阿礼鋤カンパニーの経理担当課長、僕野芳桂(ぼくのほうけい)は舞い上がっていました。昼間、阿礼会長と牛丼屋に行ったときのことです。
出てきた丼物を食べながら、会長はおもむろに切り出しました。
「ところで僕野くん、この週末は空いてるか?」
「はい、今週は、特に予定は入っていません」
50歳にして独身の芳桂は、いつも予定が無いのは当然ですが、もったいぶって返事をしました。
「じゃあ、私に付き合ってくれ。お客様と泊まりで温泉に行くんだ」
「承知しました。――で、お客様はどなたですか?」
「ああ、御居処カンパニーの奈井須部長だ」
その名前を聞いたとたん、脈拍が急上昇しました。芳桂は阿礼会長が好きでしたが、奈井須部長はそれ以上に好きでした。温泉に入っている奈井須部長の裸体を想像したとたん、呼吸困難に陥りそうなほどときめいてきます。
そんな彼の思いに気づかず、会長はさりげなく付け加えました。
「行き先は太田くんが知ってるから、彼と打合せしておいてくれ」
運転手の名前を聞いて、ウキウキ気分だった芳桂の気持ちがすこし沈みました。
太田運転手は穏やかな顔と優しい心根の老人でしたが、芳桂は何となく苦手意識があります。老運転手の風貌は、遠い昔の苦しい思い出に繋がるからです。
――彼が初めて男色を経験したお相手の老人に。
――*――
大学最後の夏、僕野芳桂は東北地方へひとり旅をしていました。お金を節約した行き当たりばったりの旅でした。
山間部に入って、川原のそばにある、ひなびた露天風呂に入ったときです。
地元の人たちらしい素朴な顔つきのお爺さんが3人、のんびりと湯に浸かっています。岩を組んで作られた露天風呂は、まだ陽も明るいこともあって、すべてが透明感に包まれていました。
服を脱いで、澄みきった湯に足を入れたとき、のんびりとした会話がピタリと止まりました。お爺さんたちは息を呑んだように、芳桂の方を見ていました。
それほど彼の裸は人目を惹きました。ぽっちゃりと丸みを帯びた体は、女のように色が白く、きめの細かい肌をしています。
「兄ちゃん、めんこい体してんのぉ」
白髪の老人が話しかけてきました。
その老人の脇腹をつついて、頭の禿げた老人がいたずらっぽく言います。
「おどぅ、ナンパしてるだべか?」
それから芳桂に振り向いて、人懐っこそうに笑いかけてきます。「んだば、おめぇの裸見てると、その気になってくるでよぉ」
「え、その気って?」
思わず芳桂が聞き返すと、お爺さんはニヤリと笑いました。
「その気ったらば、その気だべぇ。おめぇの裸見てると、おらぁのマラが、大きくなってくるだべなぁ」
お爺さんのあからさまな表現に、芳桂はどぎまぎしましたが、老人たちの人の良さそうな笑顔を見ていると、嫌な気持ちはしません。
特に、いかにも優しそうな顔をして、ひときわ大きな体つきをした老人には、妙に惹かれるものを感じていました。その老人は穏やかな笑みを浮かべて、おとなしく皆の話を聞いているだけです。
素朴な会話に付き合っている内に、その夜は大きな体つきの老人の家に泊めてもらうことになりました。その老人は独りで住んでいるとのことでした。
家に着くと、茅葺き屋根の大きな農家でした。
晩飯は、味噌仕込みの鍋をご馳走してくれました。それにお酒も少し出ました。
無口な老人は、アルコールが入ると訥々としゃべりだしました。
老人は大きな体をしていますが、その顔は柔和そのものでした。薄くなった頭髪、象のような優しい眼、肌艶のよい頬――老人を見ていると、芳桂は祖父と一緒にいるような、安らぎを覚えていました。
その夜、芳桂が床についていると、老人が布団の中にもぐり込んできました。大きな体に抱きしめられ、芳桂はいつのまにか裸にされました。
老人もすでに裸になっています。灰色の陰毛で覆われた股間に、ズル剥けの男根が垣間見えました。頭をもたげかけて、ぎょっとするほど巨大でした。
「ああ、やめて!」
芳桂は老人の腕の中で、もがきました。
しかし老人はやめません。
「ああ、おらぁもう、我慢できねぇだ」
老人は人が変わったように荒々しく、芳桂の体を求めてきました。体格差に加えて、農作業で鍛えた老人の力にはかないません。
芳桂はなすすべもなくうつ伏せにされ、女のように犯されました。
死ぬような苦痛でした。
とても老人のモノとは思えない逞しい肉杭が、小さな開口部を押し開き、体の奥深く侵入してきました。そして、蒸気機関車のように、湿った音を伴って行き来します。
芳桂はただただ布団に顔を押しつけて、弱々しく喘ぎ続けるだけでした。
延々とも思える時が過ぎ、苦しむ芳桂の耳に、老人の声が聞こえてきました。
「ああー、出そうだ――あ、出すべぇ!」
――*――
お得意先の奈井須部長を接待して、阿礼会長と芳桂は、温泉地
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