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(3)川筋もん――つづき |
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孝志はホテル住まいしながら会社で働き、休日はアパートを探し求めた。幸い、浦和でたまたま顔見知りになった老人が、自分の家を安い家賃で貸してくれることになった。
浦和駅から歩いて5、6分のところにある3階建てビルで、1階は喫茶店、2階にワンルームの部屋が3つ、3階は老人が一人で住んでいた。孝志は2階の奥の広い部屋を借りた。階段脇に共用の洗面トイレとユニットバスがあったが、他に住人はいないので、孝志専用で使えた。キッチン設備はないが、外食すれば済むことだった。 新しい部屋に引っ越したころ、長女から電話があって、会いたいと言う。 次の日曜日、4人の娘たちが孝志の部屋を訪ねてきた。4人では狭いので、彼女らを屋上に連れて行った。そこはちょっとした庭園になっていた。 めいめいベンチに腰かけて、まず長女が、4人を代表して口を開いた。 「こちらに来る日にちを4人合わせるのは大変だったの。それはともかく、二人が別れた理由について、お父さんの口から直接聞いていないわ。今日はそれを聞くために皆で来たの」 予想されたことだったが、答える前に娘たちの顔を見た。成長した4人の娘たちと一堂に会するのは、ずいぶん久しぶりのような気がした。 「母さんは何て言ったんだ」 逆に探りを入れてみた。 「たいして話さなかったけど、性格の不一致とか、当たり障りのないこと言ってたわ」 「母さんが言ったのなら、そういうことになるのだろうな」 孝志が言うと、次女が文句を言った。 「なによ、それ!父さんの考えはないの?たぶんお母さんが一方的に、離婚宣言したんでしょう?」 どう返事をしようかと考えていると、だしぬけに末っ子が口を開いた。 「おじいちゃんが原因でしょう?」 驚いて末っ子を見ると、彼女はずけずけと言った。 「おじいちゃん、生きているとき、口癖のようにお父さんが好きだって言ってたから、お母さんは面白くなかったのよ。おじいちゃんが男好きだってこと、お姉ちゃんたちも知ってたでしょう?」 彼女は姉たちを見渡すと、話をつづけた。「だから、おじいちゃんが死んだので、別れましょうってことになったのよ」 次女がまた口出しした。 「それってボーイズラブのこと?」 「年寄り同士だから、オールドボーイズラブよ」と末っ子。 長女が冷静な口調で孝志に訊いた。 「それで、お父さんは、女より男のほうが好きになったの?」 「――女姓も好きだよ」 孝志が戸惑って言うと、長女が追求してきた。 「女姓もってことは、男が好きだってこと、否定しないんだ」 孝志は開き直って言った。 「ああ男が好きだよ。というか、この歳になって、今さら女性を愛すなんてもうできない。母さんを裏切りたくないからね」 「だったら父さんは、男性専科ってこと?」 孝志はあわてて言った。 「誤解しないでくれ。今現在、好きな男なんていないんだから」 孝志の性格に一番近いと思われる三女が、初めて口をきいた。 「わたしはゲイに偏見がないわ。だからお父さん、無理をしなくてもいいのよ。お父さんが男性専科でいくって言うのなら、わたしは容認するわ」 「あ、わたしも賛成」「わたしも――」 娘たちは、かしましく自分の意見を言い合ったあと、「じゃあお父さん、元気でね」と言って、たいして孝志の話を聞かずに帰って行った。 あとに残された孝志は、しばらく呆けたようになっていた。娘たちのあっけらかんとした逞しさと鋭い洞察力には、驚かされるばかりだ。これでは彼が男好きだとカミングアウトしたのと同じだった。 女房と離婚したことで、孝志は会社で肩身の狭い思いをしていた。 しかし、総務課長の飯田だけは、逆に孝志に対して、好意的な態度を取るようになった。彼は社内旅行のとき、孝志にむりやり犯されたことで、騒ぎ立てることもしなかった。それどころか二人は、仕事帰りに、夜の街に繰り出すことも増えた。飯田は可愛らしい風貌の割に、アルコールに強かった。 飯田の住まいは神奈川方面にあったが、ある夜、勢いのままに孝志の住む浦和までやって来て、飲み直した。 店を出たときは深夜だった。結局、孝志の部屋に泊めてやった。ひとつの部屋に男二人が寝るとなると、単身者同士、やることは決まっていた。 二人はバスルームで身を清めると、部屋に戻って生まれたままの姿になり、だれはばかることなく絡み合った。このとき孝志は、女房とも義父ともやったことの無い、淫らな指使いで飯田をもてあそんだ。 ムチッと肉付きの良い尻を開けるだけひらいて、ピンク色に染まった開口部を、指の先で撫でたり揉んだりする。飯田が焦れて、尻をうねらせると、意地悪く声をかける。 「うん、どうした、飯田くん。ここをどうして欲しいのかね」 ――ああ、入れて――おねがい――。 すぐには入れなかった。ラブオイルを使って、じっくりと拡張作業をつづける。ときおり内部の構造を探るように、指を奥まで入れて、ぐるりと回す。身悶えして飯田が欲しがったところで、おもむろにあてがい、ズグズグと貫入させた。 夜のしじまに、かわいらしい悲鳴があがった。 孝志は以前ほど、会社の仕事に熱意を感じなくなっていた。義父の死、家族と離れた生活、それらが原因だった。張り合いがなくなったのだ。 休みの日は、ゴルフに出かけることが減り、何もせず、一日ぼんやりと家で過ごすことが多くなっていた。 そんなとき、よく屋上に行った。ひとりベンチに腰かけて、浦和市街地のビルの景色を缶ビール片手に眺めるのだ。 この屋上は、家主の北山宗一郎が、低い庭木を育てられるように、ちょっとした庭園を造っていた。木の丸太を組み合わせたプランターボックスが、数か所に設置されている。当初は季節の草花が植えられて、よく手入れされていたが、今は手抜きされて雑草がはびこっている。それでも暖かい時期は、家主の北山に代わって孝志が、植栽の水やりをしていた。 人の気配にふと振り返ると、家主の北山宗一郎がやってきた。 「やあ、この場所がお気に入りのようだね」 声をかけながら、老人は孝志の横に腰かけた。 「ええ、庭木の手入れは苦手ですが、眺めるのは好きです。田舎育ちで、草木に囲まれて育ちましたから、なんとなく落ち着くんです」 「田舎育ちですか。だからこんな逞しい体をしているんだ」 北山は冗談めかして言うと、孝志の太ももの上にそっと手を置いた。 途端、接触部分から人の感情が流れ込んでくる。孝志に対する暖かい感情――。北山の顔を見ると、孝志の股間を探るように見ている。薄々感じていたが、自分に対する老人の思いをはっきりと認識した。 孝志は黙ってズボンのファスナーを下ろした。合わせ目から、白い布地を押し上げる膨らみが見えた。 北山はちょっと驚いたようだが、「いいのか」と言うように孝志の顔を見た。 孝志がうなずくと、老人はおずおずとズボンの前を開き、孝志の分身を掴み出した。まじまじと見つめ、それから顔を覆いかぶせた。 最初は匂いを嗅いだり、控え目に舌を這わせたりしていたが、そのうち口に咥えて、本格的に尺八をしだした。 (あ――いい)孝志はうっとりした。 老人はうまかった。これまで、こんなことを何回もやってきたのだろう。口をあんぐりと開け、いかにも幸せそうな横顔を見ていると、自分でも人の役に立てるんだ、ということを実感した。 しばらくして老人は口を離すと、唾液に濡れて艶光りするイチモツを、潤んだ目で見つめた。 「こんなに形の良いチ〇ポは、初めて見ました。――しばらく使っていないけど後ろで受けてみたい」 そこで孝志の「できるのか?」といった表情を見て、話を継いだ。 「以前はよく遊びに行っていました――」老人は、駒込にある有名な発展場の名前を出した。孝志は行ったことがないが、うわさは聞いていた。 「もう5年も行っていない。年を取るとおっくうになってきてね」 歳を尋ねると、76歳だという。義父よりひとつ年下だ。 孝志は言った。「じゃあこれから試してみましょうか」 二人は3階の家主の部屋に下りて行った。寝室とバストイレが間仕切りされているだけで、あとはワンルームの広い部屋だった。老人は大学で教えていたというだけあって、立派なデスクと分厚い本の並ぶ書棚があった。ゆったりとしたソファーセットがあり、壁際にはキッチン設備もあった。 まずバスルームに行って、老人の身体を洗ってやった。細身の体型だが、裸になると、意外にも肉付きが良くて、肌もきれいだった。尻はさすがに弛んでいたが双丘の合わせ目あたりは、やわらかい丸みを帯びている。 後ろを洗ってやるついでに、指を入れて拡張作業もした。よほど使いこなしているのか、すぐ2本指になじんだ。 ベッドに行くと前戯もそこそこに、合体行為にとりかかった。バスルームで充分ほぐしていたので、挿入は滑らかだった。 老人が感に耐えきれぬ声をあげる。 「ああっ!入ってくる――大きい――いや!許して」 根元まで入れると、大きくゆっくりと抽送した。老人の管は非常に滑りが良い。 内部が太さに慣れてくると、老人の体力を考慮して、側臥位で交わった。上側の脚を持ち上げて、後ろから突き入れ、ゆっくりと大きく、小刻みに素早く、緩急つけて出し入れした。老人が偲び泣くような声をあげだした。 可愛らしい泣き声を聞きながら、孝志は無尽蔵の精力を覚えた。 ![]() ある日、家主が、部屋を交換しないか、と持ちかけた。その理由は、老人の足腰が弱って、毎日3階まで上がるのが厳しくなったようだ。 しかし2階のワンルームと3階全フロアでは、1対5ほどの面積比がある。独り身だからそんな贅沢はいらない、と孝志が言うと、北山は、今まで通りの家賃でいい。ただし気が向いたら、3階には自由に訪問させてもらう、という。 結局、孝志は3階のだだっ広い部屋で生活することになった。代償として、家主の宣言通り、ときどき夜の訪問を受けて、ベッドでの奉仕活動を強いられた。 また別の相談もあった。1階の喫茶店についてだった。部屋を貸していた店主が店を閉めることになった。そこで孝志に、資金援助するから、後を継いで喫茶店をやらないか、と言うのだ。 孝志は即座に断ろうとした。自分は商売人に向いていない。しかし一方で、今の会社を辞めて、自分に向いている職業に転職したい、という気持ちもあった。 だから結論はすぐ出さず、じっくりと考えることにした。 |
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26/09/08 06:15 神亀
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