若い頃から初老のおじいさんに憧れました。ちょっと渋めの中肉中背
のおじいさん。タイプでした。なぜ初老の人に惹かれるのか。理由は
もやもやした霧の中。ずっと分かりませんでした。
先生に出会ってから、分かるようになりました。先生とは愛したおじ
いさんのことです。大事な相方です。嫌なこと、辛いこと、嬉しいこ
とも、全部、聞いてくれます。助平なことも、何でも話せる私の伴侶
でした。一緒にいるとずいぶん楽しい人です。
わたしは慎重165cm、75キロのちょっと太めのおじさん、50歳です。
相方のケンちゃんは、秋山憲造、160cm、50キロの、小柄な人でです。
若い頃、剣道をやっていたので、腕力は相当なものです。引き締まっ
身体の、プロの絵描き。若い時は洋画を、今は日本画を描いています。
なれそめは40歳の時
評判の店が浅草にありました。シニアがよく通うスナックです。店主は
東北出身の素朴で誠実な人です。店に普段見かけない小柄な客がやって
きました。何気なくこっちを見ています。私はまだ現役で仕事がありま
すから、たまにしか通えません。もちろんストレス発散が目的です。
その爺さんは、たまにやって来るようになりました。郊外のどこかに
住んでいるはずです。そのうち、ビールを注したり注されたり、気のお
けない関係になりました。世話好きのマスターが店の客のために、企画
する一泊旅行に、二人とも参加した結果でした。
一泊旅行はカップルができるチャンスです。相手ができれば、足しげく
店に通う客が増える。もちろんマスターの狙いはそこにあります。相手
ができれば誰でも嬉しいはず。客もよろこび店も繁盛する。理想的なシナ
リオです。一泊旅行は自由が原則です。もちろん誰と一緒に寝るかは最大
のポイントです。
私の理想は、中肉中是で腹の出ていない年寄り。控えめで、思いやりが
あれば最高と、ちょっと理想は高いのです。旅行の誘いにマスターがやっ
てきます。「ターさん。あのお年寄りが、君と飲みに行きたいと言ってい
る。どう。付き合ってみる?」その一言で参加を決めました。初めて会っ
てから、6か月後のことでした。
当時、私は、一緒に飲み歩いた相方の爺様を亡くしました。しばらく一人
の時でした。侘(わび)しい気持ちで一杯の時でした。新たな恋の道行も
悪くないと思い始めた時期でした。ふけを愛する気持ちにおぼれてみたか
ったのです。私は若いのはだめです。
そんな時、ケンちゃんという理想のおじいさんに出会ったのです。先生は、
プロの絵描きですが、剣道の達人です。50歳の時連れ合いを亡くし、後添
いも貰わずに、長男と二人暮らしでした。知り合いが紹介する後添いは山
ほどありましたが、二人の息子が首を縦に振りません。独り身はすでに10
年になろうとしていました。
爺さんは、当時70歳。出会ったのは不思議な縁です。炭鉱の街、飯塚市の
出身で、高齢の祖父に育てられた人です。顔も身体も小さくて、なんとも
可愛い日本画家でした。付き合っていた同郷のシニアをあっさり捨てて、
私の相方になってくれた人です。捨てられた相方は可哀想ですが、仕方あ
りません。男同士でも恋愛は自由意志が基本だからです。
たしかに、紆余曲折はありました。簡単に一緒に暮らせたわけではありま
せん。若い時から、年寄り好きの私です。40歳の遅い出会いですが。本格
的な出会いだったのです。初老の紳士で、分別もあり、色気もある人です。
初めて家族の一員として認めてくれたのも、この爺さんです。
ちゃらんぽらんに生きて来た一人の男が、これからどう生きていくのか。
波乱万丈のお話です。みなさん見てくださいね。コメントを待っています
(つづく)
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