(1)
(あれっ、シゲルさんじゃないの?)
浅草吾妻橋のたもとで、ぼくは足を止めた。
橋の手すりのところで、東京スカイツリーの方向を、ぼんやりと眺めている老人の姿があった。
ぼくは声をかけようとして、老人の醸し出す雰囲気に、動きを止めた。
老人は、何かを想っているように、遠くを見つめていた。憂いのある思いつめた表情――目が潤んで、今にも涙が頬を伝い落ちそうだ。
人の気配を感じたのか、老人が振り返って、こちらを見た。
やはりシゲルさんだった!もともと髪が薄かったが、今やすっかり禿げあがっている。たしか69歳になるはずだ。それでも面影は残っていた。眼鏡の奥で輝く穏和な瞳や、几帳面そうな顔つき、色白の艶やかな頬――。
「シゲルさん、お久しぶり」
ぼくが声をかけると、眼鏡の奥で老人の目が見開かれた。
「鉄平さん!?」
シゲルさんは、はにかみを含んだ笑顔で控えめに頭を下げた。
(昔と変わらないな)懐かしさが込み上げてきた。
ぼくたちはホテルのベッドで、旧交を温めていた。
色白、固太りの身体は、いくぶん肉が落ちて、やわらかくなっているが、それさえもぼくの好色を誘う。
ぼくたちは裸になって抱き合ったまま、とりとめもないおしゃべりをした。
シゲルさんは、自衛隊時代から仲の良かった同輩が、喉頭ガンで死んだと言う。生前の同輩とは、よく吾妻橋で待ち合わせしていたらしい。
それで老人は橋のところで、憂いを含んだ表情をしていたのだ。
ぼくはシゲルさんの悲しみを忘れさせようと、できるだけ淫らにした。
「さ、さ、シゲルさん、お尻の穴を良く見せてくださいよ。どこか変わったところはあるかな」
膝を抱え込んで、双丘を開いた中心部に、ぼくは舌先を彷徨わせた。チロチロと舐め、ヌンメリと舐め、やわらかく膨らんだ襞を舌先で突く。
「ああっ!」
むき出しの快感神経を舐められて、シゲルさんが可愛らしい声をあげた。
ぼくはすっかり淫らな気分になって、すぼんだ軟体動物の口のようなピンクの穴に、吸いつき、舐め回し、舌先をとがらせて侵入させる。
「ぬああっ!あっ、あっ、ああーっ」
泣くような可愛らしい善がり声とともに、押さえているふとももがブルブルと震えだした。
穴にとどまらず、玉袋への細道――蟻の戸渡りへと舐めまわした。
ぼく自身も息苦しいほど興奮してきた。顔をあげてシゲルさんの顔を見ると、早く入れて、と訴えるような表情でこちらを見ている。
「まだまだ――入れる前によく解しておかないとね」
ぼくは舌に代えて、今度は指を使いだした。
(2)
いよいよ入れてやろうとした。シゲルさんは顔を赤く染め、茫洋とした表情をしている。どうやら同輩の死の悲しみから、すっかり抜け出たようだ。
「じゃあ、お宮参りをしますよ」
ぼくはひとこと断って、口を開きかけた肛門の中心部に、怒張した亀頭をあてがい、じんわりと押し進めた。
「ああっ!くくく――」
シゲルさんが額に深い皺を作って、苦悶の表情を浮かべる。入れた感じから、さほど痛くないのに、極度の興奮からそんな表情をしているのだろう。
根元までズッポリと突き入れると、熱い腸壁が、張り詰めた全長をしっとりと覆い包んで、微妙な刺激を伝える。ざわざわと細波が立つような、ムニュムニュとミミズがのたうつような刺激だ。昔と変わらない具合の良さだった。
ぼくは心地良く腰をうねらせながら、身を乗り出して老人の口を吸った。そして耳元でささやいた。
「やはりシゲルさんは最高だ。すごく気持ちがいい」
それに応えて、シゲルさんも善がりながら言う。
「ああっ、鉄平さんも――ああ――もう――」
どこか深いところに落ちていくような声だった。
途中で小休止した。
ビールでのどを潤して、再びベッドの上で抱き合った。
すぐには繋がらず、戯れるように、口づけしたり、愛撫したりした。合間に会話をした。
「シゲルさん、まだ働いてるの?」
「ええ。マンションの管理人を続けています」
「奥さんは元気なの?」
「いえ。――女房は一昨年、死にました」
「えっ!それはご愁傷様です」
シゲルさんは間をおいて、話し始めた。すこし物悲しそうな声だった。
「口やかましい女房でしたが、いざ居なくなると、なんだか家の中が妙に静かになっちまって――」
ぼくは老人の孤独を感じた。
「お子さんはどうしてるの?」
「子供は出来ませんでした。――欲しかったのですが」
湿っぽい話を聞いた後なので、行為を再開しても、なかなか燃え上がらない。
ぼくはベッドの外に立って、老人の膝頭を胸につくほどに折り曲げさせ、双丘の狭間に亀頭をあてがった。
そこで、わざと乱暴に、ズググッと奥まで突き入れた。
「うわっ!あああぁ」
シゲルさんが痛そうに悲鳴をあげたが、構わずに抜き差し運動した。
興奮の片隅に、「いじめたい」という気持ちが
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