(2)
尚はジムを自宅に送った。店で尚の行動を制止した男が、車の運転をしてくれた。連れのアメリカ人も同行していた。若者は荒川高志、連れはポールと名乗った。
尚は車の中で、アメリカに来た事情を荒川に説明した。
話が終わると、荒川は、自分は留学してこの街に住んでいる。アルバイトをしている関係で、ツテがある。明日、心当たりを探ってみよう、と言った。
その夜、尚は荒川たちのアパートに泊まった。若い荒川と、50前後と思われるポールの共同生活は、尚の想像をあらぬ方向へとかきたてる。ひょっとして彼らも――。とくに、中年のアメリカ人は、妙に中性的で無口だった。
荒川は、尚の疑問を見透かしたように、あっさりと告白した。
――確かにぼくたちはゲイで、好きあっています。以前、トラック仲間たちの玩具にされていたポールを救った縁で、ぼくたちは同棲しだした――云々。
尚はソファーに横になって、暗闇の中で日中のでき事を思い出していた。暴力と異常性愛――それは異国の地でのまぎれもない、生々しい現実だった。彼の思いは息子にうつろい、ゾッとした。いまごろ聡は――。
「今夜、マクリーニーという大富豪の屋敷で、秘密パーティーがあるそうです」
「秘密パーティー?」
「ええ、女性はいっさい出入り禁止ってやつです。アメリカでは、特段騒ぐほどのパーティーではない」
荒川は朝からあちこち電話した後、尚に伝えた。荒川がわざわざそのパーティーのことを口にするからには、それなりの理由があるのだろう。
尚はその先を急いだ。
「それで、そのパーティーに聡がいると言うんだね」
「結論を急がないでください。いるかどうかは分からない。ただ、集まるのは、その方面の趣味のある金持ち連中と、金で集められた若い男たちだと聞いています。若い男のなかには、むりやり連れてこられた人間もいるかもしれない」
そこで荒川は肩をすくめた。「聡くんが見つかるかどうか、可能性のひとつです。あまり期待しないほうがいい。今夜、ぼくとポールでそのパーティーにまぎれこんで、探してみます」
尚は言った。
「私も連れてってくれ」
荒川は、奇妙な目つきで尚を見た。
「あなたは駄目です」
「どうして駄目なんだ?」
「ゲイしか中に入れないんです。それに屋敷の中で行われている光景を見れば、ストレートなあなたは、気分が悪くなって、とてもそこにおれないでしょう。昨日のようなことが、ごく当たり前に行われているんだ」
尚はくいさがった。
「大丈夫、私だって54歳だ。初心な年頃じゃない」
「こういったことに、年齢はあまり関係ないと思うけど――。いいですか、この種のパーティーは、全員が素っ裸になるんですよ。それに、屋敷に紛れ込んだら、怪しまれないために、ぼくといい仲であることを見せる必要がある。場合によっては、ぼくとセックスする羽目になるかも知れない。あなたは、そんなことができますか?」
セックスと言う言葉に、ソファーで聞いていたポールが、驚いたように荒川を見上げた。
尚は昨日のことを思いだして、一瞬ためらった。
「――息子のためなら、きみとセックスすることだって出来るさ――とにかく聡を知っているのは、私しかいない。そのパーティーには、私がいく」
荒川は、しょうがないなと肩をすくめ、ふいに尚の体を抱きすくめた。尚は一瞬、体を強ばらせたが、じっとしていた。
「ふむ、これくらいなら、我慢できるってわけですね」
荒川はつぶやくと、手を前に伸ばして、こんどはズボンの前の膨らみをまさぐった。尚の顔があからんできた。
荒川が尚から離れた。
「オーケイ。だったらこれから予行演習をしましょう。パーティーまでは、たっぷりと時間がある。もしもあなたが、ぼくたちの相手をすることができたら、そのときは、あなたを連れていきましょう」
尚は全裸になって、薄暗い寝室のベッドに横たわっていた。
部屋を暗くしたのは、初めての尚に荒川が気遣ってくれたからだ。尚の横には、同じく裸になったポールがいた。
アメリカ人の肉体は、子供のようにすんなりとして、生白かった。その股間では、包茎のペニスが力なく垂れ下がっている。
ポールは尚に覆い被さり、肉づきの良い体に舌を這わせた。胸から腹へと舐めおろし、腰から脇の下へと遡る。ふっくらとした外見に反して、固太りの滑らかな感触に、ポールはうっとりとした表情を浮かべている。
尚は男に触られて、恥ずかしさに震えていた。
小さな手が、尚の性器を掴んだ。
尚はハッと息をつめたが、器用な指にまさぐられて、健康的な肉体が反応しだした。持ち主の体型そっくりの、太短い逸物が力を得て頭をもたげた。
アメリカ人は勃起した性器を、そっと口に含んだ。それから頭部を舌でぐるりと舐めまわした。
「あっ――」
尚はあえぎ、ずんぐりした体が震えた。アメリカ人は、滑らかな舌触り
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[*]
感想