第1章 新たなスタート
就職先の本社は東京にあったが、3ヶ月後、研修を終えた私は、大阪支店に配属された。支店の独身寮に入って、いよいよ社会人としての新生活を始めたのである。
そんな私を、あの麻薬のような快楽の世界に引き戻したのが、前原という年輩男性だった。彼はある大手企業を定年退職したあと、私の勤める会社に嘱託として再就職していた。
前原は65歳になるが、年齢を感じさせない艶やかな顔をして、一見したところ、老医師か教会の神父といった風貌をしている。銀縁眼鏡の奥でやさしく輝く二重瞼の瞳や、血色の良い唇、整ったまろやかな顎に、初老男の色気が滲み出ていた。
そしてまた、年の離れた私の大学先輩でもあった。
大学同窓という繋がりがあってか、前原はなにかと私の面倒を見てくれた。経験に裏打ちされた彼の知識は、覚えるべきことの多い私にとって、教師のような存在だった。
いっぽうで、色白のなめらかな顔や、丸っこい尻、多少舌足らずの甘さを含んだ声は、私のフケ好みを刺激し、学生時代に経験した年配男性たちとの秘めた行為を思い出させた。
しかし、私はまだ気づいていなかった。――いかにも温厚そうな大先輩が、私に対して密かな欲望を抱いていたことを。
秋に社内旅行があって、倉敷のひなびた温泉宿に泊まった。
若輩者の私は嘱託の前原とふたり、最後に残された狭い部屋を割り当てられた。
前原と相部屋になって、私は落ちつかなかった。それは多分に、父親以上に年の離れた大先輩と二人きりということもあるが、理屈では割り切れない第六感が働いて、何かを予感していたのかもしれない。
それでも、大きな風呂に入って旅の疲れを癒していると、心底くつろいだ気分になれた。そして宴会では、先輩社員たちにしこたま酒を飲まされた。
部屋に引き上げたときには、すっかり酩酊して、意識も定かではなかった。覚えているのは、布団に倒れこんだまでだった。
私は祖父の夢を見ていた。祖父はなぜか素っ裸だった。大股開きに椅子に腰掛け、穏やかな笑みを浮かべて私を見ていた。その全身は赤ん坊の肌のように艶やかだった。
祖父は足を広げ、そして囁くように言った。
「さあ、おいで」
私は祖父の大きな体に抱かれた。いつの間にか幼児に戻っていた。
祖父の胸の中で、私はうっとりとしていた。暖かくて大きな胸の感触。かすかにパイプ煙草の香りがした――。
祖父の姿が薄らいだとき、胸から腹部にかけて、何やら柔らかいものに押し包まれているのを感じた。
穏やかな息吹、生命のぬくもり――私の指先がその柔らかいものに触れた。
埋もれるような柔らかさと、ひんやりとした心地よい感触。まるで絹のクッションのような肌触りだった。
私はゾクリと身震いした。
身内のあちこちで小さな渦が湧き起こり、淡い戦慄が全身を押し包んだ。
無意識にその柔らかいものにしがみついた。
温かい泥湯にもぐり込んだような安堵感が押し寄せてくる。じっとしがみついていると、安堵感がじょじょに性的な興奮に変わってくる。
ウズウズとした熱気が腰を覆い包み、凝集した。
私は切なそうに、下腹部を前に押しつけた。膨らみがふたつに分かれ、やわらかく受け入れる。それは、不思議な吸引力をもって下腹部に吸いつき、アリ地獄のように誘い込む。
そのうち、柔らかいものが性器に絡みついた。先端を押し包み、きつく、ゆるく、じりじりと付け根に移動して、ふたたび這いあがってくる。
夢の中と思えないほどの、リアル感があった。
目を開けた私は、すぐ間近に前原の白髪頭を認め、仰天した。
老人はぴったりと体を摺り寄せ、私の屹立した逸物を握りしめている。肌に当たる感触から、ふたりとも裸になっているのが分かった。
大先輩はくぐもった声でささやいた。
「さすが若いだけに、元気がいい。それにすごく立派やね」
身動きしようとすると、ふたたび声が聞こえてきた。
「しっ、しっ、じっとして。気持ちいいやろ」
やわらかい指が、肉竿に沿って熱っぽくうごめいた。
快感の渦が湧きあがって、私は身動きすることができなかった。
老人の起伏する腹が、私の腰をやわらかく圧迫していた。したたかな指の動きに、先走りがとめどもなく滲み出て、まといつく指を濡らし、陰毛に滲みこんだ。
指の動きがなめらかに、追い立てるように早く、高みの一歩手前で、ゆるやかに、焦らすようにねちっこく――。
前原の体が離れたと思った途端、別の何かが先端に触れた。なめらかな舌だった。器用な舌先がチロチロと亀頭をくすぐり、雁首のくぼみ伝いに這った。
「あっ、ああっ!」
私はあまりの快感に喘いだ。
温かいものが先端を押し包み、じりじりと付け根にむかって進んだ。下を見ると、老人が咥えたまま、ゆっくりと顔を上下に揺らしていた。
息詰まる快感が押し寄せてきたが、今度も焦らされた。すっと退き
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