第3章 大人しい管理人

第3章 おとなしい管理人

私の住んでいる単身赴任者用のマンションに、後藤という名前の管理人がいた。
夫婦で管理人室に住み込み、子供はいなかった。年のころ五十代半ば、頭の禿げ上がった色白の男で、顔を合わせると、いつも慇懃な物腰でおじぎをする。中肉中背、眼鏡をかけた几帳面そうな顔は、管理人というより税理士といったほうが似合っている。
この無口な管理人にたいして欲望を抱いたのも、彼の裸を見てからだった。

マンションの住人有志で、二日市温泉に日帰りの温泉旅行に行った。その旅行に、管理人の後藤も参加していた。
浴場はさほど広くなかったが、大きなガラス窓から昼の陽光がさんさんと降り注いで、すべてが透明感に満ち溢れていた。
私は湯の中から、洗い場にいる湯浴み客たちを観察していた。
向こう向きに腰掛けて体を洗っている男たちの中で、後藤の白い肌はひときわ目立った。むっちりと横に張りつめた臀部が、腰掛けから大きくはみ出て、乳白色に輝いている。
微細な石鹸の泡が、丸みをおびた背中をトロトロと伝い下り、腰からふたつの膨らみに分かれる淡いくぼみに集まり、双丘の狭間に溜まっている。
私が見ていると、後藤は椅子から腰をあげ、体の石鹸を洗い流した。濡れた白い尻に照明が反射して、つやつやと輝いていた。

私は無意識に、エネルギー会社の川井と後藤の裸体を比較していた。二人ともまろやかな柔らか味を帯び、抜けるように色が白く、肌理の細かいきれいな肌をしている。
しかし後藤のほうが、川井より肉づきが良かった。それも固太りで、尻はむっちりと張りつめている。普段は几帳面そうな顔だけ見ているので、予想外の肉感的な裸体は、驚くばかりだった。
彼が前かがみになったとき、秘めやかな谷間があらわに見えた。薄紅色の谷間の中心部にひそむ、どことなくとぼけた表情の肛門――そのやわらかそうな皺の集まりは、男の太い逸物を咥え込むに、じゅうぶん余裕がありそうだ。
私は、居ても立ってもおられない、焦燥感を覚えた。
すぐにでも、この年配の男を組み敷いて、ふっくらした双丘を強引に押し開く。そして、狭間の湿ったやわらかい秘肛に、猛り立つ男根を突き入れる――そんな痛切な欲望で息苦しいほどだった。

風呂から出たあとも、私のうずうずとした欲望は静まらなかった。
宴会では、意識して後藤のそばに座った。後藤はもともと無口で、もっぱら聞き役に回っていた。
誰かが酔った勢いで、管理人を冷やかした。
「後藤さんは、週に一回は乗っかりたいけど、かあちゃんがやらしてくれないんだって」
皆がどっと笑い、言われた当の本人は、丸い体をますます丸めて、恥ずかしそうに唇を突き出す。彼は機嫌が良いと、下唇を突き出して、おちょぼ口にする癖があるようだ。
それ以来、私は後藤にたいして特別の関心をもった。彼はいつも顔を合わせると、控え目な笑顔で丁寧に挨拶をする。その顔は穏やかで人懐っこく、すぐにでも自分の部屋に引っ張り込みたい欲望を喚起する。

ある日、後藤は私の部屋にいた。キッチンの配水管の調子がおかしかったので、管理人室に電話をしたのだ。
後藤は四つん這いになって、流しの下に頭を突っ込み、配水管を修理していた。グレーの半袖シャツに、同色の作業ズボンをはいていた。着古したズボンの布地が、肉付きのよい臀部にぴっちりと張りつき、合わせ目では陰嚢の膨らみが丸く浮き出ていた。
その後姿を見て、私は股間にざわめきを覚えた。いまこの部屋には二人しかいない。よこしまな考えが、ムクムクと湧き起ってくる。

後藤は修理が終わると立ち上がり、腰に手を当てて伸びをした。それから私のほうに振り返って、何か言おうとしてやめた。私の目に浮かんだ、熱っぽい何かに気付いたのだ。
私はゆっくりと管理人に近づいた。川井と関係するようになってから、私は男色行為に対して大胆になっていた。
管理人は、ヘビににらまれたカエルのように、固まって突っ立っていた。私は相手の腰に両手を添え、そっと引き寄せた。
後藤は抵抗しなかった。その頬があからんでいた。
肉付きのよい体に沿って、手の平を滑らせた。腰を締めつけるベルトを越え、ぽってりと膨らんだ臀部を掴む――。
後藤は、ハッと息を詰めたが、じっとしていた。
私は相手のつややかな頬に顔を近づけ、単刀直入に切り出した。
「後藤さん、気持ちいいことをやろうよ」
色白の顔がみるみる朱に染まり、管理人はあとずさった。彼はソファーの縁に足をとられて、仰向けに倒れ込んだ。
私は、反動で開いた足の間に割り込んで、相手の体をソファーの上に押し付けた。
そのまま無言で片手を下に伸ばし、管理人の股間に手を這わせた。暖かく柔らかい弾力が、指に伝わってくる。年配者のあえぐ息を感じた。

相手が抵抗しないのをいいことに、私は大胆に指を使いだした。ズボンの薄い布
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