(3)

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大洞窟に戻ると、なにやらあわただしかった。プランプ族たちは「ガーズ」「ガーズ」と言いながら、不安そうにまわりを見ていた。
とたんに長老の顔が引き締まった。長老がなにごとか大声でいうと、騒ぎが静まった。
そのうち数人の男たちが、血まみれの怪我人を運んできた。一目見て、瀕死の重傷者だとわかった。全身に深い引っ掻き傷があった。特にひどかったのは、腹部の傷だ。皮膚の裂け目から内臓が見えていた。その男の妻らしい女が、叫び声をあげて駆け寄った。
男たちは、広間の中央にある石の台の上に、怪我人を横たえた。それから悲しそうな目で、長老のほうを見た。
長老が歩み寄り、祈りを捧げるようにつぶやきだした。先ほどの女は台にすがりついて、泣き叫んでいた。
ウータンが、ケインに向かってささやいた。
「長老は何をしてるんだ?早く助けないと、あの人は死んでしまうよ」
ケインが鼻を鳴らして言った。
「祈祷で治そうとしているんだ。原始的な方法だ」

「ぼくがやってみます」
ユーミンが仲間から離れて、怪我人のほうに歩いていった。彼は歩み寄ると、血まみれの男の胸に片手を触れ、うつむいて念じだした。
地底人のあいだに驚きのため息がもれた。傷口がじょじょに塞がりだしたからだ。わずかずつだが目に見えて、血が止まり、皮膚が増殖しだした。長老も祈りを止めて、驚きの目でユーミンの手もとを見ていた。
血の気を失った怪我人の顔に、じょじょに生気がよみがえってきた。逆にユーミンの顔が蒼白になってきた。その顔は極度の精神集中で、疲労が色濃く出ていた。
「いかん!」
ケインが鋭く言った。
ウータンはケインの言わんとすることに気付いた。このままだと、トマ城で起こったように、ユーミンはふたたび長い眠りについてしまう。
ウータンはユーミンのもとに駆け寄った。
「ユーミン、もういいよ。この人は助かる。だから、もう念力を使うのはやめろよ」
「ええ――でも、もうちょっとだけ。ほら、おなかの傷がもうちょっとで塞がる」
ユーミンがくぐもった声で言った。
しばらくして、一番大きな腹の掻き傷が塞がった。そのとき怪我人が意識を回復した。彼は目を開けて、起きあがろうとした。
ユーミンが優しく押しとどめて言った。
「急に動いたらだめだよ。しばらくそのまま寝ていなさい」
男はユーミンの言葉を理解したようだ。彼はちょっとほほえんで、頭を降ろした。横にいた女がなにごとか言いながら、ユーミンの手を両手で握った。その顔は感謝の涙で濡れていた。
「いいんです。さあ、あなたはご主人のお世話をしなさい」
ユーミンは優しく言って、立ちあがろうとした。その体がよろめいた。ウータンがあわてて、彼の体を抱きとめた。

「みんなが言ってたけど、ガーズって何ですか?」
ハーブが長老にたずねた。彼らは自分達にあてがわれた部屋に戻っていた。精神集中をしすぎて衰弱したユーミンは、隅のほうで横たわっていた。
「白い怪物じゃ。ときどき地底の住民を襲う。さっきの男も、その怪物に襲われたんじゃ」
そういう長老の顔は、どことなく複雑な表情をしていた。
ケインがぼそりと言った。
「だったら、なんでその怪物を退治しないんだ」
長老はケインの顔をジロリと見て、つぶやくように言った。
「わしらに出来たら、とっくに退治してるわ」
「退治に出かける前に、臆病風に吹かれてるんじゃないか?」
ケインが揶揄するように言った。
長老は黙ったままケインをにらんだ。気まずい空気が流れた。

ウータンがその場をとりなすように聞いた。
「ねえ、ガロン。そのガーズって怪物、どんな生き物なの?」
「全身白い毛で覆われていて、大きさはわしたちとさほど変わらない。ただし、並外れた力を持っている。鋭い牙と爪もある。それに、目にとまらぬほど素早い」
ケインがせせら笑った。
「なんだ、幽霊じゃないのか。だったら武器が通用するじゃないか」
「ケイン、黙ってろよ」
ウータンはケインをたしなめた。それから老人を見て言った。「ぼくたちが、その怪物を退治します。どこに行けばガーズに会えるんですか?」
長老が驚いたようにウータンを見た。それからほかの連中を見た。
「退治してくださるのか?」
ハーブが言った。
「あんたがたには、雪山で助けてもらった恩があるからな」
サキがつづけて言った。
「それにご馳走のお礼もあるし」
ケインが黙ってうなずいた。食べ物の恩義だけは感じているようだ。
長老は決心したようにうなずくと、立ちあがった。
「わかりました。では怪物退治をあなたがたにお願いします。でもすごく危険ですぞ。これまで12人もの仲間たちが殺されています。だから気をつけなされ」
そしてつけ加えた。「まず鍛冶屋に寄りなさい。そこにある武器を差し上げます。どれでも好きなものを持っていってください」

ウータンた
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