1)
どこの職場にも、ボス的存在の男はいる。ここあけぼの管理会社の業務部でも、ちょい悪ボスがいた。業務部長の田中泰正である。
56歳、身長170センチに体重90キロほど、学生時代ラグビーをやっていただけに、肉厚の堂々たる体格をしている。
この男、無二の男好きである。それもフケ専門だった。しかも職権を笠に着て、気に入った部下を自室に呼びこんでいけないことをする、悪い奴だった。
部下と言っても皆、嘱託社員で、年齢的には60代から70代、ほとんどが長年勤めた会社を定年退職したあと、第二の職場として来た年配者ばかりだ。
中には、こんな偉い人がなぜ、と思うような経歴の持ち主もいる。
業務部の仕事はマンションの管理サポートで、部員は常時30人ほどいる。一応定年は70歳と決めているが、本人の健康状態が良ければ75歳まで働ける。
社員たちは普段、大部屋に机を並べて、事務仕事をしている。その大部屋とドアひとつ隔てて、部長専用の部屋がある。
部長室には事務机のほかに簡易ベッドがあり、トイレ付きのシャワールームまである。そして田中部長は、この設備をフルに活用していた。
ときおり部長が顔を見せて、「〇〇さん、ちょっといいか」と声をかける。
呼ばれた嘱託社員は一瞬固まって、ついで「ハイ」とか細く応えて立ち上がり、すごすごと部長室に向かう。
それを他の社員たちが気の毒そうに見送る。呼ばれた嘱託の身に何が起こるか、十分知っているからだ。
ドアの鍵が内側から掛けられるので、部長室は密室状態だった。中で何が行われているのか?ドアで遮られて声は聞こえないが、それでもときおり悲鳴のような声が上がる。
やがて小一時間ほどして、部屋に呼ばれた嘱託が出てくる。歩くのもおぼつかないほど消耗しきっている。他の社員は仕事をしている振りをして、そっと哀れな生け贄を見やる。
これが大体、月1ペースで行われていた。こんな理不尽な事、会社に訴えればいいと思うが、田中部長は狡猾だった。
彼はまず、生け贄の人選にあたって、経歴や性格などを徹底的に調べる。そしていけない事をされても泣き寝入りするだろう、と思う候補者を絞り込む。
その上、コトに及んでも、保険をかけるようなことをやった。
つまり記念撮影である。三脚にカメラを据えて、オートシャッターで自分と老人の交合写真を撮るのだ。とくに老人の顔と秘部に太い肉根がくい込んでいる組合せの構図は、必ず撮影する。
写真で脅しをかけられた嘱託は、結局泣き寝入りするしかなかった。
新たな社員、磯村尚がやって来たとき、職場の皆はほんのちょっぴり期待した。ひょっとしたら磯村が、部長の暴挙を諌めるのではないか、と。
磯村は58歳、中背小太り気味だが弾力のありそうな若々しい肉体をしている。倒産したメーカー企業の重役だっただけに、意見があれば、物怖じせずに堂々と言う――そんな男だった。
この社員に対して田中部長がどう出るか?みんなの関心はそのことに絞られていた。というのも、磯村は一筋縄ではいかない性格のようだが、むっちりとした美味しそうな尻をしていた。こんないい尻を部長が見逃すはずがない。
(2)
磔の刑にされる夢を見ていた磯村尚は、意識が戻ってギョッとした。現実の世界でも、夢の中と同じように窮屈な姿勢で、縛り上げられていたからだ。
しかもあろうことか、身ぐるみはがされていた。股座を目いっぱい左右に開かれ、膝がしらが胸につくほど折り曲げられている。
浣腸されたように、尻穴がスースーする。下腹部に目をやって仰天した。なんと陰毛がツルツルテンに剃られているのだ。
どうやら眠っている間に、たちの悪い悪戯をされたようだ。
(ここはどこだ?)そこで気づいた。部長室の簡易ベッドの上だった。
不覚だった。部長室に呼ばれて、「少し話をするか」と言われてコーヒーを出された。コーヒーを飲みながら話している途中で、急に眠くなった。
一服盛られたと気づいたときには、後の祭りだった。
頭上に、田中部長が現れた。シャワーを浴びていたのか、腰にバスタオルを巻いている。部長は太い腰を屈めて、磯村の陰部を食い入るように見た。
「ほほう、肉付きの良い体をしているわりに、アレは意外に小さいな」
言って、部長は手を伸ばして、肉根からタマタマへと無遠慮にまさぐる。次いで太い指先を下にずらせて、嫌らしい手つきで菊門を撫でる。
「穴まわりの肉がほっくりと膨らんで、男を悦ばせる尻だな」
そこで、ふいに指をもぐり込ませた。「む、これは――この弛み具合」
(おのれ!おのれ!)磯村は指を締め付けて、侵入を防ごうとした。それを全く意に介さず、太い指がズルリズルリと秘門を通過する。
「お前、嵌められた経験あるな。これは楽しめそうだ」
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