(3)

(3)

ウータンとユーミンはようやく、光の塔に戻ってきた。
光の塔は、前と変わらずおだやかな輝きに包まれていた。
塔の中に入ると、さっそくウータンがオーディンの玉を持って、壁際の階段をのぼっていった。その間にユーミンが、イリスの像のひたいに、太陽の石をもどした。
ウータンは階段をのぼりきると、塔の外に出た。そこは展望台のようになっていて、中央に石の台座があった。彼はオーディンの玉を持って、石台に近づいた。
台の上に丸い窪みがあった。しかもふたつ――。

「オーディンの玉は、ふたつあったんだ。ひとつは戻したけど、あとひとつが必要なんだ」
下に戻ったウータンは、ユーミンに報告していた。
「ふたつ――じゃあ、残りのひとつは、どこに――」
ユーミンは愕然とした。
それも無理はない。あれほど苦労して、長い旅をつづけ、ようやくオーディンの玉を取り戻したというのに。今また、もうひとつの玉を探さなければならないのだ。
「とにかく喉が渇いたよ。泉に行こう」
ウータンは落胆を押し隠して、のんびりと言った。

ふたりは泉で喉の渇きをうるおすと、裸になって体を清めた。
長い旅の間に、ウータンの肉体は引き締まって、すっかり逞しくなっていた。それに対して、男の精を吸収したユーミンの肉体は、丸く柔らか味をおびていた。
おたがいの裸体を見て、ふたりはすぐさま若さを解き放って、情熱的に抱き合った。ふたりの息はぴったりと合っていた。
ユーミンは背後からウータンに抱かれて、リズミカルにお尻をうねらせた。甘美な喘ぎ声に途切れ途切れの吐息が絡みつく――。そしてマグマが急上昇し、噴火した。

呼吸が治まると、ふたりは気抜けしたように、ぼんやりと水面をながめていた。太陽の光が水に反射して、キラキラと輝いていた。それを見ていて、ウータンは先ほどから、心の片隅に引っかかるものを感じていた。
そのときユーミンがつぶやいた。
「きれい――まるで泉の底から、光りが立ち昇っているみたい」
それを聞いて、ウータンはハッとした。心に引っかかっていることが何なのかに気づいた。以前、この泉を見ていたとき、光りの筋が立ち昇るのを目撃したのだ。
「ユーミン、ひょっとしたら、もうひとつのオーディンの玉は、この泉の下かもしれない」
ウータンはそういうと、泉に飛び込んだ。
下にもぐっていくと、水の中は暗くて、冷たかった。底のほうに、かすかに光るものが見えた。彼はその光めがけて泳いだが、途中で息がつづかなくなった。

「だめだ。息がつづかない。なにか重しを探さないと」
水面に戻ったウータンは、泉から出ると、あたりを見まわした。ちょうど手ごろの岩があった。
彼はその岩を両腕で抱えると、泉に戻った。
「ウータン、気をつけてね。無理をしないでよ」
ユーミンが心配そうに言った。
「こんどは大丈夫だよ」
ウータンはユーミンにほほえみかけると、ふたたび水にもぐった。
こんどはずっと楽にもぐれた。岩が重しになって、彼はぐんぐん下に沈んでいった。
水底に光る玉があった。
彼は息苦しさを我慢して、手を伸ばした。
岩を手放し、やっとオーディンの玉を手に入れた。
それから、足で水を掻きながら、上に向かって泳いだ。胸が破裂しそうなほど、息苦しかった。
彼はゆっくりと息をはき出しながら泳いだ。空気があぶくとなって、上に立ち昇った。もうろうとした意識の中で、オーディンの玉をしっかりと抱きしめていた。

水をかくウータンの足の動きがとまった。
彼は意識を失いかけて、水中で漂った。黒いもやが彼を押し包んだ。
そのとき、だれかが彼の体をしっかりと抱きしめた。柔らかくて暖かい何かが――。
ウータンは目を開けた。ユーミンの顔がすぐ前にあった。唇を押しつけていた。ウータンは彼(彼女)の意図に気づいた。口移しに空気を送ろうとしているのだ。彼は口をわずかに開いた。あたたかい空気が送られてきた。
それに力を得て、ウータンはふたたび泳ぎ出した。

ウータンは光の塔に戻ると、もうひとつのオーディンの玉を玉座に戻した。
とたんに、ふたつの玉が輝きだした。あたり一面に光りが放射した。
そのまぶしさに、ウータンは思わず目を閉じた。
光が弱まったのを感じて、彼はそっと目をあけた。ふたつの玉はいつもの輝きに戻っていた。しかし何かが変わっていた。
そよ風がかぐわしかった。あたりは新鮮な空気に満ちあふれていた。
ウータンは振り返って、下の世界を見た。塔のまわりの、灰褐色の大地が緑色に染まっていた。その緑色のじゅうたんは、みるみる周囲に広がっていた。その上に、おだやかな日差しが降り注いでいる。空は真っ青に澄みわたっていた。
その美しい光景を見ていると、じんわりと涙がにじみ出てくる。
(やっぱりこの世界は最高だ――)

ふたりは塔の外に出た。
あたり一面、緑の野原だっ
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