(1)宵の交合

(1)宵の交合

しらじらとした月の光が、池の畔に立つ石灯籠に差しかけ、足元の庭草の陰では、ツヅレサセコオロギのリッリッリッと侘しい鳴き声が、寒い冬の到来を告げているようである。
そんな晩秋の風情にも関わらず、雨戸で隔てられた室内をのぞき見れば、そこにあるのは罪深き人間の営み――。

行灯の薄明かりが、褥のうえで絡み合う二つの肢体を浮かび上がらせている。
太めの肉体と、すんなりした細めの肉体――。うねる素肌に、はだけた浴衣が絡みつき、それがまたエロチックな構図を際立たせる。
――チュプッ、チュプッ、ズグッ――。
結合部から洩れる湿った音。ほっそりとした老人の柔肌を、壮年男の野太い体が押し揉むように滑る。浅く、浅く、深く――ひねりが入って、横に張った腰がしたたかにうねる。
――ああっ!あ、あ、あ――はああっ!
枕に埋めた老人の顔がのけ反り、半開きの口から悩ましいあえぎ声がつづく。
敷き小股――ウケがうつ伏せになって両脚を伸ばし、その背後からタチが覆い被さって、ウケの太腿を外側から挟み込んで交合する形だ。

その様子をじっくりと見つめる、和服姿の老人。でっぷりと太って、顔は年相応に肉付きが良く、頭髪のない坊主頭は艶やかに光っている。
あぐらをかいた彼の前には、和紙と硯がある。
「つぎは、絞り芙蓉だ」
坊主頭の老人が、野太い声で命令した。
中年男がウケの体から離れた。
――ズッ、ニュボッ!
性器が引き抜かれるとき、湿田から足を引き抜くような、濡れた濃密な音がした。
現れたのは、ギョッとするほど巨大な性器だった。太い血管の浮き出た、力感あふれる形状。見た目に反して色が白く、張り詰めた亀頭は濃いピンク色に染まっている。
それが薄い陰毛からグンッと突き出て、生々しく濡れ光っている。
男は年のころ50前後、肉付きのよい艶やかな童顔だ。中背固太りの肉体は、女のように色が白く、むっちりと張り詰めている。

男は褥に尻を下ろして、肉根をそそり立たせたまま、命令した坊主頭に向かって両足を開いた。
ウケの老人がよろめくように立ちあがって、後ろ向きにまたがる。こちらのほうは70代前半、細面の顔は楚々とした品がある。体毛の無いすんなりした肉体は、思春期前の少年を想わせる。
老人が腰を浮かせて屹立した陽物をつかみ、位置を修正しながらじんわりと体内に収めていく。中年男が老人の脇の下から手を回し、乳首を揉みしだく。と同時に、下からグッと突き上げる。
直立した太い陰茎が、ズズッと根元まで埋没する。
――はあっ!
老人が顎をのけぞらせ、悩ましい善がり声をあげる。
陰部はきれいに剃毛しているので、秘門に食い込んだ図太い男根があらわに見える。張り詰めてヌメッと濡れ光り、息を呑むほど生々しい。

ふたりの姿態をじっくりと観察する太った老人の顔は、少年のような好奇心に満ちている。皺ひとつない福々しい顔と鼻梁の太いしし鼻、幅広の薄い唇。結合部を見る瞳が、熱っぽく輝いている。
太った老人は筆を取ると、気息を整え、紙の上で一気に滑らせた。熟練の筆使いで、白い和紙の上に、壮年男対老人の交合図がみるみる描き上げられていく。
見事な出来栄えだった。
脈動する男根、貫かれて性の悦びにうねる老人のしなやかな肉体。
太った老人は筆を置くと、出来栄えを吟味し、それから口を開いた。
「よし、いいぞ。あとは自由にやれ」

待ちかねたように、中年男が老人をうつ伏せにした。丸っこい尻を抱え込むと、背後から一直線に貫く。
とたん、老人が歓喜の善がり声をあげた。
最初はゆっくりと抜き差しし、動きに変化をつけていく。したたかな腰のうねりのなかで、老人の体が快感にのたくった。
もくもくと動く太い腰回りには、ふつふつとした精力が煮えたぎり、無尽蔵の力が漲っているようだ。一直線に突きいれ、えぐるように回転し、ググッと引き寄せる。常人の倍はあろうかと思われる玉袋が、あてもなく揺れ動く。
――ズヌッ、ヌチャ――ズニュボッ!
――ひいいっ!ああっ、はああぁ!
濡れた卑猥な音に、老人の善がり声が重なる。
それを太った老人は、冷静に眺めている。
もはやウケの老人は、嫋嫋たる声ですすり泣きはじめた。
動きが速く、はやく――ふいに男がグッと腰を入れた。
その体に甘美な痙攣が走る。
と同時に老人の体が反り返り、絶頂を迎えた悲鳴をあげた。
――ひっ!はああっ!
20/08/15 23:06更新 / 閑名三爺

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