(3)

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ふたりは村に戻ると、そのまま広場を突っ切って、裏山に向かった。
目的の洞窟はすぐに見つかった。樹木の少ない殺風景な岩の斜面に、人間ひとり入れるくらいの小さな穴が開いていた。
ケインは指を湿らせて、空気中にかざした。
「ふむ、風向きはいいようだな」
彼はカゴを岩の開口部に持っていくと、中に詰まった薬草を積みあげだした。ほどなく洞窟の入り口は、薬草でいっぱいになった。
ケインはもう一度、風の向きを確かめると、火打ち石を使って草の山に火をつけた。彼はすばやく洞窟から離れた。
「いいか、煙を吸い込むんじゃないぞ。有毒だからな」
積みあげた草から、青い煙がもくもくと立ち昇りだした。煙は見ていて気持ちよいほど、洞窟の中に吸い込まれていく。
「これでコウモリたちは、くたばるだろう。人間には麻痺剤になるが、小動物にとっては致命症だ」
ケインは腕組みをして、満足そうに煙を見ていた。
しかしウータンは、別のことを考えていた。彼はケインに聞いた。
「でも、煙が洞窟の中に、あれだけ吸い込まれるということは、風の通り道があるんじゃないの?」
ウータンの言葉に、ケインはいぶかしげに振り返った。そこでウータンの言っている意味に気づき、顔色を変えた。
「しまった!別の穴があるんだ!」
ケインは叫ぶと、走り出した。ウータンが後につづいた。
彼らは丘の頂上めがけて走った。小さな丘だったので、すぐ頂上に到達した。彼らは丘の周囲を見渡した。
「あそこだ!」
ウータンが指さした。
洞窟のある位置と反対側の斜面に、数匹の黒い影が空中で羽をばたつかせていた。

ふたりはふたたび走り出した。
通常のコウモリの倍ほども大きかった。それが狂ったように、木々のあいだを飛び交っていた。岩の裂け目からべつのコウモリが出てきて、空中の仲間たちに加わった。まわりは人間の耳に聞こえない、高周波の鳴き声で充満していた。
ふいに空中の一匹が、ふたりめがけて襲ってきた。ケインが素早く槍をくりだして、コウモリを串刺しにした。
つづいてほかのコウモリが、背後から迫った。ケインは槍を振りまわした。剣先がコウモリの羽を切り裂いた。
ケインは槍をふって、刃先に突き刺さったコウモリの死骸を地面に捨てると、ウータンに向かって叫んだ。
「これじゃ埒があかない。ウータン、この前やったように、炎を飛ばせないか」
「やってみる」
ウータンは、空中のコウモリをにらみながら、精神を集中した。一匹のコウモリが炎に包まれた。炎上しながら落下するコウモリを横目に、ケインは岩の割れ目に走った。
「よし、その調子だ。おれはこっちをやる。おまえは飛んでいるコウモリを頼むぞ」
ケインは、地面に転がる岩を穴の裂け目につめだした。
そのあいだも、コウモリが穴の中から飛び出してくる。彼はそのコウモリを槍で突き刺し、すかさず岩を拾って穴につめこむ作業をつづけた。
いっぽうウータンのほうは、精神を集中して、空中のコウモリを炎で攻撃していた。彼の瞳は、明るいブルーに輝いていた。
すこしコツが飲み込めてきた。頭の中で器をイメージして、そこにエネルギーを集中させる。そしてエネルギーが充満すると、それをコウモリに向けて解き放つのだ。
頭の芯が割れるように痛かった。それに、上を見つづけ過ぎて、首もだるかった。それでも彼は気力をふりしぼって、コウモリめがけて炎を放ちつづけた。

吸血コウモリたちとの戦いがおわったとき、ウータンはすっかり生気を失って、地面にぐったりとうずくまった。
「やっと片がついたな。さて帰るとするか」
コウモリの逃げ口を塞ぎおわったケインが、戻ってきた。彼はウータンのようすを見て、驚いた。
「おい、ウータン、どうした。顔色が悪いぞ」
ウータンは返事をするのもおっくうだった。
ケインはウータンの様子をしばらく見ていたが、腰を屈めると、やおらウータンを肩にかついだ。
「ケイン、よしてくれ」
ウータンは弱々しく抗議した。ケインはそれにかまわず、ウータンを肩にかついで歩き出した。

村に戻ると、村長を先頭に住民が総出でふたりを出迎えた。物陰からふたりの活躍を見ていた村人が、一足先にみんなに報告したのだ。
「やはり、わしが見込んだだけのことはある。あんたたちは、この村の救世主だ」
村長が両手を広げて、感謝の意をあらわした。
「のうがきはいい。腹がへった。飯を食わせてくれ」
ケインは無愛想に言うと、村長の家に入っていった。あとに残されたウータンは、申しわけなさそうに、弱々しくほほえんだ。
「ひとり暮らしが長すぎて、礼儀を忘れているんです。許してやってください」
「なあに、かまいませんて。ケインさんは、体はごついのに、シャイなかたですな」
村長はそう言ってウインクすると、食事の用意のためにケインのあとを追った。

「ほう、あんたたちは、光の
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