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爺々悠々

60代のときはまだ活力があった。長年勤めた会社を辞めたあとも、会社との絆を維持して現役諸君と飲み会やゴルフを楽しんだ。
有り余る自由時間の戸惑いはあったが、それを乗り越えて、さまざまな閑事を積極的にこなした。ゲイ小説を書き始めたのもこの頃である。
70になったとき、倦怠感を覚えた。体力がめっきり減って、思考能力も衰えた。会社との絆も薄くなり、少ない年金収入では、預貯金の額も気になりだした。あと何年生きられるのだろう、なんて思ったりもした。
75になったとき、後期高齢者という言葉が迫った。残りの寿命が、より現実的なものとなった。病院の入退院も増えてきた。
しかし不思議なもので、追い(老い)つめられると人間、開き直れるものである。どうせ死ぬのなら、その時を待つより、精いっぱい余生を楽しもう。できたら老いの大志を抱いて、なにかにチャレンジしてみよう。
――という訳で、筆を断っていたゲイ小説を書き始めた。



※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体などと一切関係ありません。
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