(五)

(五)

縫は全裸にされ、地下の穴倉の壁に繋がれていた。大の字にされ、両手首と両足首を縛られているので、身動きすら出来なかった。しかも真っ暗闇である。嗅覚だけが利いて、床から湿った土の匂いが立ち昇っていた。
女陰が疼いた。指を突き入れられ、面白半分に弄ばれたのだ。そのとき男は言った。お頭が来たら、たっぷりと楽しませてもらう。それまでお預けだ――と。
それからひと晩中、立たされたままだった。寝不足と足の痛みで、ともすれば意識が薄れていく。

ようやく上の引き戸が開けられ、三人の男が木の階段を下りてきた。手燭の灯りが、男たちの影をまがまがしく床に投げかけている。
燭台に火が入れられ、明かりが縫の姿を浮かび上がらせた。
先頭に立つ中年の男が、縫の裸を見てほくそ笑んだ。
「ほう、これは上玉じゃないか」
男は近寄り、無造作に女陰に指をもぐらせた。
「うっ!畜生、何をする!」
縫は叫んだが、男には何の効き目もなかった。
「ほう、気の強いおなごだ。こりゃあ、責め甲斐がある」
男は野袴を下げると、へのこを剥き出しにして、縫の足の間に突き入れた。
鋭い痛みに、思わず縫は喘いだ。
男は数回腰をうねらせたあと、懐から紐を取り出して、縫の首に二重に巻き付けた。
「首を絞めれば、あそこも締まるという」
紐が引かれ喉に喰い込んだ。呼吸が出来ずに、縫はもがいた。
体内に嵌められた肉根が、大きく膨らんできた。
男は少し紐をゆるめると、質問した。
「お伝の方が死ぬ前、聞いたであろう」
「何をだ――われには見当がつかぬ――ああっ!」
男が激しく突き上げた。
「白々しいことを――お前の父親はどこにいる」
「おとっちゃんのこと?――生きているのかも知らぬ」
「このアマ、優しくすれば、付け上がりおって」
男は激しく腰をうねらせたあと、唐突に引き抜いた。濡れた卑猥な音がした。
「あとは任せる。白状するまで、たっぷりと痛めつけてやれ」
男は他の二人に言うと、部屋を出て行った。

新之輔と多七は、板橋に向けて歩いていた。新造は、いったん藩屋敷に戻って、追っかけ板橋に行くという。
板橋宿は日本橋から中仙道を歩いて、最初の宿場町である。新之輔らは一刻(2時間)とかけず板橋に着いた。
新造は二人に追いついたあと、板橋でいったん別れて、通りの茶屋に入っていった。
そこの親父から裏庭で情報を仕入れた。昔、主な宿場で築いていた諜報網が、まだ残っていたのだ。
「昨日の昼過ぎ頃でした。娘を連れ去った男たちは、身の運びから見ると、忍びの修練を積んだ者たちです」
「どこの忍びか分かるか」
「娘を乗せた駕籠は、竹と縒り縄が使われていました。あれは北条の使っていた忍び、おそらく風魔でしょう」
「して、どちらに行った」
「平尾追分から川越街道に入って行きました」
「そうか。かたじけない。助かったぞ」
新造は、親父に一両渡すと別れた。

三人は合流すると、新造が情報を伝えた。
「縫を攫ったのは、やはり風魔衆でした。駕籠は平尾追分から川越街道へ入ったと言うから、おそらく大井宿に向かったのでしょう。その近くに、風魔の根城があります」
「新造、どうしてそんなことを知っている?」
「昔は霞の新造と言われたわたしです。縁は切れても、わたしの助けになる人間はいくらでもいます。まあ――わたしの人柄でしょう」
「――」
いけしゃあしゃあと言う新造を、新之輔は面白そうに見た。「それは良かった。今度はたっぷりと時間をかけて、礼をさせていただく」
途端、新造は痛そうな顔をして、少し離れた。

「風魔は北条氏に仕えた忍者集団です――戦国の時代は伊賀や甲賀と対等に戦った、筋金入りの乱破です――敵方の者を皆殺しにすると噂され、その残忍さに、周囲の者は恐れをなしていました――奴らの得意なのは、偵察や略奪です」
大井宿への道すがら、新造は二人に説明した。
「北条が敗れて徳川の世となってからは、盗賊に堕した者が多いと聞き及びます。おそらく昔の術技は薄れているでしょう」
多七が、怒りに満ちた声で言った。
「じゃあ、やはり慈安院を襲ったのは風魔――」
新造は話を続けた。
「おそらくそうだろう。風魔の頭は代々、小太郎と名乗っています。それから――」
人が通りかかったので、しばし口を閉じて「海滑藩にもそれらしき影を見ました。使っているのは、留守居役の田上半四郎」

――*――

新之輔たちは林の外れに潜んで、夜を待っていた。
その間、新造は二人と別れて、しばしどこかに出かけた。
半町ほど先に屋敷がある。庄屋屋敷ほどの大きさだが、高さ一間の塀に囲まれていた。
二人のいる位置は高台なので、屋敷の様子がよく見えた。
「あれを――」
多七が声をあげた。
屋敷の広縁から二人の侍が、庭に降りているところだった。
「慈安院に来た二人の侍です。一人は田上半四
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