第6章 慰めの報酬
翌年の春、朝倉は地銀の本店に戻っていった。本人が喜んだのかどうかは分からないが、家族と一緒に暮らせるようになったのだ。
朝倉の異動に、いちばんショックを受けたのは韮塚だった。親密だった相棒が遠くに離れて、純情な彼は、見ていて気の毒なほど落ち込んでいた。
しかし、ぼくには慰めようがなかった。そのころのぼくは、朝倉の代わりになる心境にはなれなかったからだ。
ぼくは、大家によって口腔性交を経験して以来、老人とは何度か口に出して言うのもはばかられる行為をした。しかし、肛門に挿入する行為までは、発展していなかった。まだその頃は、いかにも変態的で不潔に思えたからだ。
ある晩、スナックでアルバイトをしていると、韮塚がふらりと店にやってきた。彼の女房は、よくあることらしいが、姉家族のところに行って今夜は泊まりだと言う。
韮塚は、まだ朝倉をあきらめきれずにいた。さほど強くもないのに、ウイスキーの水割りをグイグイと呷っていた。――まるで朝倉のことを忘れようとするように。
そのうち顔を真赤に染めて、ロレツがまわらなくなった。ついにはカウンターに突っ伏して、正体を失ってしまった。
店のママに言われて、ぼくは、韮塚を彼の自宅まで送り届けることにした。彼を起こし、太った身体を支えながら店の外に出た。
韮塚の自宅に戻ると、彼は洗面台にしがみついて嘔吐しだした。
ぼくは年配者の背中をさすってやり、水でうがいをさせた。胃の中のものをすっかり吐いてしまうと、すこし落ち着いたようすだった。
リビングに行き、韮塚をソファーに座らせて、気分がおさまるまで付き合うことにした。
そのうち韮塚が泣き出した。
ぼくは年配者の純情に感動を覚えた。40半ばの男が、惚れた男との別れを嘆いて、さめざめと泣いているのだ。
子供をあやすように、小太りの背中を撫でてやった。それから言った。
「さあ、韮塚さん、シャワーを浴びよう。気分が良くなるよ」
ぼくは韮塚を立ち上がらせて、服を脱がしだした。シャツのボタンを外し、ズボンのベルトを緩めた。韮塚は抵抗もせず、ぼくのなすがままにしていた。
ぼくも手早く服を脱ぐと、韮塚を浴室に連れて行った。
裸の韮塚は丸まるとして、みずみずしい艶と張りをもっていた。
肩から胸、尻へとシャワーで湯をかけてやった。生っ白い球根のような逸物が、薄い陰毛の中から頭をもたげている。春情を催している証拠だ。
涙で潤んだ目がぼくを見上げた。その表情は世間知らずの少年のようにあどけなかった。ぼくは急に、この中年男にたいして、哀切と愛情を覚えた。そして思わず相手の体を抱き寄せていた。
柔らかい中に芯のある弾力が、ぼくの欲情をあおりたてた。ぼくは中年男の体を、女のように愛撫した。肉太の腰から尻にかけて揉むと、太った体に歓喜のさざなみが走った。
ぼくの逸物は痛いほど勃起して、韮塚の腹に押しつけられていた。
このとき初めてぼくは、男の肛門に入れてみたいという欲望を覚えた。
「お尻に入れさせて」
ぼくは韮塚の耳元でささやいた。
韮塚は下に目を落として、一瞬、怯えたような表情をした。それから意を決めたように浴室を出て、戻ったときには潤滑オイルの入った容器を手に持っていた。
彼はぼくの前に屈み込むと、吃立した逸物に舌を這わせて、ますますいきり立たせた。
中年男の慣れた口淫に、ぼくはみるみるのぼり詰めた。すぐにも到達しそうになって、慌てて韮塚の動きを止めた。
韮塚は欲望に打ち震える肉棒に、オイルを塗り込めた。それが済むと、壁に手をついて腰を曲げ、尻に指を入れてほぐしてくれ、と言った。
ぼくは教えられるまま、指にオイルを付けて、開かれた尻の狭間をまさぐった。
人差し指をあてがい中心部に向けて力を加えると、すんなりと入った。
募る興奮から、ぼくの手はぶるぶると震えていた。
ゆっくりと抽送して、ほぐれてくると中指を加えた。
韮塚が、気持ちよさそうな喘ぎ声をあげた。
いよいよ挿入しようとする前に、背後から中年男の体をじっくりと観察した。
むっちりと横に張りつめた白い双丘、恥らう乙女を想わせる薄紅色に染まった谷間、つつましく窪んだ菊座――。それらを見ていると、朝倉の分厚い逸物が押し開きながら出没するさまを思い出して、みだらな想念が渦巻いた。
心臓の鼓動が、早鐘を打つように激しくなってきた。ぼくは肉付きの良い体に背後から覆い被さり、見当を付けてあてがうと、挿入行為を開始した。
何重もの環状筋の層が立ち塞がるようだった。とうてい侵入できないのではないかと思った。膝を使って相手の太腿を左右に押し開きながら、ぐいと突き刺した。
ふいに先端が、湿った熱いものに包まれた。
「うわあっ!」
韮塚が悲鳴を上げた。
まるで、分厚い肉をブッツリと断ち切って突き入れたような緊縛感が襲った。そ
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