(5)
7月半ばになっても、梅雨は続いている。その日も朝から雨が降っていた。雨脚は早くないが、しとしとと際限なく振りつづけている。
篤志は運動不足を解消しようと、雨の中、思い切って散歩に出かけた。
こんな日、人間はしおれているが、植物は生き生きとしている。傘をさして歩いている道端には、アジサイの花や葉が雨に濡れて、より輝きを増している。
篤志の横を黒いベンツが通り過ぎて、前方で停止した。車のドアが開き、傘を差した男がやってきて、篤志に向かってにこやかな顔で話しかけた。
「仲間会長さんですね」
知らない顔だった。でっぷりと肥って背は篤志と同じくらい。
薄くなった頭髪と脂ぎった顔艶からみて、歳の頃、50代の半ばくらいだろう。なんとなく目つきがいやらしかった。
篤志はすぐに返事をせず、逆に男に聞いた。
「えっと、どちらさんですか?」
そのとき、腰のうしろに硬いものが押し当てられた。篤志が振り返ろうとすると、前の男が平静な声で言った。
「あっと、そのまま。動くと体に穴があきますよ」
篤志は動じないふりを装った。
「オモチャのピストルで脅して、どうしようって言うんだ」
男の目がすっと細められた。
「試して見るかい」
急変した男の冷酷そうな目つきに、篤志は試す危険を避けた。
銃で脅されながら、前に駐車したベンツに連れていかれた。スモークガラスの窓で、中が見えないようになっている。篤志はその車に乗せられた。
でっぷりした男が運転席に座り、背後からピストルを突き付けた男が、後部座席の篤志の横に座った。体格の良い筋肉質の男で、年齢は40代。頭は職人風に角刈りにしている。一見、篤志が昔愛した高城健に似ていたが、この男には品性のかけらが無い。
男は布袋を取りだして、「これをかぶれ」と言った。
頭にかぶると、何も見えなくなった。
車は30分ほど走って止まった。
ドアの開けられる音がしたが、男は「しばらく待て」と言った。目隠しをされたまま、篤志は状況がのみこめず、じっとしていた。
「よし、今だ。早くおりろ」
男の声がして、腕を引っ張られた。どうやら人通りのないときを、見計らっていたようだ。
車から降りると、男はそのまま篤志の腕をつかんで、歩き出した。
途中で、「階段がある、気をつけろ」と言われた。つまずいて危うく前に倒れそうになる。階段を1階分あがったあと、廊下を歩いた。
止まったところで、鍵を開ける音――。
部屋の中でようやく布袋を外された。どこかのアパートの一室だった。
篤志は奥の部屋に連れて行かれた。
二人掛けのソファーと、セミダブルのベッド、それに小さなテーブルがあるだけだった。ほかに家具はなく、生活臭がなかった。
篤志はソファーに座らされた。
後からやって来た肥った男が、何も言わずに作業を始めた。テーブルの上にガーゼを置いて、ポケットから小さな器を取りだした。蓋を開けると、白い粉末が入っている。
男は慎重な手つきで、小さじを使って粉末を掬うと、ガーゼの上に乗せだした。ついで小瓶を出して、中の液体をガーゼの上に垂らす。
そこで初めて、篤志は声をかけた。
「いったい、お前たちは何が目的だ?」
肥った男は篤志の質問を無視して、ひとこと言った。
「押さえろ」
すかさず角刈りの男が、ソファーの背後から篤志の首に腕を回した。
「何をするっ!」
篤志はもがいたが、男の両腕は強靭だった。頭をがっちりと固められた彼の前に、肥った男が近づいた。先ほどのガーゼが鼻に押し当てられる。
微かな刺激臭がした。
ついで雲の上に乗っているような、ふわふわした気分になってきた。
意識がぼやけていた。その状態のまま篤志は裸にされ、シャワーで体を洗われた。遠くから男の声が聞こえた。
「ほほう、太い立派なマラだ。これは楽しみだな」
そのあと浣腸されて、体の内部もきれいにされた。バスルームから出ると、フンドシだけ身に着けさせられた。
先ほど鼻に押し付けられたものは、媚薬効果があるのか、肌が敏感になっていた。肌に当たる空調の風の流れも分かるほどだ。
部屋には肥った男のほかに、背の低い小太りの男がいた。ほかの二人より歳を食っていて、60代か70代と思われる。
篤志はフンドシ一丁羅の姿で、ソファーに座らせられた。もはや彼には、抵抗する意志すら無かった。
角刈りの男もフンドシ姿になっていた。浅黒い肌をして、筋肉の発達した締まった体をしている。男は篤志の見ている前で、頭から目元まで覆う黒い頭巾をかぶった。
「さあて、始めるか」
肥った男の合図で、角刈りが篤志の横のソファーに腰掛けた。
顔をぐいっと捩じ向けられ、強引に口づけをされた。拒む間もなかった。上唇、下唇と咥えられ、唇のすきまをこじ開けられて、男の舌が侵入してくる。
舌と舌が絡みあった。
男の手が、篤志の太ももを撫でまわし、つ
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