(6)活人棒



(6)活人棒

昌輔と修三は、天山に連れられて上野公園に来ていた。
桜の花は七分咲き、淡いピンクが青空に溶け込んで、まさに春爛漫といった風情だ。
天山と肩を並べて歩きながら、昌輔はときおり師の様子を窺うように見ていた。オトコの力を取り戻したとは言え、天山の腰つきには艶めかしい動きが残っている。昌輔はともすれば、師のでっぷりした尻の弾力や、菊座の感触を思い出して、高ぶりを覚えるのだ。
「お師匠さま、もうお体の具合はよろしいのでしょうか」
うずうずした思いで、昌輔は聞いた。
「ああ、お前たちのおかげで、すっかり元気を取り戻せた」
ふたりの背後では、修三がおとなしく付き従っている。今日の修三は和服を着て、その立ち居振る舞いは、ゾクッとくるほど艶やかだった。
天山は歩きながら、昌輔にささやきかけた。
「陰潤腔になってから、ときどき尻が疼く。これからもよろしく頼むぞ」
「いつでもおっしゃってください、お師匠さま」
昌輔は目を輝かせて、即座に答えた。
天山は笑いながら言った。
「おまえのチンポは『活人棒』だ」
「活人棒――ですか」
「ああ、人を幸せにするチンポだ。その逆に、高城のチンポは『破滅棒』つまり人を不幸にするものだ」
「活人棒と破滅棒――」
昌輔は考え込んだ。秘術合戦で勝ったとはいえ、強烈な快感を自分の体に刻み込んだ、高城の感触が忘れられなかった。考え込む彼の耳に、天山の声が聞こえてきた。
「そう、活人棒だ。今日はそのために、おまえを連れてきた」

3人は上野公園に近い民家を訪れた。純和風の木造家屋で、門の表札には栗田一郎と書かれている。年老いた男性が3人を出迎えて、主人の部屋に案内した。
部屋には和服を着た、50代後半の男がいた。大柄だが、どことなく温室培養で育ったような脆弱さがある。
年相応に肉付きのよい顔は、男の甘い色気があった。色白の艶やかな頬と温和そうな目、妙に初っぽい柔らかそうな唇――美食と好色に慣れきった男の顔だ。
男は天山に頭を下げ、値踏みするように昌輔と修三を見た。裕福そうな顔に、人懐っこい笑顔が広がった。
「やあ、いらっしゃい、栗田です。さあ、こちらにお掛けなさい」
勧められるまま、3人はソファーに腰をおろした。
部屋は広かった。中庭に面した腰窓から、穏やかな外光が差し込んでいる。ソファーセットのほかに、大きなダブルベッドと書籍のぎっしりと詰まった本棚、マホガニー製の書類机がある。
先ほどの老人が、コーヒーを載せたお盆を持ってきた。老人が引き下がり、4人は中庭の桜を眺めながら、しばし歓談した。
昌輔は、天山に向かってのんびりと世間話をする男を観察した。家の大きさや風采からすると裕福そうだが、なんの仕事をやっているのだろう?
ふと、コーヒーカップを持つ栗田の手を見た。大きな体つきにしてはこぢんまりとして、まるで女のように白く、ふっくらとしていた。肉体労働とは縁のない手だ。

「その人形をどう思いますか?」
ふいに、栗田が昌輔に話しかけた。
最前から気付いていたが、サイドテーブルの上に彩色した粘土作りの人形があった。
年老いた父親と息子の設定だろうか、壮年男が背後から老人の肩を揉んでいる姿だ。精巧な作りで、気持ちよさそうに目を細めた、老人の顔の表情がすばらしかった。
「いかにも微笑ましい人形ですね。それに見事な出来栄えだ」
昌輔は、素直に感想を述べた。
うれしそうに栗田が言った。
「じゃあ手にとって、下からのぞいてごらん」
昌輔は慎重な手つきで人形を手に取り、上に掲げて、人形の下部をのぞき見た。エッと思った。なんと剥き出しの下腹部が目に入った。図太い男根が老人の秘部に食いこんでいる。しかも老人自身も、筋張った巨根を弓なりに隆起させている。
天山は笑いを浮かべていた。すでに見たことがあるのだろう。
「どうです、目の保養になったでしょう?」
栗田は立ちあがった。「そろそろ始めますか?」
 
家主が服を脱いだ。それに合わせたように修三が立ちあがって、和服を脱ぎだした。
昌輔は驚いた。
(まさか昼日中から、交わろうっていうのか?)
栗田は全裸になると、ベッドにあがり、仰向けに寝そべった。
うっすらと脂肪に覆われた大きな体は、どことなくウブであどけない感じがした。肌はみずみずしいふくよかさを見せて、沁みひとつない。
昌輔は、男の裸をじっくりと観察した。
ぽってりと丸みをおびた腹、贅肉のつきかけた腰から尻にかけての柔らかい曲線、薄い陰毛に覆われた恥丘の膨らみ。逸物は生白く、大きかったが、先端部はすっぽりと薄皮で覆われている。
天山が昌輔の耳元でささやいた。
「どうだ、きれいな体をしているだろう?タチよりもウケのほうが似合っている」
昌輔は気になっていることを聞いた。
「何をやっている人ですか?それに、先生とはどんな関係です
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