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三角関係



(1)

源一郎は65歳、身長170センチ体重75キロ、肉の厚い立派な体格をしている。長年勤めた会社を6月に辞め、健康のためにと毎週水曜日は、朝からゴルフの打ち放しに行くことにした。
そのゴルフ練習場はいつも客で混んでいたが、始業の9時に行けば、希望の席が取れる。
源一郎は3の数字が好きで、この日も3番の席を選んだ。場内右手の奥にあり、ネットとの間には二つの打席しかない。
3番はラッキーナンバーだった。前の2番席に、源一郎好みの小柄な男がやって来たからだ。年の頃、50代半ば、背は低いがほどよく肉がついて、むちっとした丸っこい尻が可愛らしい。
源一郎は打席でボールを打ちながら、すぐ目の前の小振りだが肉付きの良い尻を盗み見ていた。

源一郎が小柄な男性に特別の思いを抱くのは、幼少期に遡る。
彼は母ひとり子ひとりの母子家庭で育った。母は、女性としては大柄なほうだがいたって控えめな性格をしていた。
その家庭に、ときどき初老の男がやって来た。男は背が低く、源一郎から見ればお爺さんの年代に近かった。
男は決まって土曜日の夕方やって来て、母子と食事を共にし、ひと晩泊ると翌朝早くに帰っていった。源一郎はその男のことを、親戚筋のお爺さんぐらいに思っていた。
その男が実の父だと知ったのは、男が死んだあとだった。母は囲われ者で、資産家の男から給金を貰って生活していたのだ。
考えてみれば、思い当たることはあった。源一郎が夜中に目を覚ました時、男が下半身を剥き出しにして、水を飲んでいる姿を何度か見たことがある。
そのとき、小さな身体からぶら下がる長大なイチモツを見て、妙に胸がドキドキしたことを覚えている。

もう一人、源一郎に影響を与えた人物がいた。彼が50歳の頃、何かとお世話になった会社の重役だ。重役は小柄ながら、会社では大きな存在感があった。その重役がどういうわけか、源一郎に目をかけてくれた。
源一郎は重役に仕事を教えられ、同時に――男色も教えられた。
始めて知った男色の世界は、目くるめく思いだった。女房相手とは違った快感。尊敬する重役の小さな肉体を背後から責めながら、源一郎はアブノーマルな世界にのめり込んでいった。

(2)

(ああ、来てる)
年配男性の大きな後ろ姿を見て、昭夫は胸ときめかせた。まるで初恋の人を見かけた気分だ。
小柄な昭夫からは、見上げるような大男だった。いつも1番打席に来て、ゆったりとした動作でゴルフ練習をしている。
プロレスラーのような大きな体つきだが、男に威圧感を覚えなかった。70歳を過ぎている上に、物腰がやわらかいからだ。それに練習場の一番隅の打席を選んでいることから、控え目な性格がうかがえる。
昭夫は、穏やかでおっとりとした大男に、愛着の念を持っていた。昔、彼の世話をしていた弥平爺を思い出すからだ。

昭夫は56歳になる。身長155センチ体重60キロ、体は小さいが、気持ちは勝気だった。
子供時代は町の有力者の息子ということで、人にちやほやされて育った。
しかし子供同士の喧嘩では、父親の威光も通用しない。ときに体の大きな同級生に、徹底的にボコられた。
そんな息子を心配して、父親は使用人の弥平を世話係につけた。弥平は大きな体をしていたが、いたって穏和で優しい性格の初老男だった。
従順な弥平といると、昭夫はいつもお山の大将だった。思春期を迎えた高校生の時は、弥平の大きな尻を使って、漲る精を解消した。

親元を離れた大学時代、大きなトラブルに巻き込まれた。
キャンパスで一人の学生と喧嘩になり、柔道部の部室に連れ込まれた。そこで裸に剥かれ、徹底的な凌辱を受けた。
昭夫の抵抗など無に等しかった。なにしろその学生は柔道部の猛者だった。なお悪いことに、他の部員がやってきて、代わり番に昭夫の尻を犯しだした。
その輪姦事件で、昭夫の気の強さはすっかり影をひそめた。彼は無鉄砲に突っかかることをやめ、用心深く相手を見極めるようになっていた。

(3)

この9月、72歳になった泰平は、身長185センチ体重100キロの堂々たる体格をしている。しかし銭湯などで裸になると、色白ふっくらとした肌は、その方面の好事家にとって垂涎ものだった。
それに、いたって温厚でおっとりとした物腰をしていることから、リタイアした後も人に好かれていた。

若い頃、大工をしていた泰平は、昔気質の棟梁に鍛えられた。その棟梁が、たまたまそちら方面の趣味があった。童貞だった泰平は、その世界に引きずり込まれ強引に棟梁の刻印を押された。
泰平に比べると、棟梁は子供のように身体が小さいが、色浅黒く筋肉質の肉体をしていた。しかも男の道具たるや、ズル剥けカリ高で、怒張すれば茶褐色に染まって、見るからに恐ろしげな形状になる。
しかし、泰平の大きな体は包容力があった。最初でこそ苦痛と屈辱に死ぬような思いをしたが、すぐに慣れて、棟梁に背後を犯されることに、悦びを覚えるようになっていた。もともと泰平は性格的に受け身で、男色の世界でもウケの素養があったようだ。
その後、棟梁の娘と結婚させられた泰平は、家庭を持ち、一方で、棟梁の助けを得て工務店を立ち上げた。

そして72歳の今、息子に工務店を継ぎ、悠々自適の生活をしている。
ゴルフは商売上の付き合いから始めた。近郊ゴルフ場の会員になり、週に一度は気の合う仲間とプレーしている。
ゴルフ練習場には、毎週水曜日に行くことにしている。彼はいつも1番の打席を取った。1番にこだわりがあるわけではなく、ただ端っこのあまり人と関わりのない席にいたかっただけだ。
ある日、彼の打席に近い3番席にいる男を見て、肌が泡立った。男は60代半ばほど、いぶし銀のような渋い男前だった。筋肉質の均整のとれた体つきをして、ゴルフもなかなか上手だ。
その男には、亡き棟梁の雰囲気があるのに気づいた。途端、後ろを貫かれた懐かしい感触が蘇ってきた。

(4)

水曜日のゴルフ練習場は、1番から3番にかけての打席が、いつも決まった3人で占められるようになった。3人は定席を取るため、朝一番に来場していた。
最初は軽い挨拶に始まり、彼らはじょじょに親しさを増していった。3人がさらに近づいたのは、最年長である泰平が会員になっているゴルフ場で、親睦ゴルフをやってからだ。
朝から昼過ぎまで、共通の汗を流して、プレー終了時には3人ともすっかり打ち解けていた。そしてゴルフ場の風呂に入ったとき、それぞれの裸を見て、ますます親近感を覚えていた。
彼らはお互いを愛称で呼び合うまでになったが、微妙な三角関係が存在した。
源一郎はむっちりした尻の小柄な昭夫に、昭夫は温厚で大きな体つきの泰平に、そして泰平は古武士のような雰囲気の源一郎に、好意を抱いていた。
皆、男色経験があるだけに、いつかは相手と結ばれたい、という思いもあった。でも目下のところ、カミングアウトして、自分の想いを相手に伝える勇気が出せていなかった。

最初にその垣根を超えたのは、源一郎と泰平である。
泰平が、息子に任せた工務店の経営のことで、ゲンさんに相談してアドバイスを受けた。結果的にそのアドバイスが役立った。
そのお礼に、ゲンさんをゴルフ接待し、そのあと近くの温泉宿で一泊した。
老夫婦の経営する小さな宿だった。週始めということもあって、二人の貸し切り状態だった。

源一郎は内心葛藤していた。7つ年上のターさんが、自分に好意を寄せているのは分かっていた。でも自分はアッちゃんのほうが好きだ。もし迫られたら、自分はターさんの大きな体を抱く気になるのだろうか?
その葛藤は、宿の露天風呂に入ったときに霧消した。

二人は岩風呂に浸かって、昼間の心地よい疲れを癒していた。山間の静寂の中、竹樋から滔々と流れ落ちる湯音だけが聞こえていた。
湯に浸かった源一郎は、先ほど目にした光景が刺激になって、股間の充実を覚えていた。ターさんが湯に入るとき、屈めた豊満な尻がアップで目に入ったのだ。左右に開いた広大な尻の狭間――その中心部に、淡紅色に色づく皺の集合が、はっきりと見えた。まるで源一郎を誘っているように、やわらかく息づいて。

湯煙越しにターさんが、微睡むような目つきでこちらを見ている。
源一郎は湯の中で立ち上がり、まっすぐ彼のほうに歩み寄った。
泰平は目を丸め、眼前に迫る男の分身を見た。そこでゲンさんの顔を見て、意を決すると分身に吸いついた。

その夜二人は、一線を越えた関係を結んだ。しばらく使っていなかったが、泰平の大きな尻は包容力があった。まがまがしく張り詰めた亀頭冠が通過するとき、泰平はわずかに顔を歪めただけで、あとは滑らかに受け入れた。
ひっそりと始まった睦みごとは、徐々に熱を帯びて、ついには目くるめく快楽の世界に入り込んでいった。
源一郎は初めて味わう豊満な肉体に狂喜し、泰平は体の中を突き抜けていく逞しさにうっとりとしていた。

(5)

ターさんと親密な仲になって、源一郎は男に対する好みの枠を広げた。ターさんは自分よりひと回り大きな体をしていたが、それだけに包容力があって、柔らかく包み込むように受け入れてくれる。
しかし一方で、アッちゃんの可愛らしい体を抱きたい、という欲望も募った。
アッちゃんが自分よりターさんのほうに気があることは知っていた。そこで一計案じてターさんに持ちかけた――今度3人でゴルフをして、そのあと、この前の温泉宿で一泊しましょう、と。

昭夫はターさんから一泊ゴルフの誘いを受けたとき、ゲンさんが一緒と聞いて、微妙な気持ちだった。
昭夫はゲンさんに本能的な恐れを抱いていた。ズボンの前に浮き出た、もっこりとした膨らみ。もしゲンさんに迫られたら――想像しただけで恐ろしくなる。
それでも、最近、ターさんとゲンさんが親密になったのを肌で感じていた。誘いを断れば、自分はますます二人と疎遠になるだろう。
結局昭夫は、複雑な思いのまま誘いを受けた。

過ごしやすい秋の一日だった。3人は日中、気持ち良くゴルフをして、そのあと温泉宿に向かった。
さっそく岩組みの露天風呂に浸かった。色づき始めた楓や紅葉が、目を楽しませる。涼やかな山の微風が、湯面を撫でるように通り過ぎていく。
3人は湯の中で、白い肢体をのびのびと伸ばした。とくに昭夫は、ターさんの豊満な裸が見れて、最高の気分だった。

鍋料理と日本酒で晩飯を済ませ、いよいよ寝る段になった。部屋には川の字に、3つの布団が敷かれている。
ごく自然に、年長者二人は昭夫を真ん中に置き、手と口を使って若い体に刺激を与えだした。行為が熱を帯びてくると、全員いつしか裸になり、お互いの性器や菊座を弄んだ。

やがて、泰平が四つん這いになって、ウケの体勢を取った。ふくよかな双丘が横に広がり、狭間の中心部にやわらかそうな開口部が見える。まるで淡いピンク色の花がぽっと咲いたようだ。
「アッちゃん、先に入れる?」
ゲンさんが訊いて、昭夫は逡巡した。
「迷ってる?じゃあ先に、私が道を通してあげよう」
ゲンさんは無造作にターさんの背後に突き入れ、ズブリズブリと抽送運動を始めた。途中、体を少し離して、結合部を見せつけるような仕草をした。
カリの発達した亀頭が、易々と幅広い谷間に呑み込まれていく――。

いったん行為を止めて、ゲンさんは引き抜いた。濡れた卑猥な音がした。
「さあ、路を通したよ。今度はアッちゃんの番だ」
肉杭を引き抜かれた開口部が、濡れて、卑猥な輝きをみせている。
昭夫はフラフラと近づき、最前よりウズウズと膨れ上がった肉棒を突き入れた。ターさんは大きな体だったので、しがみつくようにして交合した。

源一郎はふたりの房事を見守った。まるで子供が、肥った大人を犯しているような光景だった。
足を開いて大きな尻にまたがった、アッちゃんの背後が見える。見るからに初心な菊座だった。楚々として密やかに口を閉ざしている。
源一郎は悪戯心を起こして、その小さな蕾を指の腹でそっと撫でた。
「あっ!」
アッちゃんが小さく喘いだ。それでも腰の動きは止めなかった。
それをいいことに、源一郎は指使いを大胆にした。押し揉むようにうごめかせ、オイルを付けてもぐり込ませる。ヌプッヌプッと抽送する。そしてついには、自らの分身を突き入れたのである。

秋の夜長、ひなびた宿の一室で、3人の吐息や喘ぎ声がいつまでも続いた。

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23/06/27 07:11 神亀

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