「レイクエム3」 L田島昇三の回想

『田島昇三の回想』
2021年、新しい年が明けた。大晦日に遅くまで起きていた田島昇三は早朝、日覚めるとすぐテレビのスイッチを入れた。報道番組が朝から最新のニュースを伝えていて、全国各地の早朝の映像を流している。
画面ではテレビ局のヘリコプターが、新しい年の夜明けの映像をテレビに流そうと、まだ暗雲が漂う上空を旋回している。やがて富士山の山頂付近に太陽の黄金色に輝く眩しい美しい光が顔を覗かせようとしていた。
テレビ画面右下には新しい年を占う「大吉」「中吉」「吉」の文字が日まぐるしく回転している。初日の出の映像をスマホ撮影した時に画面に写った文字で、今年の運を占うのだ。
スマホで昇三が撮った初日の出の写真には「大吉」の文字が写っていた。親が付けてくれた自分の名前の「昇」という文字と同じように、「今年は運が上昇するのだろうか?」と、昇三は思う。
去年は最悪の年だった。コロナ渦で愛する人を失い、仕事や趣味の仲間たちとの交流も無くなったから、もう一度改めて人間関係を見直して見ようと考える。
新型コロナウイルスによって長引いた自粛生活は、過去の「普通の生活」とは明らかに違う。これから一体どうして生きて行けばいいのだろう……。

「ミルク」という映画は、1970年代の実在した政治家ハーヴィ・ミルクの活動を名優ショーン・ベンが好演し、ゲイの世界に新たな革命を起こそうと孤軍奮闘するドキュメンタリーな内容だ。ミルクは「タイム誌が選ぶ20世紀の100人の英雄」に選ばれている。
この映画もミルクという政治家がいたことも私は知らなかった。この年になっても知らないことや遣りたいことが山ほどあるのに、コロナウイルスによって随分と阻まれている。
コロナ渦なので、今年は成田山新勝寺への初詣には行かない。寝正月を過ごす時に見る映画のビデオを昨年末に数本借りて来て置いた。
「ミルク」はその中の1本だった。
私は長い間、自分に嘘をついていた。常に人生を明るく笑い飛ばして、差恥心をはぐらかして生きてきた。何度、乾いた笑顔を振りまいたことだろう!
それは差恥心を隠すため、羞恥心のないカミングアウトなどない。人生が2度あれば良いと思うが、輪廻転生なんてあるはずもないし、まして、いつコロナに感染して急死するかも知れない。ぐずぐずしてなどいられない。自分を曝け出し辱めるのだ。でもやっばり、知人に自分の本当の姿を曝をす出す勇気はない。
インターネット、SNSの普及により個人情報が拡散されても、無名の私のことなど誰も気にする人はいない。世間に私の素性を知られることは怖くはないが、親しい友人、知人に知られて噂の種になるのはとても恥ずかしい気がするし、コロナ感染よりも怖いかも知れない。
LGBT、 レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の存在が一昔程、否定的でなく拒否されずに社会的に表面化して来ている。
現在はテレビでオカマっぱい人が多数出演し、オネエキャラを売り物にする芸能人も多い。
お金持ちの年増女だけでなく、若い女性をターゲットにするホストや大金持ちの男に身を任すゲイなどが公になっている。
もう忘れられたかも知れないが、1983年に俳優の沖雅也が、新宿京エプラザホテル47階から飛び降り自殺した。当時の週刊誌記事は大いに世間を騒がせ賑わせた。
“おやじ涅槃で待ってる"と言う遺書を残して死んでしまった本人以外、自殺の真相は知る由もないが、彼は確実に同性愛者だった。
「人は病む、いつかは老いる、死を免れることはできない」
遺書の中の一説。世の中には同性愛者、両性愛者だということをひたすらに隠し、普通の家庭生活を営んで幸せに暮らしている男たちもいる。そんな日陰者たちの拠り所がゲイバーだったりするのだが、コロナ渦によって客足が途絶えて潰れたゲイのカラオケバーも多い。
「足立区減びる」発言炎上。LGBTな ど性的少数者を巡り、同性愛差別発言をして集中批判された白石正輝自民党議員は、驚くべき社会的な常識と差別認識欠如の政治家で、 一体全体、何を考えているのか解らない?自分が同性愛者でないから、家族や周りにLGBTの人が居ないから理解できないと言う。人の心の痛みが解らず理解しようとしない人は決して政治家になってはいけないと思う。
白石議員のような事例がある一方で、同性愛を含む様々なカップルを夫婦と同じような関係として公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を認める千葉県松戸市の事例もある。
同性愛者は自分から好きで同性愛者になった訳ではないと思う。私は女でないから、レズビアンのことは良く理解できないが、例えばホモセクシャルの場合、女兄弟が多かったり、末っ子だったりして育った環境の要因が影響する場合もある。知らぬうちに気が付けば同性愛者になっていたケースが
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