明日への章
運命とは、最もふさわしい場所へと、あなたの魂を運ぶのだ。
――シェイクスピア
(1)肉体奉仕
佳代の死は、テレビや新聞の報道で小さく扱われた。スナックで働く女性が公園で死んでいた事件など、大したニュース価値もなかったのだろう。しかし、警察の内部では、ほぼ事件の状況は掴めていた。
死因そのものは、頭蓋骨折と脳内出血によるものとわかったが、死体解剖の結果、複数の男性の精液が検出された。そのうえ、女の身体に付着していた数本の陰毛があった。警察は、現場の足跡その他の調査により、犯人像を絞り込んでいった。
そして、事件の一週間後には、中年男たちが逮捕された。
香月佳代の葬儀は、小雨のなかで、ひっそりと行なわれた。
彼女には身寄りがなかったので、参列者は少なかった。神谷神父とふたりの助手、事件を担当する警察関係者、それに数人のボランティアの信者たち。
佳代の死は、哀悼こそすれ、だれも泣かなかった。ただひとり下村芳実だけは、遠い昔、自分の欲望のせいで死んでいった娘を思い出して、式の間中、泣きつづけていた。それを中年の同僚が彼の肩を抱き、優しくなぐさめていた。
そんなふたりを従え、神谷神父は最後の追悼の説話をした。
神谷は複雑な心境だった。警察からは、簡単な事情しか聞かされていない。しかし確実なのは、あの夜、佳代が彼と交わったあと、ほかの男たちとも性交渉をもって殺されたことだ。あの哀れな女は、とうとう死ぬまで姦淫の罪から逃れることが出来なかった。
そして自分は――その哀れな女と一緒に堕落したのだ。
式の合間に聖歌を数曲歌い、参列者全員が花を手向け、葬儀は静かに終わった。
しかし、神谷神父はそのあとも思い悩んだ。
(自分には、聖職の道をすすむ資格があるのだろうか?)
彼はふたりの助手をかえり見た。ハンサムで物静かな中年の助手。近親相姦という拭いがたい罪で、残り余生を神に捧げる決意をした初老の助手。彼らのほうが、自分より聖職者にふさわしい気がした。
――*――
下村芳実は、友人のためにベッドでうつ伏せになっていた。脚を広げ、背中をたわめ、尻をうしろに高く突きだして――。
今の彼は、葬式のときの悲しい気持ちが消え失せ、かわって、友人に奉仕するという悦びで満ち溢れていた。
これから行われることは苦痛だが、そんなことは問題ではなかった。過去に自分が犯した罪に対する、償いと試練なのだ。それに加えて、この世の中で神父に次いで大切な友人のために、この体を差し出す、という喜びもあった。
高山秀樹は、年配の友人の背後から、白く、ぴっちりと肉の詰まった、豊満な膨らみをながめていた。
誘うように開いた双丘、それにつづく太ももは、マシュマロのように柔らかくて滑らかだった。うっすらとピンク色に染まった谷間の中心部で、つつましやかに隆起したふくらみが、やわらかく息づいている。
秀樹は、用意したラブオイルをチューブからひねりだし、目の前のやわらかい皮膚に塗り込めだした。指の先で、皺のひとつひとつを押し開き、オイルを丹念になすりつけていると、年配者が気持ち良さそうに尻をうごめかせた。
用意が整うと、同僚の背後にのしかかり、あてがい、ゆっくりと突き入れた。
「はああっ!」
老いた友人が鋭いあえぎ声をあげた。
ぶっつりと厚い肉を断ち切ったような挿入感、それにつづく狭い腸壁を押し開いていく感触。皮が手前に引かれ、しごかれるような緊縛感に、秀樹の興奮は急上昇した。
しかし、すぐには動きださなかった。根もとまで挿入すると、しばらくの間、年配者の感触を味わった。その内部は、じつに温かく、そして、やわらかだった。全長をぴっちりと包み込み、粘膜をとおして相手の精気が滲み込んでくるようだった。
いっぽう芳実は、筋肉の束をよじったような肉杭を受け入れて、シーツにしがみつき、その荒々しさに耐えていた。彼の丸っこいひたいには、一面に汗が浮き出ていた。
しかし彼は、友人の悦びを感じとり、自分も相手に同化して快感を覚えつつあった。
秀樹は繋がったまま、先を急がずじっくりと、ふくよかな体を愛撫した。適度の張りと弾力をもつ双丘のふくらみ、わき腹から下腹にかけてのとろけるような柔らかみ。
すこし後退して、結合部をのぞき見た。粘膜質の管が、彼の分身を縁どったようにふくらんでいる。
欲情が増幅した。相手のわき腹をつかむと、ゆっくりと抽送運動を始めた。しかし、なんとなくしっくりこない。そこで気がついた。これでは一方的過ぎる。もっと同衾者と一体感を持たなければ。
彼はいったん離れると、相手を仰向けにした。そして両足を引き上げ、開いた狭間に浸透していった。
視線を上げると年配者の顔が見えた。丸っこい顎をのけぞらせ、目をしっかりと閉じ
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