(2)

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皆は部屋の外に出て驚いた。
巨大な空間だった。
あたり一面、赤茶色の土の世界だ。そこは、ミサキの村の広場以上の広さがあった。しかも天井はあまりに高すぎて、はっきりとは見えなかった。周囲の壁面のいたるところに、洞穴の黒い口が開いている。まるでアリの巣のようだ。
その開口部から、背は低いが逞しい体格をした黒髭の男たちや、髭は生えていないが同じように逞しい体つきの女達が、出入りしていた。
(地底なのにどうして明るいんだろう?)
ウータンは不思議に思った。彼の心が読めたように、長老が上のほうを指差した。
「光り苔の明かりじゃ」
さっき気づいていたが、土壁の上の方がぼんやりと黄緑色に輝いていた。じゃあ、あれが光り苔なんだ。その数の膨大さにウータンは、あ然とした。
長老がほほえみながら言った。
「この広場は、いわばみんなの集会所のようなもんじゃ。祭りごと、決めごと、物々交換――すべてこの広場でやっている」
たしかに老人のいうように、広場のあちこちで食料や毛皮の交換がおこなわれていた。彼らはちょっと見たところ、同じような顔をして見わけがつきにくかった。みんな一様に、無邪気で人のよさそうな顔つきをしている。

「さあ、こちらにおいで。この地底世界で一番自慢できるものを、見せてあげよう」
長老は土壁の下のほうにある、洞穴に向かった。
入り口を通ったとたん、熱気を感じた。奥のほうから、リズミカルに金属を打つ音が聞こえてきた。
中に入って、みんなはアッと驚いた。
広い洞窟の中で、男たちがわき目もふらず、忙しそうに働いていた。金属や水を運ぶ者、真っ赤に焼けた鉄を叩く者、冷めた鉄を砥石で磨く者。
ここは鍛冶の仕事場だったのだ。
壁際には鋤や鍬の農具類、武器の類、鍋や壷などが、ずらりと並べられていた。
「ここで作られたものは、地上世界でも珍重されている逸品ばかりじゃ。わしたちは、これを売って生計を立てている」
長老が壁際の品物を指さした。
「さあ、できあがったものを見てごらん」
ウータンたちは並べられた製品を観察した。老人のいう通り、どれもすばらしいでき栄えだった。槍や剣は刃先が凄みのあるほど研ぎ澄まされているし、大きな金属製の壷は表面に芸術的な模様が刻まれている。
「鞭もある!」
サキが弾んだ声で言って、丸く巻かれた銀色の鞭を手に取った。
「なに、これ?鉄でできてるの?」
彼は不思議そうに鞭の表面をなでた。それは極細の鋼の糸を撚り合せた鞭だった。とても人の業とは思えないほど、すばらしく精巧な造りだ。サキが珍しそうに鞭をいじっていると、ケインが横から言った。
「サキ、盗むんじゃないぞ」
「だれが盗むか!」
サキがイーをして、鞭を棚に戻した。
ハーブが聞いた。
「ところでガロン、火を起こす炉がないようだけど、一体どうやって鉄に火を入れるんだね?」

「こちらに来なさい」
長老は洞窟の奥のほうに向かった。途中で灼熱した鉄を運ぶ男たちとすれ違った。洞窟の奥に一段高い岩のステージがあった。井戸のつるべのように鉄枠が組まれ、一本の鋼鉄で編んだロープがぶらさがっていた。そこに上半身裸の男がふたりいた。
階段を上ると、岩の裂け目があった。赤い光が下から射していた。そこからむっとする熱気が押し寄せてきた。
長老が言った。
「気をつけて、のぞいてごらん」
ウータンらは、恐る恐る岩の裂け目をのぞき込んだ。そして仰天した。なんと下は溶岩の海だった。10メートルほど下に、不気味な赤黒い色が広がっていて、ときおり白橙色の液体が噴きあがっていた。そこから熱気がどっと吹きあげてきて、彼らはあわてて後ろに下がった。
長老が得意そうに言った。
「わかったじゃろう。地底の溶岩だ。そこに鉄や銅を吊るして、適度に溶かすんじゃ」
長老が、ウータンの持つ剣を見ながら言った。「ここの見学は終わりだ。さあ、その武器にパワーを与えに行こう」

長老は入り組んだ迷路を、どんどん先に進んだ。大半が登りだったが、急角度で下ることもあった。枝道も多かった。長老がいなければとうてい目的地に着けないだろう。
最後に土でできた狭い階段を上り、小さな踊り場で老人は立ち止まった。
「ここが光の部屋の入り口じゃ」
老人の指し示すほうに、黒い鉄の扉があった。錠前はついていなかったが、扉と枠のあいだに黄ばんだ羊皮紙が貼られていた。老人は羊皮紙を剥がして、鉄の扉を押した。扉はきしみながら開いた。

中に入った一行は、老人の言っていた光の部屋が何なのか、すぐに理解した。
部屋の中央に一筋の光が射していた。青みを帯びた不思議な光だった。高い天井の中央に金属質の細い管が突き出ていて、光はその管の先からまっすぐに照射されていた。
部屋は予想以上に広かった。そして壁や床は不思議な物質でできていた。
(光の塔と同じだ)ウータンは思
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