第10章 ピザン寺院
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翌朝5人は、まだ地底の住人たちが寝静まっているうちに出発した。長老のガロンが、道案内の男をひとり付けてくれた。
皆ぐっすり眠れたのか、すこぶる調子がよさそうだった。ただひとり、ハーブだけが疲れた表情をしていた。彼は腰に手を当て、強張った体をほぐすように尻を回していた。
一行は案内人のあとについて、曲がりくねった下り坂を歩いた。途中で、ガーズと戦った鍾乳洞に出た。
彼らはその場所で、しばし黙祷をささげた。事情を知らない道案内の男は、怪訝そうな表情で5人を見ていた。
洞穴は延々とつづいた。広くなったり、狭くなったり、途中から光り苔が生えていなくて、たいまつの明かりが必要になってきた。
目的地に着くまでに、何度か休憩した。
そして――ついに外の明かりが見えてきた。
洞穴の外に出たとたん、みんなは眩しさに目をしかめた。
「ああ――やっぱり太陽の光が一番ですね」
ユーミンがため息交じりに言った。
そこは、うっそうと草木の生い茂る斜面だった。ふりかえると、洞穴の入り口にツタが密生していて、注意して見ないとわからない。道案内の男がぺこりと頭を下げて、洞窟に戻っていった。
一行は山を下り始めた。樹木のあいだを縫って少し歩くと、開けたところに出た。眼下にピザンの町が一望できた。
渦巻き型の丸い尖塔のある建物が、ひときわ目を惹いた。ピザン寺院だ。大きな塔を中心に、朱色を基調とした極彩色の尖塔が重なり合い、巨大なひとつの建物を構成していた。
まるでデコレーションケーキのようだった。その寺院を中心に、石造りの家並みが放射状につづいていた。
町にたどり着いたときは、すでに陽は傾いていた。
宿屋と飯屋、食料や土産物を売る店が、軒を接していた。そこで生活する者、巡礼で訪れた者、町を警護する兵士、僧侶たち――町中は、異国の服を着た人々でにぎわっていた。まさに神秘と混沌の街、ピザンらしい風景だった。
5人はまっすぐ宿屋へ向かうと、そこに泊まった。
翌朝、宿屋を出たあと、みんなのあいだで、ちょっとした意見の食い違いがあった。
ハーブは、すぐにピザン寺院に行って、地底世界の長老の言っていた、エウスという名前の高僧に会おうとした。ところがサキは、珍しいものの並ぶ町のようすに、すっかり観光気分になっていた。
サキはだだっ子のように言った。
「ねえ、寺院に行く前に、ちょっと町を見物しようよ」
ハーブが孫を諭すように言った。
「ダメダメ、わしたちは観光に来たんじゃない。寺院に行くのが先だ」
「だったら、ぼくひとりで行く。じゃあ、あとで会おうね」
そう言うと、サキはさっさと歩き出した。
「小僧がひとりだと危険だぞ。これだけ人が多いと、悪い人間もいるからな」
ハーブが大声をあげたが、サキの姿はすでに人込みに紛れ込んでいた。
ケインが肩をすくめた。「仕方がない。おれも町を見物する」
彼は、ぼそりというと、サキのあとを追った。
残された3人は、顔を見あわせた。
ウータンがケインの後姿を見ながらつぶやいた。
「やっぱり優しいんだ――見かけはごついけど」
ウータンとユーミンは、ハーブのあとについてピザン寺院に行った。
寺院の手前の広い階段は、さまざまな格好をした参拝客が行き交っていた。親子連れや杖をついた老人、商人らしき中年男、旅姿の人、黄色い僧服を着たお坊さん――。
3人は人の群れの合間を縫って、寺院にはいった。
広間はびっくりするほど大きかった。床は黒光りする石が敷き詰められていた。あちこちに優雅な形をした石柱が立ちならび、高いドーム型の天井からは、窓を通して外の光が射しこんでいた。
部屋の中は全体に薄暗かったが、壁のあちこちにある灯明のあかりが、玄妙な雰囲気をかもしだしていた。お香の匂いも、神聖な雰囲気に一役買っていた。
大広間の奥のほうに大きな祭壇があった。
おだやかな表情をした女神像が安置されていた。
薄暗くてよくは見えなかったが、ギャザーを寄せた長い服をゆったりと着ていた。像の材質は白っぽい石か何かでできているようだ。
ウータンは前にその女神像を見た気がした。ユーミンと目が合った途端、思い出した。光りの塔のイリス像だ。
イリス像のほうは、顔立ちがのっぺりとしていたが、それをのぞけば、ふたつの像の雰囲気はよく似ていた。
手すりの向こう側に賽銭箱があり、参拝者たちはそこにコインを投げ込み、天井から吊るされた銅製の八角柱を手でまわし、それからお祈りを捧げていた。八角柱は多くの人々の手で触られ、表面が黒光りしていたが、見慣れぬ絵模様が見てとれた。
参拝客にまじって、黄色い僧服を着た坊主頭のお坊さんの姿が目立った。この寺院に仕える僧侶たちだ。
3人はしばらく、大広間の内部を見て回った。
たくさんの壁画があったが、その中で、ドラゴンと
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