(2)

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ウータンは、ボッシューにだけ別れを告げて旅立った。
彼は家の背後につづく森に入った。だれにも会いたくないために、森を抜けて町を出る裏道を選んだのだ。
木々が鬱蒼と生い茂っていた。ボッシューと剣の練習をした思い出の地だった。彼は懐かしさを噛みしめながら、歩きつづけた。
途中で道をはずれ、森の奥にある湖のほうに向かった。その場所は幼いころ、母とピクニックに行ったところだった。彼は母との思いでの場所を、ひと目見ておこうとした。
湖に近づくにつれ、何やら金属を打ち合うような音、それに人の叫び声が聞こえてきた。
ウータンは木の陰つたいに、音のするほうに近づいた。

男たちが戦っていた。
城の兵士らしい服装をしたふたりの男が、背の低い豆タンクのような老人を守るようにして、敵と向かい合っていた。それを取り囲むのは10人ほどの男たち。こちらのほうは、みんなてんでばらばらな服装をして、いかにも山賊らしい凶暴な顔つきをしている。
ウータンが木の陰から見ていると、取り囲んだ男たちが兵士に切りかかり、兵士がそれを刀で切り返した。
城の兵士はふたりとも屈強な体格をして、剣の腕前もなかなかのものだった。事実、彼らの足もとには、切り倒された3人の男たちの死骸があった。
しかし多勢に無勢、彼らはジリジリと後退していた。
ウータンはどうしようかと迷った。いまの彼には、10人の山賊を相手にする自信は無い。出て行けば、彼も殺されてしまうのは目に見えている。
彼が迷っていると、アッという声がして、兵士のひとりが胸を槍で突かれた。山賊たちは歓声をあげ、残りの兵士に向かって一斉に襲いかかった。
残酷な殺戮がおこなわれた。ウータンはおもわず顔をそむけた。

つぎに目を向けたとき、山賊たちは小さな老人を取り囲んでいた。
老人の命は風前の灯火だった。しかしその老人は、堂々と胸を張り、なにやら山賊たちに抗議していた。でっぷりとした体に赤いガウンを羽織り、白髪の童顔は、威厳と言うより可愛らしさが先に来た。
頭領らしき黒髭の男がなにか言った。
大男が前に進み出て、老人の体を逆さ吊りに持ち上げた。老人は抵抗したが、大男は意に介さなかった。
男が掴んだ老人の両足を開くと、ガウンとローブが下にめくれて、老人の下腹部がむき出しになった。
頭領は老人の開かれた両足の付け根を子細に調べていたが、満足したようにうなずいた。そのまま老人は大男の肩に担ぎ上げられ、短い手足をじたばたさせた。そのようすは、深刻な事態にもかかわらず、どことなく愛嬌があった。
ほかの男たちが、死んだ兵士の衣服をはがし、武器を奪った。そのあと男たちは、森の奥に立ち去った。

ウータンは山賊たちのあとを追った。1時間ほど歩くと、まわりを樹木でおおわれた広場に出た。支柱に布のテントを張っただけの粗末な小屋が散在していた。どうやらそこが山賊たちの住み家らしい。
ウータンは大きな木の陰から、男たちのようすをうかがった。
黒髭の男が、白髪の老人に話しかけていた。とぎれとぎれに聞こえてくる話の内容からすると、どうやら白髪の老人はトマ城の王さまらしい。彼らは王さまを人質にして、城から身の代金を取ろうとしているようだ。
その男たちに向かって、思い通りにならなくて地団太を踏む子供のように、王さまが抗議していた。
頭領は鼻でせせら笑うと、配下の男になにごとか言い、奥のほうに歩き去った。
ふたりの男が王さまに襲いかかった。王さまはあっという間に服を剥ぎ取られ、木の幹に縛りつけられた。それからひとりの男が見張りで残り、ほかの男たちはそれぞれの小屋に引きあげた。
ウータンは木の陰で考えた。ここで王さまを助け出すのか。それとも城に行って、王さまの危機を伝えるのか。城に行くには時間がかかる。
結局彼は、王さまを助けるほうに決めた。しかし今はまずい。暗くなるのを待って、夜陰にまぎれて助け出すのだ。
彼は後退すると、潅木の中で寝そべった。

夜になった。
もとの場所に戻ると、山賊たちはたき火を囲んで酒盛りをしていた。木に縛りつけられた王さまの側には見張りがいたが、その男も酔っ払っているようだ。ウータンは、もうしばらく待つことにした。
そのうち男たちが、よろけながらねぐらに引きあげた。なかにはそのまま地面で酔いつぶれている者もいる。見張りの男も、木の幹に背中を預けて舟を漕いでいた。
ウータンは慎重に王さまのもとに近づいた。武器がなかったので、森の中で見つけた太い棒切れを手にしていた。王さまは頭を垂れて、眠っているのか起きているのかわからない。
ウータンが王さまを縛りつけているロープに手をかけると、王さまが顔をあげた。
「おまえはだれだ?」
「しーっ」
ウータンは王さまの口を手でふさいだ。
「王さま、声を出さないでください。いまお助けします」
彼はささ
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