(1)蘇生の旅

(1)蘇生の旅

「明日、弟のところに出かける」
昌輔を部屋に呼ぶと、天山は唐突に言った。
「玉門さんのところに?」
「用があるのは愛人の方だ。名は堀田叉一」
「その人が何か――」
「ひょっとしたら、お前のかけられた忘陽根を直せるかも知れん」
「えっ、本当ですか!」
「あまり期待をするな。可能性があるだけだ」

天山と昌輔は、新幹線とバスを乗り継いで飛騨の奥地に入った。
ようやく玉門の住処に辿り着いたのは、ほぼ一日がかりだった。そこは人里離れた、御満湖の畔にあった。
表札には、『堀田叉一』と墨書きされている。茅葺屋根の合掌作りで、歴史を感じさせるどっしりとした家だった。
天山は板戸を引き開けて、勝手知った様子で中に入っていった。家の中は薄暗く、最初は留守かと思われた。しかし土間から板の間に上がったところで、異様な気配を感じ取り、昌輔はにわかに緊張した。
板の間に面した襖越しに、押し殺した息遣いと、熱気をおびた一定の律動が感じられる。襖の向こうで何が行われているのか、昌輔は気づいた途端、心臓が早鐘を打ち出した。

天山が襖を引き開けた。
薄暗闇に白い肢体が浮かび上がった。
目が慣れてくると、布団に男が仰向けに寝て、その上にぽっちゃりと太った男が、仰向けに乗っている。上の男は玉門だと気づいた。
天山は無頓着に近づき、胡坐をかいて座り込むと、ふたりの交合を観察しだした。昌輔は迷ったが、おずおずと天山のそばに行った。
行為中のふたりは、天山たちに気づいたが、性交をやめる気配はない。
上になった玉門の両足は、下の男によって掬い上げられていたので、太い陰茎が秘門に食い込んでいるのが見えた。動きは緩慢だが、男が下から腰を繰り出すと、ヌメッと濡れ光る陰茎が5センチほども抜け出た。男の陰茎は相当の長さがあるようだ。
そのうち玉門が繋がったまま上体を起こし、太い肉杭を軸にゆっくりと回転した。その動きは、玉門の意思に因るというよりは、その肉体を支える下の男のコントロールに因るものと見えた。

串刺しになったまま、玉門がしなやかに上下動した。白い肉体が薄闇で生々しく揺れ動くさまは、浮世絵でも見ているような妖しい光景だった。
昌輔は見物していて、股間にかすかな疼きを覚えた。もしやと自分の性器に手を伸ばしたが、そこは軟らかくうずくまったままだった。
玉門を腰に跨らせたまま男が上体を起こして、下から突き上げながら口を吸った。舌と舌が絡まり唾液をすする濡れた音がした。男はそのまま玉門の体を仰向けに寝かせ、その上に覆い被さった。
男の肉体があらわになった。腹も腰回りも尻も適度の肉がついて、見るからに壮健そうだ。見ている前で、尻がグウッと引かれて横に開き、ついで力強く前に送り込まれる。
玉門がむせび泣くような声を上げだした。
あはあっ、あはあっ、あああっ――。
男の腰の動きが、リズミカルになった。
ズブブ、ズググ、ヌチャッ、ヌチャッ、ヌチャッ――。
ひいっ!ああぁ――ああっ!
玉門の善がり声が切迫したものに変わる。
昌輔は声もなく、男の性技を見守った。にぎやかな玉門に対し、男は終始無言で腰をうねらせている。しかも結合の体位をいくつか変えながら、ただの一度も性器を玉門の体から抜いていない。男は50を過ぎた年齢と思える。黙々と玉門を可愛がるその姿に、昌輔は超人的な精力を感じた。

ようやく男が玉門から離れた。湿田から長靴を抜きだすような、濡れた音がした。
長かった――18センチほどもあるだろうか。亀頭はさほど大きくないが、根元は大人の手首ほどの太さがあった。まだ精を吐き出していないそれは、グンと天を突いて、ビクンビクンと脈打っている。
それを眺めながら天山が言った。
「来る早々、いいものを見せてもらった」
それから、弟のほうに振り返った。「玉門、お前もずいぶん良いウケになったようだな。叉一さんによほど可愛がられたか」
玉門が恥じらいを見せて、そっとうなずく。そのさまは、すっかり男の恋女房になりきっていた。

天山と昌輔は風呂の湯に浸かり、旅の疲れを癒した。窓の木格子越しに見える柿の葉が色付いて、深まる秋を気付かせる。
風呂から上がったあとは、囲炉裏を囲んで、牡丹鍋の御馳走にあずかった。食材のイノシシは、堀田が罠を仕掛けて獲ったという。
鍋をつつき、地酒を酌み交わしながら、のんびりと会話した。
ここでは、時の流れがゆったりとしているようだった。
玉門の愛人、堀田叉一は、体はさほど大きくないが、浅黒い肌にオイルを塗ったような艶がある。黒目勝ちの瞳が生き生きと輝いて、いかにも精力絶倫を思わせる。じっさい、彼は52歳だが、今でも一晩に3回は精を抜けるという。
しかし彼の外見は、いかにも人のよさそうな田舎の親父くらいにしか見えない。可愛らしいおでこと小さめの口、弛みのない固太
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