(1)
「類は友を呼ぶ」というが、ぼくの場合は、世間一般から見ればあまり「およろしくない」類である。
ケンは江戸風俗に興味を持っていて、それが高じて衆道、つまり男色の世界に嵌っている。ぼくにもその方面の本を貸してくれているので、ケンはぼくを同類と見ているようだ。
ダイスケは柔道部の猛者で、漢の世界に嵌っている。男好き――とくに爺ちゃんが大好きだ。彼の逸話がある。あるとき学内で通りかかった色白、小太りの男子学生の腹をいきなり殴りつけ、相手がひるんだところで部室に連れ込んだ。そこで無理やりズボンを引き下ろして、テーブルに押しつけ、尻を剥き出しにした。さすがに尻を犯すまではしなかったが、男子学生のぽっちゃりとした色白の尻を見ながら、自分のイチモツをしごいた。
ダイスケは思いを遂げると、「よう、すまなかったな」とひとこと言って、何が何だか呆気にとられている男子学生を開放したらしい。
そしてぼくはと言えば、ちょっとしたきっかけで、英語講師と初体験を済ませたあとも、この先生と親密な関係を続けている。もっともこのことは、他の誰にも話していない。
こんな3人が集まれば、自ずと話題は決まっている。
「おれのマンションに、大人しい管理人の爺さんがいてな」
いつものことだが、ケンが口火を切る。「この爺さんのオカマを、掘ったことがあるんだ」
ケンの話によれば、シゲルさんと呼ばれる64歳の管理人で、気安く話している内になんとなく男好きと分かった。で、ケンは管理人に冗談のつもりで言った。自分は今、江戸時代の陰間を研究している。シゲルさん、陰間のように尻を貸してくれない?――と。
意外にも、管理人はあっさりと了承した。あとで知ったことだが、なんのことはない、シゲルさんは肛門性交の経験者だった。
「その爺さんの尻を掘ってみて、どうだった?」
唾をごくりと呑み込んで、まだ肛門性交の経験がないダイスケが訊いた。
「それがすごくいいんだ。キュウっと締め付ける具合は、女よりも上だ。それに爺さん、色白でいい体をしているので、犯し甲斐があった」
それを聞いて、ダイスケが唇を舌で湿らせながら言った。
「ケン――その爺さん、俺にもやらせてくれるかなあ」
「金さえ払えば、やらせてくれるさ」
ケンはあっさりと答えた。「爺さん、奥さんから貰う月々の小遣いが少ないってぼやいていた。――それに何より、爺さんは元気印のチ〇ポが大好きだ」
「じゃあ、いくら払えばいい」
「そうだな、ダイスケはガタイがごついから、爺さん、退いちゃうかも知れん。――まあ、1万円だったら納得するかも」
タダで英語講師の尻をつついているぼくは、1万円は高いと思ったが、黙って二人の会話を聞いていた。
ダイスケは目を輝かせて、ケンに言った。
「1万円でいいんだな。だったらその爺さんに交渉して、段取りを頼む」
「ああ、いいぜ。場所は俺のマンションにする」
ケンは言って、ぼくのほうを見た。「それで、テッちゃんはどうする?」
ぼくは考えるふりをして、慎重に答えた。
「興味はあるけど――1万円は高いな。――ぼくはやめとくよ」
ダイスケが立ち去ったあと、ケンはしつこくぼくに持ちかけた。
「なあ、テッちゃん。さっきの話だけど、幾らだったら話に乗る?」
「幾らって――ぼくはダイスケほど金を持ってないから」
ぼくが逡巡していると、ケンはあっさりと言った。
「だったら5千円出せよ。あとの5千円は俺が出してやる。あ――ダイスケには内緒だぞ」
新潟の資産家を親に持つ、ケンらしい発想だった。ぼくは、5千円でも高いと思ったが、しぶしぶ了解した。本音のところは、現在付き合っている英語教師以外の年配男性にも、興味があった。
(2)
次の日曜日、ぼくたちはケンのマンションに集まった。この日は管理人が非番で時間が空いているという。
管理人のシゲルさんは、見るからに素朴で大人しそうな老人だった。64歳にしては、髪の毛が薄くて、年齢以上に老けて見える。
事前にケンと話がついていたのか、シゲルさんは、ぼくとダイスケがいるのを見ても、とくに驚いた様子もない。ただ横幅のあるダイスケの身体を見て、そっとズボンの前に視線をずらすのに気づいた。大きな身体を見て、性器も大きい、と思ったのだろう。
ぼくたちはすぐ行為に移らず、リビングで、コーヒーを飲みながら会話をした。ひとつしかないソファーに老人を座らせ、その横にケンが割り込んだ。ぼくとダイスケは床で直に胡坐を組んでいた。
焼酎が飲めると聞いていたので、シゲルさんだけは、焼酎の湯割りを飲ませた。老人の緊張をほぐす目的でもあった。
ぼくたちの質問に、シゲルさんは訥々と受け答えした。大人しい性格らしく、話しぶりはきわめて控えめだ。
肛門性交を経験したのは、老人が自衛隊にいた頃だった。上官のセクハラに遭って、
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