「レイクエム3」 Mエンディングノート

『エンディングノート』

思い付くままのエンディングノート。生きた証、生きている証に、私自身のエンディングノートを書く。エンディングノートに「書く行為」は、春さんの死が、私のために与えてくれたレクイエム「死者の安息」を願う行為なのだ。
若い頃ノートに「心の排泄物」と題した日記を付けて、「何故、自分は生きているのか?」という人生の疑間、思いの丈を毎日、文章として紙面に思いっ切り叩き付けずにいられなかった。
年齢を重ねた今は、心静かに想うことを書かずにいられない。書くという行為はセンズリと同じ自慰行為なのである。心の浄化作用で生きて行く証なのだ。
「物書き」「恥かき」「センズリ掻き」といずれも恥ずかしい行為だ。心と体の排泄物を全て掃き出す。年を取ると時間がゆっくり流れることは無い。記憶の断片が例え事実と異なっても一向に構わない。何故なら、それは告白ではなく独白「想い出の記憶」断片なのだから……。
「心の排泄物をすべて吐き出して、人生をいかに生きるか?」 を考える。それが悔いのない人生を生き抜くこと。希望がなければ生きる価値がない。
残された人生を平穏に楽しく生きて行くという、誰にでも普通にできそうな「新しい生活」を続けて行くしか手立てはないが、コロナ渦の状況では、それこそが難しいのが現状なのだ。
そろそろ自分が常日頃から「人生の人と物との処分、終活を考えなければならない年齢だ」と思うと、急に老け込んだ気持ちになる。若い頃は行動が先にあり、思考は後から付いて来ること多かった。年を取ると思った以上に体力的にも精神的にも行動範囲が限られて来る。
コロナ渦が自由な行動力を制限し、更に孤独感に拍車をかける。
いずれ膨大な身の周り品の断捨離も行わなければならないだろう。しかし、勿体ない気持ちが先行して物が捨てられない。一度、ゴミ袋に入れて捨てようとしても、また袋の中身を見返してしまう未練がましい自分がいる。

インターネットで「よりそうお葬式」にエンディグノートの資料を請求すると、無料で「MY NOTE」 というエンディングノートが郵送されて来た。
封を開け、中身を見るとエンディグノートに自分の「死」が訪れた時、いざという時に準備して置かなければならない項目がいくつもある。独り身の私にはそんなに必要なのか?と考えて込んでしまうと、すぐにはペンを持つことができない。
これからは本当に自分独り、残りの人生を大切にしようと思う。本当にやりたいことをやり、何か没頭できる趣味を持って、後期高齢者の残り少ない人生を静かに生きるのだ。
私の趣味は「水石」という石集めである。川や海などで拾ってきた自然の石に合わせて、自分で唐木などを掘って台を付けたり、水盤に砂を敷いて石を置き飾って鑑賞するのである。
その時、石がどうしたら一番良い姿形に見えるのか?"見立心"が大切なのだ。私は自分の人生で大切な“見立心”を持つことができたのだろうか?と考える。
今、コロナ渦で人混みを避け、自然を満喫するアウトドアキャンプが人気で流行しているという。
探石もだれもいない河原で、良石、名石を探して彷徨い歩くのだから、健康にも良いと思う。川に出掛けて自然の中で石を探すという行為自体が楽しいのだ。
「水石」とは「唐物盆石」と呼ばれた時代から500年以上の歴史があり、自然石を対象に、詩的想像力を働かせて、様々な芸術的感興を味わう趣味である。
元来、石を愛でる文化は中国から波って来たもので、中国には奇抜な形をした奇石が多い。
明治時代に総称として統合された「水石」は、砂を入れた水盤に自然石を置き、水を掛けて石の色の変化、水が乾くまでの変容を味わい、それを床の間に飾って楽しむのである。
東京上野の寛永寺蔵の「黒髪山」や京都府の西本願寺蔵の「末の松山」が、東西の大名石として有名で伝承石として今も残っている。
わび、さびのような日本独自の伝統文化によって洗練され、更に変容を遂げ「水石」は、武士や茶人、文化人などのごく 一部だけの人の高尚な趣味と思われていて、一般にはあまり知られていない。
「水石」を高尚な趣味と構えて、特に難しく考える必要はない。要は単純に石が好きか嫌いか?石に魅力を感じるかどうか?ただそれだけの話である。
「水石」も盆栽も大切にしたい日本の文化だが、両方とも年寄りの趣味という一面があって若い世代に受け継いで貰い普及していく事が中々難しい。趣味家である高齢者が次々に亡くなるから、後継者がいないし育たない。
私の子供の頃は川で遊ぶということが普通だったので、石に触れることが出来た。現代の子供、特に都会の子供はスマホやパソコン、ゲームに夢中になり、川で遊ぶということがほとんどない。ゲームで遊ぶことしか知らない世代は、釣りさえ川に出向くことなく、フィッシングゲームで遊ぶのだ。
「盆栽
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