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失われた記憶

暑い!夏の太陽がジリジリと照りつける。道の両側に生い茂る雑草から、モワッとした熱気が立ち込めてくる。かぶった麦わら帽子もたいして役に立たない。これまで何度、引き返そうと思ったことか。
角を曲がったところで緑地が消え、開けた広場に出た。あたりは、小石の転がる土埃だらけの地面。右手は粘土層の切り立った斜面、その裾に坑道のような穴が開いている。開口部を木の柵が遮っている。何かの採掘跡のようだ。
古ぼけた木の標識に、「落石注意」という文字がかろうじて読める。屈み込んで坑道の奥を覗き込んでいると、背後に何かを感じた。ひょいと振り返ったが、何も見当たらない。
実はこの感じは、この島に来て以来、何度かあった。
立ち上がったときだった。
あぶないっ!――背後で声が聞こえた。
火の玉がぼくの周りに円を描いて、ものすごい勢いで上昇した。火の玉を追って上空を見あげた途端、岩石の群れが土埃を立てて落ちてくるのを目撃した。

※この物語はフィクションであり、実在の人物、団体等と一切関係ありません。
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