(4)愛に生きる
高山秀樹が神父と交わって1週間後の夜、彼はふたたび老師の部屋にやってきた。今回は師に呼ばれたわけではなかった。
神谷神父はベッドに横たわり、目を閉じていた。口もとを緩ませ、ひっそりと寝入る老人の無垢な寝顔を見ていると、秀樹は言いようのない愛情を覚えた。
老人の寝息にあわせて、体にかけた毛布が柔らかく上下に起伏している。秀樹は毛布の端をめくり、神父の横にそっともぐりこんだ。
本当に寝入っているのか分からなかった。秀樹は老神父にぴったりと寄り添い、目を閉じた横顔をながめた。こうして何もせず、ながめているだけでも幸せだった。
彼の意志に反して、罪作りの性欲が騒ぎ出した。
秀樹は、やわらかな体にそって優しく愛撫を始めた。胸からわき腹、丸く盛り上がった腹部へと、掌を這わせる。
彼の欲情が伝わったかのように、神谷神父が目を開けた。
老人特有のゆるんだ二重目蓋のすき間から、潤んだような目がものうげにこちらを見た。秀樹を認め、かすかに微笑んだ。
とたん、暖かいものが秀樹の心に充満した。師の顔を間近にして、この前の夜、その肉体に浸透したときのやわらかい感触が鮮明に蘇った。
秀樹は無言で、神父の体を抱き寄せ、口づけをした。
老師は拒まなかった。心地よい興奮が募ると、秀樹は師の着ているローブの前をひらいた。無毛の太ももの間に、ボリュームたっぷりの性器が、どんよりと横たわっている。顔を近づけ、先端を含みながら、舌の表と裏を使ってぐるりと舐めた。ついで口の奥へと滑らせる。
上目使いに老人の様子をうかがうと、目を閉じ、あごをのけぞらせて、気持ち良さそうに喘いでいる。
(神父さまは悦んでいらっしゃる)
それに力を得て、口を性器がわりに、抽送運動を始めた。大きな先端部が喉の奥を突いて、息を詰まらせたが我慢した。
つとめて喉を広げ、偉大なる師のすべてを呑み込もうとした。
小柄な体が緊張して、小刻みに震え出した。しばらくして、あのなつかしい感触、老人の小さな身体がピクピクと震え、貴重な聖水が彼の口中に滲み出た。
今度は、神父と一体になる準備をした。師のおしりは、赤ん坊のように小さくて丸っこく、マシュマロのような柔らか味をおびていた。その狭間に顔を埋め、味わうように舌でほぐした。ついで用意したオイルを使い、神聖な開口部を指でもみほぐした。
すっかり準備が整うと、師の開かれた足を肩で支えながら、狭間に浸透していった。前回よりもずっと滑らかだった。
腸壁にそってなめらかに抽送をくりかえしながら、師の表情を見た。品の良い眉をしかめて目を閉じ、あごをのけぞらせている。なかば開いた口から、悩ましい喘ぎ声がとぎれとぎれに聞こえてくる。
股間で欲情が渦巻いた。
腰をうねらせて奥深く突き入れると、大きく、力強く、動き出した。官能が、腰全体で渦巻き、揺れ動き、膨らんでいった――。
まもなく到達しようとしていた。
秀樹は耐え切れず、歓喜の呻き声をあげ、深々と突き入れた。
息詰まる一瞬、わずかに遅れて、怒涛の奔流が押し寄せてきた。
ほどなく、安息の暗闇にのめり込んでいった。
清児は、高山秀樹の寝顔を見ていた。無邪気で、純粋で、思わず庇護したくなる弱さもある。先ほど、嵐のように吹き荒れたのが嘘のように、今は穏やかな表情をしている。
そっと手を伸ばすと、いとおしそうに男の胸を撫でた。ほどよく肉がついて、壮年男の覇気を感じさせる。
男が逞しい力で入ってきたときのことを思い出した。あのときは、引き裂かれるような恐怖を覚えた。アヌスが極限まで押し広げられ、胃の腑までも侵略されたようだった。男の性器は、ふてぶてしいほど強大だった。
しかし、体内で脈打つ感触は、生命の逞しさ、素晴らしさを伝えていた。男の激しい息遣いや呻き声は、生みの苦しみの交響曲だった。いつしか彼は陶然として、現世の天国を味わっていた。
愛する人と愛の行為をする――。
初老の助手の言った言葉が、思い出される。
清児は、秀樹が到達したときの感動を思い出した。筋肉の震え、迸る精液の勢い、それらすべてが鮮明に蘇った。
彼はフッと微笑み、体を摺り寄せて、男の温もりを求めた。
――1ヶ月後。
身支度を整え、自分の部屋を出たとき、神谷清児は胸を反らせて深呼吸をした。
すがすがしい朝の空気だった。
今日は神父として、最後のお勤めの日だ。
本部には、健康を理由に引退の届け出をして、明日からこの教会に新任の神父がやって来る。そして清児自身は、聖職を外れ、喜びや悲しみ、そして悩みをもった普通の人間として、新しい生活を始めるのだ。
神谷神父は教会の入り口で、教区民たちと普段と変わらない挨拶を交わした。
彼らは中にはいり、思い思いの相手とおしゃべりをして、笑ったり、陽気にうなずいたりしている。
お勤めの時刻になると、神谷神
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[*]
感想