今日は久しぶりの逢瀬を楽しむ日。
電車に乗っているときから胸がときめく――。
ようやくたどり着いて、玄関のチャイムボタンを押す。ドアが開いて部屋に入った途端、爺がいきなりしがみついてくる。
――そんなにも爺は、待ち焦がれていたのだ。
さっそく寝室に行く。ひな鳥が、戻ってきた親鳥に餌を求めるように、爺は私の首にしがみつき、唇に吸いつく。前もってシャワーを使ったのか、髪が濡れている。
ほのかに立ち昇る石鹸の匂い――。
やがて爺は、服を脱ぎ始める。
ズボンを下ろし、シャツのボタンを外し――最後の一枚になると爺は落ち着いたのか、いつもの愛の駆け引きをやりだす。ブリーフに手をかけ、腰を揺らし、焦らすようにゆっくりと――。
いきなりいけない話から始めました。でも、これには訳があるんです。今日はあなたの性的傾向を、チェックするためです。
そんなことやらなくても、自分の好みは分かってるって?そんな、身も蓋もないことを言わずに、付き合ってくださいよ。
――それでは、先ほどのシモ話に戻って、爺が最後のブリーフを脱ぐシーン。あなたは爺のどんな姿を想像しますか?
右の姿を想像したあなたは、ウケ傾向。
柔らかいお尻でもって、世の発情した男性どもを慰める博愛主義者。
あなたぐらいのベテランになれば、締めつけたり弛めたり、相手に随喜の涙を流させるのは自由自在だ。
あるいは、歳と共に肝心のモノが言うことを効かなくなって、そろそろウケに転向しようかな、と思っているあなた。
恥ずかしいやら、嬉しいやら、恐ろしいやら――まるで新妻のように震えながら、怒張した男のモノを握り、もう一歩が踏み出せないでいる、あなた。
はたまた、男性器の色・形・味・匂い・硬さを、我が身をもって研究している、性医学者のあなたか。
いっぽう、左の姿を思い浮かべたあなたは、タチ傾向。
これまであなたの紫雁高、8寸胴返しでもって、爺の可愛らしいお尻をさんざん掘り尽くしてきた、罪深きあなた。――根っからの淫乱親父!
後ろ櫓に抱えどり。座禅転ばし、敷き小舟――。
バック体位を知り尽くし、九浅一深、弱入強出――熟練の技でウケを善がり狂わす、罪作りなあなた。
あるいは趣味と実益を兼ねた、肛門科の先生か。
えっ、勝手に決めつけるな、てめえはどうなんだって?
そうですねえ――私は両方のシーンを、同時に思い浮かべますね。
どうしてだって?
それは私が現在、タチとウケの狭間で悩んでいて、お爺ちゃんの古時計のように、大きく左右に揺れ動いているからですよ。
ハイ、閑人のお話でした。お後がよろしいようで――。
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