(5)別荘造り

廉はゴールデンウィーク中日の5月3日、栃木の那須高原に出かけた。別荘地を買ってログハウスを建設中のキーさんを訪ねるのだ。別荘は本体だけ専門業者に頼んで、外構や家具などは手作りにする、という。いかにも物作りの好きなキーさんらしい発想だ。
新幹線で那須塩原まで行って、在来線に乗り継いで黒磯駅で降りた。駅前広場に出たところで、キーさんの運転するレクサスがやってきた。
キーさんのほかに、若い3人の男達が車から出てきた。キーさんが後部トランクから紙袋を取り出して、男達に渡している。那須の有名牧場の表装が見えた。おそらく手土産だろう。
「よう」廉の姿に気づいてキーさんが手をあげた。
それから男たちに振り返って言った。「じゃあ、ここで別れるぞ。この二日間、ご苦労さん」

別荘への道すがら、キーさんが車を運転しながら説明した。
「前の会社の社員達だ。ボランティアでおれの別荘造りを手伝ってくれたんだ」
(ボランティア?強制じゃないの?)と思ったが、廉は口にしなかった。
「彼らのお陰で、食卓とベンチ、それに庭のテラスが出来た。大助かりだった」
「それで――ぼくは何を手伝えばいいの?」
廉が訊くと、キーさんは事もなげに言った。
「おれたちのベッド作りだ。夜までに完成したい」

鬱蒼と茂る木立の間を縫って、キーさんの別荘に着いた。3台分ほどの駐車場の向こうに、がっしりした造りのログハウスが建っていた。木の葉越しに、大きな三角屋根のシンプルな形をしているのが分かる。
自立式の簡易郵便箱の上に、「宵待荘」と銘打った表札があった。
「我が山荘にようこそ」
車から出たキーさんが、芝居掛かって言った。

1階の床は1メートルほど上がっているらしく、建物全周に渡ってコンクリートの土台が見えた。
数段あがって玄関ドアを抜けると、新鮮な木の薫りが鼻を突いた。
ワンルームの大きな部屋だった。天井の一部が吹き抜けになっていて、天窓から明るい光が差し込んでいる。
左手の壁にストリップ階段があり、その先に暖炉があった。ストリップ階段の下は半地下に行けるようになって、暖炉の薪などを収納する物置になっている。
南面する壁には掃き出し窓があり、その先に真新しい木製のテラスが伸びている。駅で会った男たちが手伝って造ったものだった。
部屋の奥はキッチン、その手前に大きな木のテーブルとベンチが並べられている。これもキーさんと男たちの手によるものだ。
部屋の隅に折り畳み式のベッドが3台、立てかけられていた。手伝いの男達が使っていたのだろう。あとで地下の物置に持っていく、とキーさんは言った。
ストリップ階段を上がった先は寝室で、造りかけのベッドがあり、脇にマットレスと寝具が積まれている。
キーさんがベッドを指して言った。
「今日はこれを完成させるんだ」

作業が終わったあと、晩飯にとりかかった。
家事には不調法なキーさんに代わって、廉がカレーライスを作った。ルー作りから初め、牛肉はぶつ切りにしてよく煮込んだ。それにタマネギとジャガイモ――ニンジンは無かったので、リンゴを具材に入れた。
食事のあとは、暖炉の前でワインを飲みながら、二人きりの時を過ごした。廉がこんなことを出来るのは、キーさんのお陰だった。今やキーさんの名前を出せば、泊りがけでどこに出かけようと、女房は何も言わないのだ。
廉は、気にかかっていたことを聞いた。
「なんで宵待荘なの?」
入口にあった銘のことだ。キーさんは事もなげに答えた。
「宵待草に掛けたんだ。早く宵になればアレができるだろう」
「この、スケベ!」

キーさんがノートパソコンを持ってきて、動画を開いた。
それを見て、廉はエッと思った。去年、北海道に行ったとき、廉と丸山老人が番っている光景だった。知らぬ間にキーさんは撮影していたのだ。
「どうだ廉ちゃん、筆おろしの感想は?」
廉はいい気分ではなかった。大体こんな動画を平気で撮るなんて、キーさんの気が知れない。そう思ったが、表情に出さないようにした。
キーさんが追求した。
「あれっ、レンちゃん。怒ってるの?」
廉は否定した。
「ぼくは怒ってなんかいませんよ。キーさんの勘違い」
「あ、そう。だったらもうひとつ忠告。レンちゃん、もうちょっと楽に生きたらどうだい」
「どういうことですか?」
「なんかレンちゃんを見てると、真面目過ぎて息が詰まりそうだ。だから、楽に生きたらと言ったんだ」
廉はボソッとつぶやいた。
「ぼくはキーさんのように、いい加減に生きられませんよ」

5月とはいえ、山林の夜は肌寒い。
しかし、都会とは違う山間の雰囲気に、二人は異常に燃え上がっていた。新しく造ったベッドの上で、お互いの性器を貪るように舐めたり吸ったりした。廉は、口に含む男の太さ、硬さで、キーさんがいつになく昂っているのを感じた。
それまで廉の秘肛
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