(六)リタイア後の生活(ピンクモード)

ОB会のゴルフコンペ後、かつての部下だった飯田洋平を誘って私のマンションに立ち寄らせた。もちろん私に下心があってのことだ。
私はこのとき初めて、自分より年下の男を抱いた。私が68歳、飯田が64歳のときである。
飯田に男色経験は無いが、知識は豊富だった。インターネットでその種の動画やサイトを見ていたからだ。そのうえ通販でディルドを買い、肛門性交の疑似体験までやっている、と恥ずかしそうに白状した。

私たちは近くのレストランで晩飯を食べ、マンションに戻るとバスルームで入念に体を洗った。そして就寝前のひととき、ソファーで寄り添って座っていた。
私はフンドシに浴衣姿、飯田は、彼の小柄な体型に合う衣類を備え置いていないので、そのまま普段着姿でいた。

私は、衆道で念者が若衆に教えるように、先を急がずじっくりと、初体験の飯田の緊張をほぐした。
そっと抱き寄せ、口づけをしながら、小柄な肉体の感じるところをまさぐった。シャツの裾から手を潜り込ませ、直に乳首を刺激すると、身体をピクリと痙攣させて、「ああ――ん」と悩ましい声を上げる。
飯田は素直に、私の成すままを受け入れている。
極端なほど感じやすい体だった。
愛撫する先々で、悩ましい喘ぎ声とともに体をぴくつかせている。
ズボンのベルトを解き、前合わせを開いて、パンツの隙間からイチモツを取り出した。私より若いだけに、早くも勃起させている。それを指先で弄ぶように揉んでいると、ふいに飯田が喘いだ。
「あっ!――すみません」
トロリとした液体が指を濡らした。驚いたことに、もう射精したのだ。

濡れた股間をきれいにして、少し話をした。
「自分の中に女の部分があって――」
精を漏らしたあと、飯田は心情を吐露した。「女房子供と家庭生活を送っていても、男に抱かれたいという思いが、いつも心の奥底に潜んでいました」
「きみは電車の中で、私を慕っていると言ったな。きみが本部に来た時からそう思っていたのか」
「いえ、ずっと前から――会社で奥村さんのお姿を見かけるたびに――」
飯田は少し躊躇して、つづけた。「お恥ずかしながら、夜、あなたを想って自分を慰めたこともあります」
私は内心驚いていた。飯田は私への思いを抱き続けて、それを表に出さず、職場でじっと胸の内に秘めて働いていたのだ。
一人の男の中で、私の偶像が増殖していくイメージは、あまりいい気分ではなかった。何となく病的なものを感じたからだ。
それを振り払うように、私はぶっきらぼうに言った。
「それは光栄の至りだ。では今夜、お前の望みをかなえてやる」

飯田の一途で従順すぎる態度が、かえって私を嗜虐的な気持ちにさせた。
私は飯田を裸に剥くと、ソファーの上で両膝を立たせ、尻を後ろに向けて突き出させた。屈辱的な、犬の交尾姿だ。
小振りな双丘は、肉付きがよく若い張りがあって、谷間の切れ込みも深い。
双丘に手をかけ、左右に押し開くと、すぼまった蕾が広げられて歪(いびつ)になり、いかにも悩まし気に見えた。
皺の寄りそう敏感な部分に、舌を割り込ませた。
「ひっ!――」
飯田が菊座をすぼめて、尻を引きかけた。
私はぐいと引き戻し、命令するように言った。
「じっとしてろ」
私は淫らな舌ねぶりをつづけた。とろけるように柔らかくなった開口部に、舌をヌメヌメと蠢かせながら侵入させた。
「あああっ――んん――あっ、あっ――」
感じやすい飯田は、身も世もなく喘ぎ声をあげつづけている。

しばらくして、場所をベッドに移した。
私は裸になると、飯田をベッドの縁に腰掛けさせ、目の前に突っ立った。
「よし、咥えろ」
飯田はまじまじと私の性器を見て、次いで前かがみに恐る恐る顔を寄せた。
湿った温もり――相手のつたない口淫に、私はどうしたら良いかを指示した。
口と舌の動きが慣れてくると、飯田の頭を押さえつけて、彼の口を性器代わりにズコズコと抽送しだした。
徐々に早く――つい熱が入りすぎ、飯田が喉を詰まらせてえずいた。
どうも私は、年下の男――とくに飯田のように従順でマゾっぽい男を相手にしていると、ウケへのいたわりを忘れてしまう。言葉使いも命令口調になり、行為も支配者的になる。

いよいよ本格的に交わろうとするとき、私は飯田に聞いた。
「これからお前の尻に入れてやる。前からがいいか、後ろからがいいか、お前が決めろ」
飯田は少し考えて、蚊の鳴くような小さな声で言った。
「――後ろからお願いします」
予想通りの返答だった。最初の内は、向かい合ってやるのは気恥ずかしさがあるのだ。私にとっても好都合だった。相手の尻を見ながら背後からやるのは、いかにも犯しているようで興奮する。
飯田をアラーの祈りのようにベッドの縁ぎりぎりに跪かせ、尻を突き出すように位置を調整した。そうすれば、私はベッドの外に立って、楽に行為ができる
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