(5)
篤志は品川駅で華下正一と待ち合わせて、電車に乗って熱海へと向かっていた。
大木奈運転手の車を使ってもいいが、正一のプライバシーを考慮して、電車にしたのだ。官僚出身の正一は民間企業に天下って、まだ現役で働いている。あらぬ噂を立てられないように、細心の注意が必要だ。
電車の中では、プライベートな話題に触れないよう、会話内容に注意した。
経営側の仕事をしているだけに、正一は世の中の動きに明るかった。もっぱら景気動向や世界の政治情勢について意見交換した。
熱海に着くと、篤志が何度か利用したことのあるホテルに向かった。彼はそこの最上階の部屋を予約していた。
まず、正一を誘って、部屋付きの露天風呂に入った。
60歳の体は、きれいな肌をしていた。思春期前の少年のような体毛の無い体に、うっすらと脂肪が付いて、見ている篤志の好色をそそる。
ここには二人きりしかいないという思い、それに裸になった解放感から、篤志は大胆になっていた。
湯の中で小さな体を抱き寄せ、そっと唇を合わせた。
口づけしたまま、乳首を指でつまんで刺激すると、「ああっ!」と正一が切なげに顎をのけ反らせた。
小柄な体を抱いたまま、篤志は尋ねた。
「どうしてわたしに抱かれたいと思ったのですか?」
「――あなたの大きさに惹かれました」
言ったあと、正一は恥ずかしそうに目を伏せた。「いえ、体の大きさではありません。そのう、何というか――雰囲気の大きさです。仲間さんには大いなる父性があります。一緒にいると、大船に乗っているような安心感を覚えます」
「それは嬉しい。実は、満須夫くんの結婚式のとき、あなたに初めてお会いしたときから、わたしもあなたに密かな想いを寄せていました」
言ったあと、篤志は顔を寄せて、もういちど口づけした。
正一は小顔で整った顔立ちだが、息子の満須夫のようなゾクッとくる色気はない。
すっきりした鼻の線や引き結んだ小さな唇は、楚々とした魅力はあるが、色事とは縁が無いように見える。
しかし、正一と御膳念須巳の顔立ちが良く似ているところから、必ずしも見た目と性格が一致していると言えないのがよく分かる。
篤志は正一を見ていて、皮肉な思いにとらわれた。息子が結婚して男色から足を洗い、代わって父親が男色の道に入る――。
その夜、篤志は、正一と肉体的な交わりを持った。
彼の愛撫に、小さな体が震えていた。それが興奮からか、それとも未知なるものへの怖れからか、それは定かでない。はっきりしているのは、正一がこういったことに初めてだということだった。
淡い陰毛の中から、小振りだが形の良い肉根が頭をもたげている。体をずらせてそれを口に含んだ。
小さな体に細波が立った。
技巧をこらして、ピンク色に染まった男根を舌でなぶり、可愛らしく丸まった蜜袋を口に含んだ。舌先が蟻の門渡りをくすぐりながら通りすぎて、清らかな皺の集合体を舐めだすと、正一は耐えきれずに体を震わせ、歓喜の声を上げた。
いよいよ準備が整って、正一が仰向けになって、開いた両足を抱え込んだ。尻の下にクッションを敷いているので、菊門が上向きになっている。
篤志は迷っていた。このまま先に進んでいいものか。いま目にしている菊座は、あまりにも清純で、無理に入れようとすると大きな苦痛を伴うだろう。
それでもためしに、入れてみることにした。
ラブオイルをたっぷりと塗りつけて、開かれた狭間に当てがった。両手で尻の穴をいっぱいに開いて、中心部に力を加えていく。亀頭の先端がめり込んだところで強い抵抗にあって、カリが変形する。
「くっ――く、くく――」
歯を食いしばった正一の口から、思わず声が洩れ出る。
「すぐには無理だな。今夜はこのへんでやめましょう」
篤志が言うと、驚いたことに正一が懇願した。
「お願いです、最後までやってください。どんな苦しみも我慢します。ですから、どうか続けて――」
正一の強い決意に負けた。
篤志は、仕切り直してラブオイルを補充すると、ふたたび挿入行為を始めた。
何度も辛抱強く入り口付近を亀頭で突き慣らし、じんわりと奥へ入れていく。
正一の顔は苦痛にゆがんでいたが、健気に我慢している。
何度か途中で抜いて、オイルをつけて、挿入する行為を繰り返した。
そしてついに、全長を埋め込んだ。
「全部入りましたよ」
篤志が声をかけると、正一は目を開けて、「ああ――」とつぶやいた。涙の筋が頬を伝った。苦痛の表情がいくぶん和らいだように見える。
篤志は繋がったまま、上体を倒して正一の耳元でささやいた。
「完全に結ばれたところで、今夜はおしまい。明日の朝、もう一度試して見ましょう」
翌朝、目を覚ました時は、まだ薄暗かった。
すぐ横に人の温もりを感じて、そっと横を見ると、正一が健やかな寝息を立てていた。
目を閉じたその顔は、無垢な童子の
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