(3)義父の寝姿

義父の身体を、寝室まで運ぶしかなかった。ぼくは、義父の背中と膝の下に両手を差し込み、できるだけそっと抱え上げた。予想以上に軽かった。
義父を運びながら、思いがけない幸運に、ぼくの肌は泡だっていた。あれほど焦がれていた義父の体が、いまぼくの腕の中にあるのだ。かすかに義父のつける、ポマードの匂いがした。両の目を閉じたその顔は、頬擦りしたくなるほどかわいらしかった。
寝室に入ると、布団はすでに敷かれていた。義父の体を敷布団の上にそっと横たわらせ、その寝顔をしばし見つめた。豆電球のほの暗い明かりの下で、72歳の老人の顔が、かすかに息づいている。
その寝顔を見ていて、ぼくは息苦しくなった。無意識のうちに顔を近づけ、形の良い口にそっと唇を押し当てた。
(ああ、お父さん、好きです)ぼくは胸のうちでつぶやいた。ほんの軽い接触だが、うっとりとしてくる。
にわかに心臓の鼓動が高まった。いつまでもこのままでいたかったが、義父に気づかれてしまう。
ぼくは断腸の思いで、義父の顔から離れた。

義父の身体に上布団をかぶせる前に、未練たっぷりに老人の浴衣姿を見た。小柄な体を包む薄い布地。両脚の付け根とおぼしきあたりが、緩やかに隆起している。ああ、あの下にお父さんのアレがあるんだ――。
そのとき、義父がなにやらつぶやいて、寝返りを打った。腰のあたりの浴衣の合わせ目が割れ、白い越中が見えた。
ぼくはドキリとした。薄明かりに浮き出た越中フンドシの白さが、妙に艶かしかった。
にわかに好奇心が募った。もういちど義父の男根を見てみたい。そう思うと、いても立ってもおれなくなった。
ぼくは上布団を足元に置いて、義父の腰に手を伸ばした。興奮から、手が震えていた。
浴衣の裾をそっとめくった。ついで越中の前垂れもめくる。縦皺の寄った布地に、モッコリとした膨らみが浮き出ていた。

我知らず、膨らみに手を伸ばした。触れる前から温もりを感じた。
そして――そっと触った。
ああ、ぼくは何をやっているんだ。お義父さんが目を覚ましたら、どうするんだ――。
しかし義父の顔を窺うと、あいかわらず健やかな鼾をかいている。
薄い布地を通して、固太りの感触が指に伝わってきた。ぼくはますます大胆な気持ちになった。膨らみの形に沿って指でなぞっていると、膨らみが大きくなってきた。
あれ、お義父さん、感じているのかな――。指を動かしながら義父のほうを見たが、目を覚ました気配はない。
二度とないチャンスだ。実物も拝ませてもらおう――。
自制心よりも好奇心のほうが強かった。下帯をそっと引っ張って、弛めた隙間に手を入れた。湿った温かい感触――白布の隙間から、渋茶色の男根がぞろりと顔を覗かせた。年相応に皺が多いのがかえってぼくを昂らせた。
ああ、すごい――。
ぼくは顔を近づけて、義父の偉大なオトコを間近に見た。かすかに恥垢の懐かしい匂いがした。思わず鼻をくっつけて、胸いっぱいに匂いを嗅いだ。



夢にまで見た義父の男根を目にし、直に触れ、匂いを嗅いで、わずかに残っていたぼくの自制心は完全に吹っ飛んだ。
ぼくは性急に唇を押し付け、舌先でチロチロと舐め、それから口の中に含んだ。ちょっぴりしょっぱくて、おいしかった。
ぼくは咥えたモノを舌で味わいながら、うっとりとした。
――ああ、この瞬間のためなら、何だって犠牲にできる。
口の中の男根がにわかに勢いづいて、ぐんぐん大きくなってきた。その逞しさに、ぼくは驚いた。
そこで、義父のいびきが聞こえてこないのに気がついた。
ふと顔を上げると、温和な目がじっとこちらを見ていた。

ビルの屋上から、飛び降りたような心境だった。ぼくは愕然とし、あわてて義父の体から離れた。そのまま土下座して、畳におでこを擦り付けた。
「すみません――すみません」
あまりの恥ずかしさに、ぼくは涙声でそれだけ言うのが精一杯だった。
頭上から、義父の声が聞こえた。
「なんだか気持ちよかったので、目を覚ましたら――きみだったのか。さあ、顔を上げなさい」
ぼくは畳から顔を離したが、義父の顔をまともに見れなかった。
すっかりしょげかえるぼくの耳に、おだやかな声が聞こえてきた。
「きみのおかげで、久しぶりに春情を覚えた。きみは、チンポが好きか?」
恥ずかしさでいっぱいだった。それでもぼくは、うつむいたまま、小さくうなずいた。
沈黙が流れた。
そっと義父の顔を窺うと、ぼくを軽蔑しているのか、あるいは叱りとばそうとしているのか、その表情からは、なにも読み取れなかった。

そのとき出し抜けに、義父が言った。
「わかった、今夜はきみの好きにしなさい」
思いがけぬ義父の言葉に、ぼくは一瞬、わが耳を疑った。なおも驚いたことに、義父は布団の上で、浴衣を脱ぎだした。
「ただし、中途半端はきらいだ。さあ、きみも裸になりなさい」
義父
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