(6)

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とうとう池上の体は、テーブルの上で大の字にされた。
ゴリラ男は満足そうに自分の仕事の出来栄えをチェックすると、池上のズボンのベルトを弛め、セーターとシャツを一気に引き上げた。丸みをおびた白い腹部がむきだしになった。池上は、弱々しく身もだえするだけだった。
ゴリラ男は作業がすむと、キッチンらしい隣室に行き、戻ってきたときには、出刃包丁を持っていた。
俺は、胃が迫り上がってくるような恐怖を覚えた。隙をうかがって、スキンヘッドを横目で見た。スキンヘッドは、俺をじっと監視していた。手に持つ拳銃は、微動だにしない。
梶山はゴリラ男から包丁を受け取ると、テーブルの上の池上に近づいた。彼は俺のほうに振り向いて、ふてぶてしく言った。
「さて、ショーの始まりだ。太田とかいった爺さんは途中でポックリと逝ったが、このサツはどこまでもつかな?」
「やめろ!」
俺は叫んだ。「警官にそんなことをして、ただですむと思うのか!」
「ただじゃない。警察にはたっぷりと金を払っているんだ」
梶山はうそぶくと、池上の剥き出しの胸から腹へと、空いた手を這わせた。まるで女を愛撫するような手つきだ。
「中身がたっぷりと詰まっていそうだな。ここを切り開くと、何が出てくるのかな」
梶山は包丁の切っ先を、白い腹に沿わせて滑らせた。包丁の刃が明かりを反射して、ギラリと光った。
池上の体が震えだした。
そのとき、福井をおさえているキツネ目が、息を呑むのに気づいた。どうやら、人が痛めつけられるのを見て、興奮する質らしい。
「やめるんだ!」
俺は叫んだ。
スキンヘッドが、威嚇するように拳銃を動かした。
梶山は、俺の声が聞こえないかのように、包丁の切っ先を下にずらし、ズボンの前で止めた。
「それともチョン切ってやろうか」
俺は吐き気がしてきた。いまや屈伏しかけていた。

ふいに、それまで黙っていた池上が、テーブルの上で叫んだ。
「やればいいだろう、このサディスト野郎!」
次いで彼は、俺に向かって言った。「遠山さん、書類のありかは絶対に言うんじゃない。言えばみんな殺される」
「威勢のいいことを言うポリ公だ」
梶山は微笑むと、包丁を振り上げ、池上の右の太股に突き立てた。
池上が悲鳴を上げて、体をのたくらせた。
「畜生!やめろ――やめるんだ!」
俺はわめいて、梶山のほうに歩み寄ろうとした。
「ぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃない」
スキンヘッドが手錠をつかんで引き戻し、背中に銃身を強く押しつけた。

梶山は無造作に、池上の太腿から包丁を引き抜いた。
ズボンの布地に、みるみる血が滲み出てきた。池上は悲鳴を押し殺して震えていた。梶山は、池上の涙と汗で濡れた頬を、小馬鹿にしたように包丁の刃でピタピタと叩いた。池上の頬に、赤い血の跡がついた。
「サツとしては見上げた根性だ。誉めてやる。しかし威勢のいいことを言うわりに、体が震えているじゃないか」
梶山は、池上の万歳した格好の右腕を押さえると、包丁を振り下ろした。
ふたたび池上が悲鳴をあげた。彼の手の平は、包丁によって、テーブルの上に縫いつけられていた。
「これは、わしをサディスト野郎と言った礼だ」
梶山は冷たく言うと、振り返ってこちらにやってきた。
「さて、これでひとまずショーは休憩だ。すこしは話す気になったか?」
俺は梶山の顔に、唾を吐きかけた。
「話すもんか!この気違い野郎!」
「サディスト野郎の次は、気違い野郎か」
梶山は怒りもしないで、ポケットからハンカチを取り出すと、悠然と顔を拭いた。
「どうやらおまえは、元気が有り余っているようだな。ちょいと消耗してもらう必要がありそうだ」
彼はスキンヘッドに向かって、顎をしゃくった。

スキンヘッドが俺の前に立って、ゆったりとした仕草で皮手袋を両手につけだした。俺を見る細められた目が、サディストのそれのように冷たく光った。
俺は反撃の隙をうかがって身構えたが、それもはかない試みに終わった。すかさずゴリラ男が、俺の背後を押さえたからだ。
俺はなすすべもなく殴られだした。腹や脇腹、顔に、固いこぶしが容赦なく襲いかかった。スキンヘッドのパンチは的確だった。彼はプロの冷静さで、俺を痛めつけることに専念し、それでいて決定的な打撃は与えなかった。
俺は殴られながら、スキンヘッドをにらみつけていた。苦痛は耐えがたかったが、意識ははっきりとしていた。奇妙なことに、肉を打つ無気味な音が、まるで他人事のように聞こえていた。

スキンヘッドが攻撃をやめたとき、俺はボロクズのようにくず折れた。
梶山はかがみ込むと、俺に向かって話しかけた。
「どうだ、話す気になったか。早く話したほうがいい。わしとしては、おまえのようないい男が痛めつけられるのを、これ以上、見るに忍びんからな」
「この、くそ野郎──だれが話すか──」
俺は折れた歯を
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