(4)

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「これは何だろう?」
それまで洞窟の中を調べていたサキが声をあげた。そちらを見ると、彼は床に落ちた何かを拾おうとしていた。
「あれ、意外に重たいね」
サキは細長い物体を持ちあげた。どうやら剣のようだ。彼は重たそうに両手で振りまわすと、ふうっと息をついた。
「貸してみろ」
ケインがサキのほうに歩み寄って、剣を受け取った。彼は片手で軽々と振りまわした。
「なんだ、軽いじゃないか。おれにはヤワすぎる。ウータン、お前向きだな」
そういうと、彼はウータンに剣を投げて寄越した。
「あっ!」
剣を受け止めた途端、ウータンは声をあげて手を離した。剣の握りに異様な触覚を感じたのだ。
「どうした、ウータン?」
ケインが怪訝そうにこちらを見た。
「なんだか気持ちの悪い感触がしたんだ」
「気持ちの悪い感触?おれには何ともなかったぞ」
「でも――柄が生きてるように動いたんだ」
ケインは地面に転がる剣を拾いあげた。
「ほら、何ともないぞ」
彼は剣の柄を握ったまま、不思議そうな顔をした。
ウータンは恐る恐る手を伸ばした。触れる前から、剣の脈動が空気中を伝わってくる。
(ケインは何も感じないのか?)

ウータンは思い切って、ケインの手から剣を受け取った。
剣は確かに脈動していた。微かだが、生きているように、波状のエネルギーが伝わってくる。
ウータンは薄気味悪さを我慢して、柄を握りしめた。
手のひらに伝わる感触が変わってきた。それとも彼自身の感覚が変化したのだろうか?
なんだか暖かいものが、剣を握る手から全身に広がってきた。
心の安らぐような、懐かしいような暖かみ。と同時に、うずうずとした力が身内に湧いてきた――ヒューマン族創生の原始の力が。
ウータンは剣を持ったまま、うっとりとして突っ立っていた。
「あっ、いやらしい!」
サキがウータンの股間を見て、声をあげた。ズボンの前が、テントを張ったように大きく膨らんでいる。それに気づき、ウータンはあわてて後ろを向いた。
「ウータン、何考えてんだ。こんなときに不謹慎な」
ケインがたしなめた。ウータンは恥ずかしそうに言った。
「違うんだ――なんだか父さんの暖かみを感じて――」
ウータンの目に涙がふくらんでいた。彼は剣を振ってみた。重過ぎもせず、軽過ぎもせず、剣はまるでウータンのためにあつらえて作ったように、しっくりとしていた。

ウータンはあらためて剣を観察した。見たところ、何の変哲もない中型の剣だった。材質は鋼ではなかった。ユーミンの持っていた弓の材質に似ている。
刃の長さは80センチほど、やや幅広で先端が三角形に尖っている。鈍い銀色の光を放っていたが、さほど切れ味が良さそうには見えない。
しかしウータンは、この剣に何かを感じていた。
ウータンの身に起こった現象などケロリと忘れて、サキが不服そうにつぶやいた。
「苦労して手に入れたのは、そのボロっちい剣一本?あーあ、骨折り損のくたびれ儲け」
「ぼくにとっては宝物だ。これは父さんの形見だからね」
「そんなこと、どうしてわかるの?なんの証拠もないじゃない」とサキが言った。
ウータンは断言した。
「ぼくにはわかるんだ。これは父さんの剣だ」
サキとケインが彼の顔を不思議そうに見た。

ウータンは父の骸を、山の斜面の台地に埋めた。そこは展望が開けていて、眼下にタスクの町が一望できた。彼は墓の上に石ころを積み重ね、その脇の地面にボッシューに貰ったサーベルを突き立てた。替わって父の剣を背中に吊るした。
サキが摘んできた野の花を、墓石の上に置いた。
ウータンは父の墓に向かってつぶやいた。
「父さん、いまはここで眠っていてね。いつかまた戻ってきて、母さんの横に連れていくから」

墓の前にひざまずいて、父親と最後のお別れをするウータンの背後で、ケインとサキはおとなしく待っていた。
「お父さんが死んだとわかって、ウータンもかわいそうね」
「ああ」
「でも、ウータンのお父さんは、あんな穴蔵で何をしていたんだろう?」
「だれかに殺されたんだ」とケインが言った。
「えっ!」
サキは驚いてケインの横顔を見た。
「どうしてそんなことがわかるの?」
「胸と背中の骨に切り傷があった。おそらく、二人がかりでやられたのだろう」
「――ウータンは、そのことに気づいているのかしら?」
サキは小声で言った。

そのとき、ウータンが立ちあがって、ふたりのほうに振り返った。
「ああ、ぼくはわかっているよ。そしておそらく犯人も。宿で聞いた、片目の大男とキツネのような顔をした小男だ」
ウータンの声に怒りがこもっていた。彼はサキに向かって頭を下げた。
「サキ、ありがとう。きみのおかげで、ぼくは父さんに会えた」
「な、なんだい、急に改まったりして。ぼくは、たいしたことはしてないよ」
サキは照れくさそうに、頭に手をやっ
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