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チョイ悪親父

(序)
薄い頭髪に肉づきのよい丸顔、あぐら鼻にチョビ髭、中背小太り気味――他人が見れば、まあこんな表現になるのだろうが、50も半ばの歳になれば、自分がハゲで風采の上がらない中年男だと自覚するくらいの分別はある。
俺は中堅商社に勤める56歳のサラリーマン。会社の規定によれば4年後に定年となり、後は本人の希望次第で嘱託社員となれる。もちろん、給料は半減、ポスト職も無い。人生に崇高な目的など持っていないが、これまでの経歴を簡単に抹消されるのは、ちょいとしゃくに障る。
俺にも人並に結婚歴はある。もっとも男好きがバレて、わずか1年で女房に逃げられてしまった。それ以来、気ままな独り暮らしを続けている。
正直言って、素行はあまり良いほうではない。ま、世間で言うところの、チョイ悪親父といったところか。
半年ほど前、60歳の可愛らしい白人男性が職場にやって来た。それがきっかけで、英会話の学習塾に通いだした。もちろん下心があって、その白人男性と親密になるのが目当てだ。
ほかに楽しみといえば、自宅に帰ってパソコンを開き、ゲイ動画を見ることだ。あっと、それからもうひとつ、通勤途上のささやかな楽しみもある。


(23/10/29 13:44)
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