第8章 堕ちた大学教授
大家の平田のところに、ときどきひとりの大学教授が来ていた。栗田という名前の55歳の男で、平田の大学後輩だった。
栗田は色白の大柄な体つきだが、どことなく温室培養で育ったようなひ弱さがあった。大きい体つきにしては、手が小さく、指の付け根に笑窪ができるほど、ふっくらとして柔らかい。およそ肉体労働とは縁のない手だ。
大家の引き合わせで、ぼくは栗田と何度か口を利いたことがあるが、おとなしくて穏やかな性格をしているように思えた。
ぼくは、この栗田も大家の同類ではないかと疑っていた。と言うのも、この年配者は平田先輩と単に仲が良いという以上に、何か秘密を共有している親密さがうかがえるのだ。
それに甘いムードを含んだ顔――赤ん坊のように艶やかな頬、臆病そうな目、うぶっぽい柔らかそうな唇――には、平田や韮塚と共通の雰囲気があった。
そして、ぼくの予感があたっていたことは、ほどなく分かった。
ある日ぼくは、大家に連れられて、栗田の家に遊びに行った。
大家は道すがら話した。栗田の家族は旅行に出ているから、今日は気兼ねなく、彼の家でくつろげる、と。そこで意味ありげに微笑んだ。
「面白いものを用意しているそうだ。きみにとっても、いい社会勉強になると思うよ」
家に着くと、栗田はぼくの姿を見て、問いかけるように平田先輩の顔を見た。シャワーを浴びた後なのか、髪が湿っていた。
平田が、「いいんだ」と言うようにうなずいた。
ぼくたちはリビングに通された。昼間だというのに、窓には厚いカーテンが引かれ、照明がつけられていた。
(昼間から男三人が集まって、こんな密室で何をやろうとしてるのか?)
ぼくは訝ったが、その疑問はすぐに解けた。
ぼくたちがソファーに落ち着くと、栗田はいそいそとしてビデオテープをセットした。
テレビの画面が明るくなった時、ぼくはそのビデオがどんな種類のものであるか、なんとなく分かった。
20歳前と思われる若い女が、あてもなく夜の街をさまよい歩いている。そこで白髪の老人に出会い、彼の家に泊まることになる。
短く刈った頭髪の白さや、目尻の小じわから見て、老人は60を過ぎていると思われる。しかしプロレスラーのように立派な体格をしていた。着ているシャツは胸のあたりが分厚く膨らんで、腰はビア樽のように頑丈そうだ。
それでいて、よく日焼けした老人の顔は穏やかで、象のように優しい目が印象的だった。
場面が変わって、老人と若い女の情交シーンになった。いかにもポルノビデオらしく、余計なストーリーは省かれている。
フンドシ姿で布団に横たわる老人。分厚い胸板と太い腕、腹と腰周りはさすがに贅肉がついていたが、弛んだ感じはない。
すでに裸になっている女が、老人の股間に手を這わせた。褌の前の膨らみは、大きな陰影を見せていた。それが本物の膨らみなら、すごい巨根の持ち主だ。
女が老人の腰から、器用な手つきで褌を外した。
ぼくの横で、年配者たちが息を呑む気配がした。
それほど老人の持ち物は大きかった。先端部はぼってりと肉厚で、何かの動物の心臓のように生々しい。
「――すごいお道具ですな」
大家がかすれた声でつぶやいた。
画面では、女が渋茶色にふすぼけた肉根を片手でつかみ、やさしくしごきだした。全ては握りきれず、頭部が小さな手から大きくはみ出ていた。
もう一方の手は、蜜袋を引っ張り出して、指先で引っかくように刺激を与える。玉袋の大きさも常人の倍はありそうだ。
女は舌を使って、先端部を舐めだした。猫がミルクを舐めているような音がした。
老人の逸物が自立できるくらいに硬くなると、女は顔を離した。
まさに巨根だった。グンとエラの張った雁首は、唾液で隠微に濡れ光り、太い茎には縦横に血管がのたくっている。
やがて女が老人の腰にまたがり、巨大な逸物を体内に納めようとした。
( ――ほんとうに入るのか?)
ぼくは固唾を呑んで見守った。
女は眉間に皺を寄せ、苦しそうに口を半開きにして、慎重に腰を落としていった。
カメラが結合部をクローズアップで捉えた。太い肉杭が、ジリッジリッと小さな割れ目に呑み込まれていく。
女の動きが止まった。巨根が完全に呑み込まれていた。
女は太い肉杭に刺し貫かれて、しばらくじっとしていた。
やがて女が老人の体にしがみついて、ゆっくりと上下に動きだした。動きに合わせて結合部が、卵を呑み込んだヘビのように膨らみ、ついで体内にむけてたわんだ。
ぼくたちは魅入られたように見つめていた。老人の逸物を見ていると、浮世絵がけっして誇張されたものではないと思えてくる。
しばらくして、老人が女の腰に太い腕をまきつけ、体を入れ替えた。それから、老人とは思えないたくましさで、女の柔らかい秘所を穿ちだした。
黙々と動く固太りの巨大な臀部――目的もなく揺れ動く淡褐
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[*]
感想