(4)

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グラウンドに戻った3人は、文様の中心とおぼしきあたりの土をいじった。すぐに土の下から、並べられた石が現れた。サイコロのようにきっちりと切りそろえられた黒い石が、隙間なく列をなしていた。
3人は石の列をたどって、土を掘りだした。まもなく、石の文様が土のあいだに浮かびあがった。とても全部は掘り出せなかったので、彼らは記憶をたどって、文様の中心部分だけを探った。
ついに求める中心点が見つかった。
「サキ、そこに立ってみろ」
ハーブが腰をトントンと叩きながら言った。
サキは恐る恐るそこに立った。しばらくは何も起きなかった。サキは胸もとから、金のペンダントをとりだした。
そのペンダントが、かすかに光りだした。
「見て!」
ユーミンが上空を見あげて言った。
濃い灰色の空が、動いていた。渦を巻くように色が変化し、その中心部が明るくなった。
まったく唐突に、一筋の光が差した。まるで雲間から太陽の日が射すように、それは真下にいるサキの体に降り注いだ。
「あったかい――」
サキがうっとりとして、つぶやいた。
その体が光りに包まれて、輝きだした。
「ユーミン、行くぞ!」
ハーブがユーミンに向かって言うと、炎の盾をつかみ、サキのもとに走った。
サキの体が光り輝きながら、上空に浮かびあがった。ハーブはあわててサキの足をつかみ、盾を持つもう一方の手をユーミンに伸ばした。
「ユーミン、つかまれ!」
ハーブの腕に、ユーミンがしがみついた。
暖かい光りがふたりの体を押し包んだ。ふたりは自分たちの体が宙に浮かぶのを感じた。光りの輝きが強くなり、何も見えなくなった――。

――*――

ウータンは何度も『時の間』に行ってみた。アロイに出会って、3人が床にのみ込まれたと聞いたとき、最初は信じられなかった。しかし、アロイが嘘をついているとは思えなかった。
床に描かれた文様の上で、あらゆることを試みた。しかし、何の変化も現れなかった。
彼は心細かった。あれほど頼りにしていたケインが死んで、いいようのないショックを受けたのに、いままた他の仲間も姿を消したのだ。
3人が姿を消して、すでに1ヶ月が過ぎていた。そのあいだに、アトラス国は大きく変わっていた。
ハーゲインやフヌギが倒れて、もともと小心者のジーマは降伏した。彼は、ユシアスやカトリーヌの前で、すっかり白状した。カトリーヌの兄を暗殺したのは、ハーゲインとフヌギで、悪巧みを持ちかけたのもふたりだった、と。
結局、ジーマは地下の牢獄で、一生を過ごすことになった。
ユシアス夫妻はアトラス国をもとの平和な国に戻そうと、毎日忙しそうに働いていた。
しかしウータン自身は目的を失っていた。これまで行動を共にしてきた仲間がいなくて、彼ひとりでは何もやる気力が湧かなかった。
アロイやユシアス夫妻が彼を励ましてくれたが、彼の気持ちはすこしも晴れなかった。

城のバルコニーでアロイ王子と一緒に、ぼんやりとアトラスの町を見下ろしているときのことだった。
アロイがウータンの袖を引っ張った。
「お兄ちゃん、あれ!」
アロイは空を見ていた。
ウータンはつられて空を振り仰いだ。
急に嵐になったように、空がどす黒く曇って、渦を巻いていた。見ているうちにも、黒い染みが空いっぱいに広がった。
と、染みの一点が明るくなってきた。そこから一筋の光が、アトラス城に降り注いだ。
それを見て、ウータンは予感した。
(戻ってきたんだ!)
彼とアロイは、地下の『時の間』に走った。
ウータンの予感は当たっていた。『時の間』に仲間が戻っていた。ユーミンとハーブ――。しかしサキの姿はなかった。

「サキは一緒だったんだ。でも最後に戻る時――空中であの子のサンダルが脱げて、手が離れた。それが原因なのかなあ」
ハーブは頭を抱え込んだ。
「彼が失われた時の国のオリジン族だったのなら、それが原因かも知れない。まだ失われた時の国にいるのなら、かわいそうだよ」
ウータンがつぶやいた。
それを否定するように、ユーミンが言った。
「いや、彼はきっとこの国に戻っていると思う。あのとき、一緒に光りに包まれたから。きっと、この国のどこかに――」
あとの言葉は、つぶやくように小さくなった。
「それにしても、1ヶ月も経っていたとはな。わしはせいぜい、1日くらいと思っていたが。失われた時の国は、時の経過が遅いのかな」
ハーブがつぶやいた。

ケインが死んで、そしてまたサキの姿が消えた。残された3人は、ケインの遺骸を丁重にとむらったが、サキの墓は作らなかった。彼が死んだとは、とても思えなかったのだ。
あとは、ドラゴンの住むという火の国に行くだけだった。
3人はアトラスの図書館や古い史跡を巡って、火の国の情報を求めた。しかし、それがどこにあるのか、手掛かりは皆無だった。

ある日、ユシアスが背の低い
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