(2)
耕平は日本舞踊の師匠、真山喜一郎の稽古場に来ていた。
4月から総務部の福祉関係の部署に配属された彼は、高齢者の介護事業に携わることが多くなっていた。彼は区の敬老会の催しを担当することになって、栗田議員の提案で、真山師匠の踊りをプログラムに組み込んだ。
今日は、その下打ち合わせの日である。
恭平は、師匠の顔をひと目見て、心臓が跳ね上がるような衝撃を受けた。まさに耕平が夢にまで描いた、美形の老人だった。その上品な顔立ちやしなやかな物腰には、70年の歳月で培ってきた、不思議な色気と精妙な艶があった。
耕平は、自分が醜男と自覚しているだけに、美しいものへの憧れがあった。
顔立ちの整った栗田議員に惹かれたのも、同様の思いがあったからだ。そして、いま目にする真山の姿は、まるで美の権化のようだった。
スケジュールと踊りの演目は簡単に決まった。スムーズ過ぎるほどだった。それよりも、雑談が多かった。
70歳の真山師匠は、目も口元も和ませて、耕平自身のことをあれこれと聞いてきた。
その親しみを込めた様子は、まるで旧来の友のようだった。
耕平は多少戸惑いを覚えながらも、師匠の問いかけに答えた。そのうち、質問の裏に栗田議員の影を感じた。ひょっとして栗田は、耕平のことについて、師匠と話をしたのではないだろうか。と言うことは、栗田議員と真山師匠は親密な間柄――?
そう思って師匠のほうを見ると、澄んだ瞳が熱っぽく潤んでいるようだ。そこに発情した議員と同じものを認め、耕平はにわかに興奮を覚えた。
(えっ、この先生は、おれに気があるのか?)
確かに師匠がこちら側の人間だというのは、じゅうぶん考えられた。品のある顔立ちや、女性的ともいえるしなやかな物腰――そこには江戸時代からの陰間の血が流れているような、中性的な魅力があった。
真山は話しているとき、唇をすぼめる癖がある。そして唇を舌先で舐めたりもする。耕平は、ピンク色をした艶やかな唇を見ていると、下腹部がざわめき立つのを覚えた。
別れ際に、師匠は耕平の手をそっと握って、尋ねた。
「今夜、あいていますか?」
耕平は手を握られてどぎまぎしたが、とっさに返事をした。
「あ、はい」
その返事を聞くと、師匠は「ちょっと待ってて」と言って、部屋を出て行った。
しばらくして師匠は戻ってくると、メモ用紙を耕平に渡した。
別れたあと見ると、ホテル名と部屋番号、そして今夜9時と書かれていた。
指定されたホテルの部屋の前に立って、ノックをすると、ドアが開いて真山師匠の姿が現れた。シャワーを使ったのか、バスタオルを着ている。
「さあ、早く――」
師匠は耕平を急かすと、慎重にドアを閉めた。
振り返った途端、しがみついて唇を求めてきた。最初から、えらく積極的である。
そのあとすぐに、ベッドに直行した。
師匠は耕平の身体に取り付いて、手早く衣服を脱がしていった。ズボンを引き下げたとき現れたものを見て、ため息交じりに言った。
「わあ、すごい!きみは素晴らしいお道具を持っている」
そう言う師匠も、予想外の立派な性器をぶらさげていた。バスタオルを開いた師匠の身体は、女のように色白でしっとりとして、その中心部に、百戦錬磨の罪深い男根が、どっしりと垂れ下がっているのだ。
その逞しさに、耕平は、自分が女役をやるのを期待されているのではないかと思った。
彼の逡巡を読み取って、師匠が甘ったるい声で言った。
「きみの好きなようにして。わたしを滅茶苦茶に可愛がって――」
まずベッドの上で抱き合って、口を吸った。戯れるように唇を咥え、舌をからませ、口蓋をねぶった。そのまま初心っぽいあごから耳へと唇を這わせ、耳たぶを甘噛みした。
指の腹で胸の突起を押し揉んだとき、白い身体がピクリと痙攣した。どうやら師匠の感じるところは、乳首にあるようだ。そこを重点的に責めた。
指先で刺激を与えながら、もう一方の乳首を口に含んだ。舌先で転がしながら、軽く甘噛みする。
「あ、やめて――いや――だめ」
真山は夢うつつに、心にもない言葉をつぶやいた。ときおりぴくついて、70歳とは思えない、肌理の細やかなみずみずしい肢体を、色っぽくうねらせた。
今度は逆さ絵の要領で、しなやかな身体の上に覆いかぶさった。すぐ目の前に、薄い陰毛を背景に、場違いなほどふてぶてしい男根が横たわっていた。ずる剥けの先端を吸い込むように含んで、舌を絡めた。みるみる大きく膨らんでくる。硬度を増してきたので、舌を添えて太く浮き出た裏筋をねぶりあげる。ついでカリの張った窪みの円周に沿って、チロチロと舌先でくすぐった。
口と舌で太い陰茎と戯れながら、尻の狭間に指をもぐり込ませた。指先が秘肛を探りあてた途端、師匠の身体がビクッと揺れた。
「あっ!――そこは駄目っ!」
どうやら師匠のもうひとつの性感帯は、裏門に
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