(2)下村芳実
下村芳実は、妻が死んだときから、男手ひとつで娘を育ててきた。節約家の彼は、お手伝いも雇わなかった。飯の支度から掃除、洗濯――すべてひとりでやってきた。
それは晩婚の彼にとって不慣れな労働であったが、さいわい仕事場である質屋は自宅と同じ建物内にあった。彼は仕事のあいまに家事をし、そしてひとり娘の面倒を見た。
娘の和枝は愛くるしい顔をして、おとなしい子供だった。親子はとても仲が良くて、時間的に許されるかぎり、ふたりはいつも行動を共にした。
とくに和枝は、父親と一緒に風呂に入るのが好きだった。いつもふたりは、お互いの体を洗いっこした。それは、少女から女性へと、娘の肉体的変化が現れてからも続いた。和枝は、父親と同じように、自分の股間に若草が生えだすと、無邪気に喜んでいた。芳実は、日増しに女性っぽくなる娘の肢体に、ときにどぎまぎすることもあった。
それからしばらくして、娘は父親と風呂に入らなくなった。
ある日、娘は若い男を家に連れてきて、芳実に紹介した。
男は背が高く、ハンサムな顔をしていた。そのとき和枝はすでに18歳、死んだ母親に似て、小柄だが均整のとれた体と、憂いを含んだなかなかの美人になっていた。
ふたりは芳実のまえで、緊張しているようすだった。それでもときおり、親密そうに目配せを交わし合うのを、芳実は見逃さなかった。
芳実は若い男に対して、多少無愛想ともいえる態度で接した。
若い男も、恋人の父親の前で居づらいのか、しばらくすると、そろそろおいとまします、と告げた。
家を出る男の後を、あわてて娘が追った。
芳実は外に出て、なかよく肩を並べて歩き去るふたりの後ろ姿を、じっと見守った。
そのとき気づいた、娘の丸みをおびた臀部のふくらみ――もう娘は、一人前の成人女性なのだ。
彼の見ている前で、男が親密そうに娘の肩に手を置いた。それを見て唐突に、芳実の頭の中で、淫らな思いがよぎった。娘と若い男が全裸で絡み合っている光景を――。その思いに、50半ばになる芳実は、下腹部がざわめくのを覚えた。
その夜、和枝の帰りは遅かった。
10時に娘が帰ってきたとき、芳実は彼女を厳しく叱った。娘はなにも言わず、むくれて自分の部屋にとじこもった。物心ついてから、和枝が父親に対して反抗的な態度を示したのは、このときが初めてだった。
芳実はひとり食堂にとりのこされて、酒を飲んだ。
彼の頭の中では、さまざまな思いが渦巻いた。和枝とあの若い男の仲は、どこまで進んでいるのだろう?大事な娘の白い肌に、男の無骨な手が這い回る様が思い浮かんだ。
酒が入って激しやすくなった彼は、男と娘の淫らな姿を想像して頭を振った。
(許せないっ!)
彼はふらふらと立ち上がり、娘の部屋に向かった。ドアを開けると、豆電球の薄明りに、ベッドのうえで眠っている娘の姿が見えた。
芳実はベッドに近づいた。薄い掛け蒲団が横にずれて、娘の片脚が露出していた。白くてなめらかで、匂うような若さのにじみ出た脚だった。
それを見ていて、芳実はごくりとつばをのみこんだ。
(確かめるのだ、和枝がまだ生娘なのか)
彼は自分に言い聞かせた。
蒲団の端をめくって、娘の腰のあたりを見た。薄いネグリジェの下で、白いちっぽけなパンティーにおおわれた膨らみがかいまみえた。
芳実はにわかに息苦しさを覚えた。長い禁欲生活の反動で、彼は極度に興奮していた。
手をのばし、膨らみにそっと触れた。その手が震えていた。指の先でふくらみの合わせ目をそっと撫でた。
そのとき和枝がかすかに吐息をついた。あわてて顔をあげると、娘はぐっすりと寝入っている。
彼は大胆に、合わせ目にそって指をすべらせた。そこが湿ってきたように感じた。あとは――直に見て、確かめるしかなかった。
彼は震える両手で、娘のちっぽけなパンティーをずり下ろした。それから娘の両足を開き――そこを見た。
淡い陰毛で覆われた恥丘、ふくらみを縦に割る深いくぼみ。陰にひそむ幼いくちびる。淡いピンク色をして、湿った鈍いひかりを宿していた。
はりつめた風船が割れるように、芳実の頭の中でなにかが弾けた。
もはや娘の処女を確かめるどころではなかった。彼は自らの下腹部をむきだしにすると、娘の横たわるベッドに上がりこんだ。かつてなかったほど固く膨れ上がった男根が、期待に打ち震えた。それを片手で握って、あてがい、入り口を探っていると、息も出来ないほどの胸苦しさを覚えた。
先端部に秘めやかな湿り気を感じ、腰を前にぐいと押した。ふくらみを割って入り込んだとたん、娘が目を覚ました。
「いやっ!やめてっ!お父さん」
娘がはげしく抵抗しだした。
やめなかった。
内部の湿った温もりを感じた途端、芳実は逆上するような劣情をおぼえていた。
「和枝、いい子だ――おとなしくしなさい」
酒臭い息を吐いて、
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