ねえ、自分だけ他の人と違うって思ったことない?えっ!もっと具体的な質問をしてくれって?じゃあ例えば、きみは女性より年配男性に興味を持っている――なんてことはない?
ある!へーえ、きみとは話が合いそうだな。それで、きみは何で年配の男性に興味があるの?――ふーん、お父さんが早くに死んで、何となく男の人に興味を抱くようになったって。ある意味、自然な流れだね。
えっ、ぼくはどうなんだって?そうだな――生憎、ぼくの親父は生きている。
それでもなぜぼくが年配の男性に惹かれるのか。それを説明するにはまず、ぼくの家族のことから話さなくちゃならないな。
ぼくの親父は、町ではそこそこの実業家で通っている。でも裸一貫から成りあがった者によくあるように、傲慢で、自己中で、仕事上ではかなりダーティーなこともやってると思う。その上、頭の禿げた達磨親父の見掛け通り、アチラのほうは結構強いようだ。
ぼくは7人兄弟の末っ子なんだけど、どうやら親父はお隣の国、韓国でも女を囲っているようだから、海外の兄弟も含めると相当の数になると思う。
本能的な親父に対して、お袋は大和撫子の典型のように従順で、ぼくの覚えている限り、お袋が親父に反抗的な態度を見せたことは一度もない。お袋は、女にしては少々鼻梁が高いことを除けば、まあ色白の美人と言える。それに背丈は親父より高く、すらりと均整の取れた姿形をしている。
そして幸いなことに、ぼくは身体的に母親似だ。
ただし、身体の一点だけ親父似で、高校生のとき風呂で一緒になった親父の股間を見て、つくづくそれを実感した。でもその頃のぼくは、親父そっくりのモノを持っているのは嫌だった。なぜなら、水泳の時など、「デカチン」とクラス仲間にからかわれるからだ。
ま、そんな家庭環境の中、7人兄弟の末っ子で育ったぼくは、ときに兄貴たちの迫害に遭いながら、逞しく育った。成長につれ、絶対君主的な親父に対しては、反抗心を抱くようになった。でも親父が相手では、とても太刀打ちできない。その反動で、ほかの弱そうな年配の男をいたぶってみたいと思うようになった。
あ、もちろんこんな考えは、不道徳だと分かっているよ。
でもね、親父と同年配でちょっと優しそうな男性を見ると、無理やり組み敷いて思い切り弄んでやりたいという気分になるんだ。こんな気持ちは、自分でもどうしょうもないほど、抑えが利かなくなるんだ。
言い忘れたけどぼくの名前は高木鉄平、19歳になったばかりの大学一年生だ。ぼくは生まれ故郷の博多を離れ、単身、東京で暮らしていて、親に干渉されない大いなる自由を満喫している。
この頃のぼくは、何かうずうずした奇妙な感覚に囚われることが多かった。それは何か未知の世界――ぼくが大人になる過程で入り込む世界を予感していたのかも知れない。
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