第10章 町内旅行
大家の平田が、町内会の一泊旅行に行かないか、とぼくを誘った。
参加するのは中高年の人たちばかりと聞いていたので、最初の内ぼくは渋っていた。
平田は謎めいた笑みを浮かべて、いいものが見られる、絶対に後悔させない、と期待を持たせる言い方をするので、とうとう参加することにした。いいものと聞いて、大学教授の栗田の家で見た、ポルノビデオを思い出したからだ。
目的地の城ヶ島は日帰りでも行けるところだが、皆の希望で一泊となったのだ。宿はもともと温泉客の休憩用に建てられていたので、設備が整っていないのは仕方がなかった。
しかし、大浴場だけは来た甲斐があった。L字型の大きな浴槽に石張りの洗い場、浴槽に沿って大きな窓があり、窓の外には波が岩を洗う海の景色が広がっていた。
旅館に着いた一行は、まず大浴場に入った。皆がいっせいに入ったにもかかわらず、広い浴槽はまだ余裕があった。彼らは湯の中で思いおもいにくつろいでいた。
ぼくも大家と並んで湯につかった。湯温はさほど熱くなかったが、かえってそのほうが、のんびりとできた。
湯につかりながら、ぼくは旅行参加者の体を眼で追った。そこで何人かの心惹かれる裸を見つけた。
湯からあがると、宴会が始まった。
豊富な海産物の料理が出て、酒が酌み交された。年配者だけの宴会に参加するのは初めてだった。全員が宿の浴衣を着て、心底くつろいでいるように見える。席のあちこちで、のんびりとした明るい笑い声が沸き起こった。
宴会が終わった後も、数人の男女が残って、余韻を楽しんでいた。ぼくも大家に付き合って、その輪に加わっていた。
場の中心となっているのは赤ら顔の男で、八百屋の柳田だった。肉づきのよい体つきの陽気な60男だった。風呂場でぼくが興味を持った、熟年者のひとりでもあった。
皆、思いおもいの格好で、酒盛りをした。そのなかに韮塚夫人もいた。主人の韮塚は今回の旅行に参加していなかった。
ぼくは中華料理店で、この夫人とも顔馴染みになっていた。主人に似て肉付きの良い女性で、はだけた浴衣の襟元から、むっちりとした豊満な胸もとがのぞいていた。
不動産屋の大塚が、馴れ馴れしく韮塚夫人に体を擦り寄せて、なにやらヒソヒソ話をしていた。大塚は60前後の小柄な体格をした男で、八百屋の柳田と仲が良かった。
ぼくの耳に、大塚と韮塚夫人の会話が聞えてきた。
「奥さんって、さぞかし名器の持ち主やろうね」
「いやだあ、大塚さんって」
「だって、奥さんのおチョボ口を見たら分かるよ。きれいなピンク色をして、ぷっくりと艶があって――あっちのほうも、きれいな色をしてるんやろ」
「エッチ!やめてよ、大塚さん」
夫人の声が大きくなって、数人がそちらに注意を向けた。
「それに、ときどき口元がピクピクって痙攣してるけど、あっちのほうもよく痙攣するんじゃないの?男のモノをくわえ込んで――」
「もう、いやだあ」
夫人は色っぽく身をくねらせて抗議するが、その顔はまんざらでもなさそうだった。
横から八百屋の柳田がはやし立てた。
「奥さん、たまには違う球根も食べてみたらどうだい。毎晩、ご主人のモノじゃ、飽きがくるだろう」
「毎晩なんて、やってないわよ」
「それはもったいない。空いた晩は、わしに声をかけておくれ。すぐお相手しますよ」と大塚。
それに加えて、柳田が元気よく叫んだ。
「おれも呼んでくれ。芋でも茄子でも、選り取り見取りだ」
柳田の声に、ほかの皆がどっと沸き立った。
そのうち大塚が、ふらつきながら立ち上がった。
「ヤッさん、ご婦人がたに、大和男子を見せてやるか」
そう言うと、彼は節回しをつけて詠いながら、腰を滑稽にくねらせ出した。それに合わせて柳田が手拍子を打ち、全員が手拍子に加わった。
大塚は踊りながら、思わせぶりに浴衣を脱いだ。小柄でなで肩、胸毛がしょぼしょぼと生えて、腹だけがぷっくりと膨らんでいる。彼はうしろ向きになり、腰をかがめてパンツをずり下ろした。丸っこい小さな尻が、皆の目の前に晒された。
「いやだあ!」
婦人連中が嬌声をあげた。
大塚はパンツを引き上げると、韮塚夫人の前に行った。
「お尻はいやかい。じゃあ、もっといいものを見せてあげる」
彼はやおらパンツを引き下ろし、腰をぐっと前に突き出した。むきだしの性器が夫人の顔に迫った。
「いやだっ!やめてよ!」
夫人は抗議したが、その目はしっかりと男の股間に注がれている。ほかの女性陣もいっせいに黄色い声をあげたが、彼女らの視線も男のお道具をじっとりと見つめている。
たしかに大塚の性器は、一見の価値があった。先端部は包皮が完全にめくれて、ふてぶてしい陰影をおびていた。脆弱な肉体と、股間にぶら下がる分厚い逸物。アンバランスなだけに、生々しかった。
柳田の手拍子に、大塚がパンツを脱ぎ捨て、お盆を片手に
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[*]
感想